KING’S RANSOM 12年 (キングス・ランサム)

 「100種類近くものブレンデッド・ウイスキーを世に送り出したことで知られる名ブレンダー、William Whiteley(ウィリアム・ホワイトリー)は若い頃からエドラダワーの原酒に憧れていた。
 1925年、ついにエドラダワー蒸留所の権利を手に入れたホワイトリーがそのモルトを使って最初に作ったのが「ハウス・オブ・ローズ」であり、次に"Round the world"のアイデアを実行して究極のウイスキーを目指したのがこの「キングス・ランサム」。
 現在、出回っているボトルの中に、世界一周を経たものが残っているかどうかは分からないが、比較的新しいボトルの中にも、かつて、世界を旅した樽から、少量ではあるが、加えられているという。」(BAR レモン・ハート18より)

 BAR レモン・ハートにもない酒があります。マスターが4、5年八歩手を尽くしてもいまだ入手できない酒がこのキングス・ランサムです。

 ホワイトリーはエドラダワーの原酒をベースに完璧なまでのブレンディド・スコッチを完成させました。さて、どういう名前にするか考えていたときに友人に試飲をすすめました。
 友人はあまりのおいしさに思わず「これはまさく王様の身代金(king’s ransom)に匹敵する。」と叫んだそうです。
 ブレンドし終わったウイスキーをまた樽に詰めてなじませることをマリッジといい、そのこと自体は一般に行われていたのですが、凝り性のホワイトリーはもう一度シェリー樽に酒を詰め、船のバラスト(おもり)として世界航路の船の旅に積み込んだのです。 ラベルには"Round the world"の文字が入っています。
 もう一つ、歴史上重要なエピソードがあります。それは、1945年
7月第二次世界大戦の戦後処理のためのポツダム会議で晩餐
会の席にただ一種選ばれたウイスキーがこのキングス・ランサ
ムです。