システム販売にはまらないで、システム販売をする方法
◎システム販売における理解すべきこと
8年ほど前、私は健康食品を扱う会社に就職し、その会社で、新商品の企画・開発の責任者となりました。健康食品業界にいれば、様々な商品の売り込み情報はどんどん集まってきます。
私のところにも、色々な商品の情報や見本が集まってきました。それを自分の身体で実験し、データ、仕入れ、等々を検討して、取り扱いを決めて行きました。
当然、新しく上陸するシステム販売の勧誘も何度と無く受けました。
しかし、この販売方式に参加すること自体にためらいと躊躇がありました。その当時の上司とも検討しました。
彼は「良いものが効率よく広まるシステム自体には特に問題はないのではないか」と言いました。
しかし、この販売方式に憑り付かれた人々のあぶらぎった目つきと態度には、私も彼も辟易し嫌悪感を持っていたのです。
私は、当時から松永修岳師のカウンセリングを受けていました。そのカウンセリングの中で松永師に向かって私はこう質問しました。
「もうすぐ上陸するある商品はとても良いもののようです。今のうちからその商品の販売に着手すれば、大きな収入が約束されるかもしれません。でもどうも気が進みません。なぜなら、その製品がシステム販売(ネットワーク販売)によって販売されているからです。
一体システム販売とは何なのでしょうか?その実体とは?その正体とは?」
松永師は次のように答えました。 「システム販売の本質とは、結局のところ、最終的には商品はどうでも良くなる、という点にあります。商品が良いものである、ということがポイントでは無くなってしまうのです。
いかにシステムを広げるか、つまり会員を増やすか、ということが最優先されます。
それゆえ、システム販売に血道を上げる人は、仮面を被るようになってしまうのです。
『人のために、他人の幸福のために頑張っている』そう自分でも思い、人にも言っていながら、内側では『どうしたら会員にできるか、会員にして自分の収益に役立つ存在に仕立て上げようか』といったことばかりを考えるようになっていってしまいます。ですから人格の破壊、人間性の破壊が起こるのです。それゆえ、自分の内面の豊かさというもの、その大切さを知っている人間はけっして手を出すべきではありません。致命傷になります」
この説明を聞いて、私は納得しました。
◎「布教の論理」と「システム販売」
それから約7年後、ある優れた抗酸化機能を持った健康食品のシステム販売について、分析・検討してみる機会を得ました。そして、システム販売という仕組みの中にある心理的カラクリの詳細が見えてきたのです。
「この製品は良いものだから愛用しよう」という愛用者としての素直な思いと「良いものを人に伝えることで多少の利益が入ったら嬉しい」というセールスマン(販売者)としての利益追求の衝動。この二つの想念が、システム販売に関わる人の内側には存在しています。
そして、やがて愛用者の感覚よりも、販売者としての衝動が力を持ち、前面に出てくることは自然です。なぜなら、愛用者がその製品を愛用することは生活の一部となり、特別な衝動を必要としないからです。製品の良さは、ちょうど空気のように当たり前のものとなります。
一方、製品を伝えることで得られる利益は、普及すればするほど高まって行きます。
「この製品を伝えることで(販売することで)利益を得よう」という思いは普通の商行為と何ら変わりません。
しかし、さらに「この製品の愛用者を増やして利益を上げよう」という思いは、いつのまにか「この製品を伝える人を増やすことで利益を上げよう」という観念へとすり替わります。
内側でこのすりかわりが起こった時点で、人格の崩壊が始まり、人間関係の破壊を無意識のうちにし始めるのです。
これが布教の論理です。 「システムに参加する人を増やそう」という思いが「システムに参加する人を増やす人を増やそう」という思いへと変貌するのです。
自分がまずこの強迫観念のとりこになります。そして他人をもその観念を植え付け、とりこにしていく。これが、強迫的な販売組織(布教組織)が生まれてゆく図式です。販売組織(布教組織)の頂点に近い人々には巨額の収入が約束されます。
もちろん、良いものを広げた、という貢献と利益は手に入れることができます。
しかし「この製品を広げる人を見つけなければならない」という強迫観念に自分を染め上げ、人をも染め上げて行くことで、自分も他人も、「組織を広げようとするロボット」へと変えていくのです。
強迫観念に染まった人は、「自分」が本当に何をしたいのか、といった探究をする力を吸い取られ、自分自身を生きる回路が破壊されます。
これは一人の人間にとって致命傷です。人生全体が無意味なものになってしまいます。
こうやって、システム販売は伸び続けるのです。
組織宗教が行っていたことが、「利益」と「良い商品」という武器を伴って復活したわけです。ちょうどキリスト教が西洋の科学文明、その力を武器にして布教を進めていったように、「良い商品」を武器にして利益をもたらす組織の構築のために人生を捧げることを強要してゆく。
このように、洗脳を進めていくことでしか、巨額の利益が生まれ得ないシステム。それがシステム販売の実体である、という理解が私の中で起きました。
◎強迫観念に支配されないでシステム販売を行う
表現を変えると、「商品が良いので愛用しよう」という状態だったのが「この製品を伝えて愛用者を増やしていく人間を増やせば、途方も無い利益が自分のものになる。だから、どんどんこの製品を伝え、かつこのシステムを伝え、そしてこのシステムと製品を強迫的に伝える人をどんどん増やさなければいけない」という想念のかたまりのような霊がいて、その霊に憑りつかれてしまうのです。
憑依された人は、やがてその霊に乗っ取られ、どんどんその霊を人に憑依させていきます。
このからくりに乗ることで、人生は台無しになるのです。
自分ではなく「システム販売霊」という霊に支配された人生が待っています。
どんなに経済的に豊かになっても、その内側には「豊かさ」はありません。なぜなら強迫観念によっていつもがつがつしているからです。
ここで理解しておいて欲しいのは、システム販売で売られている商品には良いものも多いのですから、「商品を愛用し、人にも伝えることは、それ自体何の問題もない」ということです。
問題なのは、「システム販売霊に憑依されてしまう」つまり「強迫観念のとりこになってしまう」という内側の現象です。健康と豊かさは手に入ったとしても、自分の人生が失われてしまうのです。
最も重要なポイントは、「システム販売霊」に自分が憑依されないことです。憑依させないことです。
「システム販売霊」はウイルスのようなものです。
このウイルスに感染すると、まず目が油っぽくなります。
いつも獲物を求めてうろつくケダモノのようになります。
(その他の症状については現在研究中です)
システム販売で扱っている製品を愛用すること。
システム販売の会員登録をすること。
人にも伝えること。
これらの行為に問題があるのではありません。
その行為の裏側にどんな想念が流れているのか。
どんな意識のもとでその行為が起こっているのか。
これらが重要となります。 行為ではなく意識が最重要となるのです。
これから「システム販売霊」はどんどんその力を強め多様化して、人々の心を蝕んで行くでしょう。
内側の心の働きに対して、意識を向けない限り、その勢いを食い止めることは、不可能です。
ウイルスのように広がって行く「システム販売霊」。
このウイルスに対するワクチンとして、人生に対するより深い理解が起こる助けとして、この「気づき」が、この文章が機能してくれることを祈って、筆を置かせていただきます。
(現在、新しい、より有効なワクチンの開発に着手したく思っております。協力者・協同研究者を募ります。ご興味・ご関心のある方はご連絡下さい)
文責 リバースタイムテクノロジー研究所・井上祐宏
1999年8月6日記