プロポリス記事抜粋
文章のみで大変恐縮ですが、興味のある方は最後までお付き合い下さい。

月刊エコインダストリー 1998年6月号抜粋

食品系で抗菌空間を作るプロポリス  一高分子電解質系環境清浄剤

ボロン研究所所長 浜 中 博 義


 生薬や健康補助食品の原料として知られる天然物のプロポリスを食品添加物や化柱品原料基準に登録されている安全な特殊高分子電解質の水系ゲルの中に固定させることにより、常温、常圧の自然条件で心地よい芳香とともに周囲の菌類や悪臭物質を取り除き、また、広い空間に対しては無臭、抗菌雰囲気を継続的にもたらす新規な環境清浄剤を開発した。

1.はじめに
 環境清浄と健康をテーマとする研究が医学、工学あるいは心理学といったさまざまな分野でなされ、特にここ数年、産業界における抗菌加工製品の伸長が著しい。さらには、室内環境の改善を目的とする抗菌もしくは消臭型空気清浄機の開発も盛んに進められている。また、最近では、蒸留精製して得た香り成分を身近かに漂わせて、精神の安静や弱った肉体の治療回復を図ろうとするアロマテラピーも、一部で注目されてきている。
  現在のところ、抗菌加工製品の中に添加されている抗菌材料で一定の性能を示すものは、銀、銅などの重金属や無機塩類であったり、窒素、硫黄、ハロゲンなどを含む有機化合物やアルデヒド、カルボン酸、またはフェノール、安息香酸の誘導体などであり、用途により、ヒバ油に代表される天然抽出物も使われているが、それらは、概して食品ほどの安全性を有していないので、長時間の接触には心配がある。
  次に、空気清浄機についてみると、機構的にイオン式とファン式に大別されるが、帯電粒子の放 出によって室内空間の浮遊粒子を捕捉させるイオン式は除菌効果、消臭効果ともに弱く、室内の空気をフィルターと接触させる従来からのファン式のほうが確実にその効果 を示すという報告がある。
  しかしながら、ファン式では、近年開発されたチタン光触媒方式によるものを含めて、固定された拠点まで空気を誘導してきてはじめて空気清浄化システムが作用するもので、室内の空間それ自体に抗菌性や消臭性を与えるという機能はもち合わせていない。
  一方、心理的な要素を合わせて健康を追求するアロマテラピーについては、特定の成分物質だけをある時間.濃密に身体と接触させる関係上、種類の選定を誤ると、逆効果 になるという指摘もみられる。
  著者は以前に、合成し、構造決定した低毒性でかつ抗菌性を有する半極性有機ホウ素化合物と複合塩型アニオン高分子電解質とを組み合わせた脱臭剤を開発したが、今回は、さらに進んで、古くから生薬や健康補助食品の原料として知られる天然の抗菌物質であるプロポリスと、高分子反応によって得たポリカルボン酸塩型の特殊高分子電解質とを複合させた系を海藻抽出多糖類の水系ゲル中に固定化し、臭気変換機能をもつ安全性の高い抗菌、除菌剤を作ることに成功した。
  このプロポリス−高分子電解質系環境清浄剤は、常温、常圧の自然条件下で熱源や触媒を使わずに芳香を伴いながら、生理活性成分を微量 ずつ連続的に揮散させて、抗菌、除菌および消臭、臭気変換作用を発現し、しだいにその周囲に抗菌力や消臭力をもたせていく。
  したがって、本剤を適切な装置に組み入れて、より広範囲にまでそれらの作用を行き渡らせることの実用化を図れば、「健康」、「安全」ならびに「快適」の3点をコンセプトとする空気清浄機の理想像に達する可能性も大いにありうる。
  以下に、これまでの研究経過をたどりつつ、今回開発したプロポリス−高分子電解質系環境清浄剤とその環境改善システムヘの取り組みについて解説する。

