○慰めが病を深くする
(「八つの真実」より)
親子、夫婦、兄弟、恋人、これらの関係性の中で人がいびつになり,病んでいく。
そのプロセスはまさに世界の混乱と悲惨さの縮図です。そのありさまと構造を深く見つめれば見つめるほど、見えてくるものがあります。
それは「否定的な感情に敵対する」ことです。これは人類全体の病と言っても良いでしょう。
私たちは「怒り」「悲しみ」「不安」「絶望」等を悪い感情として片づけます。それゆえ、自分の親や恋人が悲しんだり、苦しんだりしていると見ていられず、何とかしてその状態を解消しようとします。しかし単に「解消」することが良いことなのでしょうか。
否定的な感情に敵対しなければ、それは喜びに変容します。あなたが悲しんでいるとき「その悲しさをたっぷり味わってごらんなさい。その深みの中に入っていってごらんなさい」と言ってくれる人こそ、その悲しみを乗り越えるための本当の助けとなるのです。
私は基本的に人に慰めは与えません。なぜならそれは気休めにはなっても、解決にはならないからです。私は学生の頃から、運命学を学び、独特の直感力を使って、「運命判断」つまり「占い」の仕事をしていたことがあります。だから占いを受ける人の心理は良く分かります。彼らは「本当のこと」になどまず関心がありません。自分にとって都合の良いことを言ってほしいだけです。だから、お客さんを増やすのはわけがありません。相手が言ってほしいことを言ってあげれば、喜んで何度でもやってくるようになります。しかしそれでは「意味」がありません。互いに利用しあうだけの関係しか生まれません。だから今の私のカウンセリングでは、私は絶対に相手が期待するようなことは言いません。
以前、悩んでいる女性が私に「どうしたら良いでしょう」と尋ねました。私は「その苦しみをもっと深く味わってごらんなさい」と言いました。その時、彼女はとても腹が立ったそうです。しかし、それから数年経って、私の言ったことの意味が分かり、今は私の会社のスタッフとして働いています。
夫婦セラピーの決定版とも言える名著「コンシャス・ラブ―二人の愛を育てる本」(ゲイ・ヘンドリックス、キャサリン・ヘンドリックス著、春秋社刊)では、次のように書かれています。
わたしたちがふだんカップルから相談を受けていてとても驚くことは、パートナーに感情が完結するまで感じさせてあげられる人がめったにいないということです。彼女が泣いています。彼はきっと「泣かないで」といいます。彼が不安に襲われています。彼女が飛んできてみんな忘れさせてくれます。おそらく善意からそうしているのですが、結果は不幸です。他の人が感情を最後まで感じつくすのを邪魔することによって、その人たちから人間の深い経験を騙し取っているのです。
深い分かち合いが起こるためには、自分自身の否定的な感情を認め味わうこと、そして自分の愛する人の否定的な感情に対しても決して敵対しないことが必要となります。これは感情の新陳代謝を許すことでもあります。愛が分かち合う関係性へと開花するためには、慰めを与えることによって生まれる、依存と支配の関係性について注意しなければなりません。
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