2.素材の選択
2.1 プロポリス
 プロポリスは、ミツバチが樹木のつぼみや樹皮から採取したものと自らの唾液とを混ぜ合わせて作る巣の構成材料のひとつで、抗菌力、腐敗防止力をもつことから、古来ヨーロッパでは自然療法のための薬剤として人間も広く利用してきた。
  組成は産地によって多少異なるが、樹脂約50〜55%、ロウ約30%、精油約10%、花粉約5%、有機物およびミネラル約5%である。その中に微量 成分として含まれているフラボノイド類が免疫力強化や病気の感染予防、消炎作用および抗アレルギー作用などに有効であることが、種々、確認されるに至り、近年、プロポリスを溶媒抽出して得たろ液が健康補助食品として、健常者、傷病者の別 なく食されるようになってきた。
  ここで、プロポリスが、これまでに知られているポプラの葉やマツの技などの他の天然抗菌材料に比べて抗菌力が強く、しかも、以前より人体に直接用いられているにもかかわらず、副作用がほとんど報告されていないことから、本研究の目的である、生活する人にとってより安全、かつ有用な環境改善システムの構築材料としても適切と考え、選び出した。

………………中略………………………………………

4.3 プロポリス−高分子電解質系環境清浄剤による抗菌と除菌
4.3.1 抗菌性の確認
 製造したプロポリス−高分子電解質複合ゲルを2cm×2cm ×0.5cmの大きさにして、標準寒天平板培地およびデスオキシコレート寒天培地の中央にそれぞれ貼り付けた後、37℃で24hr、一般 生菌iならびに大腸菌を培養した。
 また、対照試験として、上記複合ゲルを貼り付けずに、一般生菌と大腸菌をおのおの培養した。
 本研究のプロポリス−高分子電解質複合ゲルが貼り付けられた周辺には菌の発生がみられず、全体的にも菌が少なくなっていることが認められた。
  これにより、複合ゲル自体が抗菌性を有しているということがわかる。
4.3.2 室内空間での除菌性能の観察
 53m3の部屋の中に、プロポリス−高分子電解質 複合ゲルを2kg装填している4.2と同様の空気循環機を設置し、6hr作動させて、室内の空中浮遊菌i数ならびに落下菌数を測定した。
  測定に際しては、空気循環機から2m離れた地点の空気160lをエアサンプラーによって採取し、含まれている細菌を標準寒天培地にて30℃で3日間、真菌をクロラムフェニコールを100ppm添加したポテトデキストロース寒天培地にて25℃で7日間、それぞれ培養させて、各コロニー数を調べた。空気循環機作動前の状態と合わせて、今回、本研究で組み立てたプロポリス−高分子電解質複合ゲルを使用する空気清浄化システムでは、非常に効率よく室内空間の細菌および真菌を除去している様子が観察される。さらに、落下菌も0になっていることから、死滅作用も合わせもち、いっそう安全な快適空間作りを行うものになるということが考えられる。
4.3.3 付着菌に対する除去作用
 上部に直径2.2cmの穴を1個開けた円筒型容器にプロポリス−高分子電解質複合ゲルを300g充填した後、小型シロッコファンを内蔵している空気循環機(ただし、8.5cm×9.5cm×24cmのもの)に入れて作動させ、前方30cmのところに垂直に置いた、人工菌汚染PETフィルムの10cm2あたりの一般 生菌のコロニー数の変化を順次、検査用培地(ただし、日水製薬製フードスタンプを使用)によって調べた。
 本研究の複合ゲルの上を通過する空気の軽い接触だけで、通常環境よりはるかに劣悪な条件に基づくしつこい付着菌も少しずつ確実に取り除かれていく様子がうかがえる。これにより、プロポリス−高分子電解質複合ゲルを使用する空気清浄化システムを大きく作動させれば、一般 の生活空間の室内壁面や床、カーテン、テーブル、家具、寝具などの除菌も全体的に外側からなされてくるものと推測される。

5.臭気変換作用の機構と役割
 プロポリス−高分子電解質複合ゲルを常温常圧の自然条件にある空間にそのまま置いたり、または、その表面 に気流を通じたりすると、近いところで芳香が感じられるが、少し離れると感じなくなり、それに付随して、周囲で感じられた環境臭もなくなってくる。その際lこ嗅覚で感じた芳香は溶液抽出して得たろ液の臭気とも異なり、いっそう心地よいものになっている。
  これについては、天然多糖類の働きで運動が弱められた高分子電解質のコロイド溶液からなる固相がプロポリス中の大部分の固体成分を包接したままにするが、一方で、揮発性の高い精油類については、水分が連続的に蒸発していく過程で水蒸気蒸留と同様の機構により運び出されるので、ゲル近傍では芳香が感じられる。しかし、空間全体では水蒸気のlまうが圧倒的に多いので、蒸気密度が高まってくると、凝縮する際に漂っている精油成分も周囲の異臭、悪臭成分も同時に落とし取る。よって、本研究の複合ゲルの置かれた場所から遠いところが無臭化状態になるのであろうと推測している。
  また、本研究の複合ゲルにおいて精油成分と水分とが揮発するときに、内部にある湿潤剤の働きで精油の側と水の側にそれぞれ誘秀導されていた親和性を有するフラボノイド類を伴って出てくることが、広範囲に、かつ、連続的に抗園、除菌効果 をもたらすという利点になっている。
  なお、芳香を醸し出す精油自体にも、多くの場合、抗菌性が認められることがある。
  それにより、本研究のプロポリス−高分子電解質複合ゲルから選別されて出てくる上述の複合揮発物による芳香は、まさに、環境清浄作用が行われていることを認識させる信号であるといえる。

6.呼吸および睡眠との関わり
 呼吸は生ある限り続く作業であり、また、腫眠は、体力の維持、回復のために行う不可欠の行動である。古来「病いは気から」という言葉があるが、同じように健康も大いに「気」が関係しており、したがって、気を高めて健康状態を保つには、常に吸息と呼息を円滑にして、肺胞内で十分に血液およびガスの交換を行う、よい呼吸ができていることが基本である。
  しかるに、ここ数年、鼻水が出たり、また、鼻がつまったりする花粉症、鼻アレルギー性疾患の人や、粘膜が敏感lこなったり、炎症を起こしたりする喘息の人が増えてきており、そうした人たちは起きているときでも寝ているときでも気道が閉鎖されがちで、快適呼吸によって自らの症状を軽くするどころか、反対に、呼吸することに余計な体力を使わざるを得ない状態になっている。
  さらに、慢性鼻炎の人では、いつも上気道が狭められたままになっているので、睡眠中、特異な呼吸音を出したり、イビキをかいたりすることが多くあるが、特にイビキが止まらない状態が長く続くと睡眠時無呼吸症候群となり、熟睡できずに疲れがたまって、いっそう体力を消耗させてしまう結果 となる。
 ここで、呼吸器への負担が多くかかる喘息や気道閉鎖をもたらす種々の鼻アレルギー性疾患の原因についてみると、今までに室内塵、ダニ、植物花粉、樹木花粉、真菌などの直接影響物が具体的にあげられているが、一方、食事内容の豊かさや冷暖房の普及といった生活環境の移り変わりが人間だけでなく、微生物にとっても好条件になり、一年中、生活する人の周囲に細菌や真菌類がはぴこっていることが人間の防衛体力を弱めてアレルギー性にし、上述の原因の影響をより受けやすくしているという指摘もある。
  本研究では、プロポリス−高分子電解質複合ゲルを使用する空気清浄化システムが特によい呼吸と安眠を必要とする人にとって、どのような状況感覚を与えるものになるかを調べるために、希望により、慢性鼻炎、喘息および花粉症の症状を有する15〜65歳の男女、それぞれ20人に対して複合ゲルを内填する小型空気循環機(ただし、4.3で付着菌に対する除去作用を試験したものと同種の機器)を枕元から30cmのところに設置し、毎日平均8時間ずつ一定期間、就寝時に使用してもらったときの状態をアンケート形式で聴取した。
 本研究のシステムの作動は固有の芳香が与える感じを含めて使用者に対し、おおむね快適な状態を作るものになっている。これについては、自然条件でプロポリス−高分子電解質複合ゲルから連続して、選別 されつつ出てくるプロポリス有効成分が呼吸を通じてもたらすと思われる生理活性作用も大いに関係しているとみている。

対象者
期間
就寝時および覚醒時の状況感覚
慢性鼻炎の人
2か月
●就寝時に鼻水が出なくなってきた(18人/20人)、わからない(2人/20人)
●呼吸音、イビキが少なくなった(10人/20人)、わからない(10人/20人)
●芳香も自然で、よく眠れる気がする(20人/20人)
●起きてからも、くしゃみ、鼻づまりが少なくなった(15人/20人)、わからない(5人/20人)
喘息の人
4か月
●発作が出難くなった気がする(7人/20人)、わからない(13人/20人)
●気持ちよく寝られる(12人/20人)、わからない(8人/20人)
●芳香は刺激的でない(20人/20人)
●起きたときの呼吸が気持ちよい(12人/20人)、わからない(8人/20人)
花粉症の人
3か月

●就寝時、覚醒時ともに鼻水が少なくなった(17人/20人)
●はじめの1〜3日よけいに鼻水が出たが、以後少なくなった(3人/20人)
●芳香は鼻粘膜を刺激せず、感じがよい(20人/20人)
●覚醒時に、鼻で円滑に呼吸できる(17人/20人)、わからない(3人/20人)

 

7.おわりに
 用途によっては強烈な殺菌力をもつ抗菌剤が必要であるが、人が常時居て、絶えず呼吸作業が行われているような室内空間では、抗菌剤が細菌、真菌の撲滅に著しく有効であっても、毒性が心配されるものや気分を乱すような臭気を発するものは使われ難い。そこで、呼吸により鼻腔などを経て微量 体内に入ってもほとんど問題にならない食品系で抗菌、除菌剤を組み立てて、通 常の生活条件の中でゆっくりとそれを空間に送り出し、徐々にではあるが、確実に有害菌類をなくしていくようなことができれば安全であると考え、これまで述べたように、プロポリス−高分子電解質複合ゲルの揮散性を利用する環境改善システムの実用化の可能性を摸索してきたのであるが、その過程で副次的に見出された芳香と臭気変換作用が抗菌空間を認識させる信号であると同時に、快適性を付与する要素にもなったということはまことに幸運であった。
  著者は半金属元素であるボロン(元素記号B)の誘導体や高分子電解質の合成研究を行う一方で、縁あって(財)日本体育協会公認スポ一ツ指導員(空手道)および公認体力テスト判定員として、生涯教育システムの中で幼児から高齢の方までと広く接する機会をもっている。
  最近、特に気がつくことは、多くの幼稚園児や小学児童、場合によっては中学・高校生までもがいつも口を開けたまま呼吸していることである。
  これでは、スポーツ時でなくても呼吸自体に負担がかかり、さらに、眠りもよくできず、また菌類も直接体内に呼び込みやすくなって、よいことにはならない。それで癖で口を開けている者には鼻で呼吸するように指導している。
  しかしながら、鼻炎や花粉症気味の子がいて、常に鼻水が流れたり、つまったりしており、鼻だけで呼吸することが困難であり、また、就寝時にも不規則な呼吸が続くので、ときには目がさめたりしている。
  人の成長ホルモンは、寝ているときに作られるものなので、子供が健全に成長していくためには、毎日の安眠は是非とも必要なことである。
  そのためにも、安全なもので身近かに抗菌空間を構築して、健康のもととなる快適呼吸の手伝いをしてあげることができれば幸いと思い、研究に着手した。
  今後は、各界専門の人たちの協力を仰ぎつつ環境関連装置への適合検討を推し進めていき、本研究物の一日も早い実用化に努めたい。


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