blueball.gif (1613 バイト)  三侠五義  blueball.gif (1613 バイト)


1 包拯、李妃の訴えを執り裁く


時は北宋第四代皇帝・仁宗(じんそう)の御世のこと。

この物語の主人公である包拯(ほうじょう)は、江南廬州府合肥県包家村の長者の家の三男坊として生まれた。彼は幼い頃から聡明であり、十六歳の時に科挙(官吏登用試験)を受験するため、お供の包興を連れて都・開封に旅立つこととなった。旅の途中で主従はとある寺に泊めてもらうことにしたが、そこの住職は強盗をなりわいとしていた。包拯主従も彼らに襲われかけたが、そこを武官候補生の青年・展昭に救われたのであった。包拯と義侠・展昭との運命的な出会いである。

その後包拯は無事に都にたどり着いて試験を受け、見事進士に合格した。彼は早速定遠県の知事に任命され、包興とともに任地へと赴いた。包拯は次々と県内で発生した殺人事件を解決し、名知事として評判になる。しかし上司から妬みを受けたことと犯人を刑死させたことが災いし、知事の職を罷免されてしまう。

トボトボと都に帰る途中で、主従は王朝・馬漢・張竜・趙虎の四人の山賊に捕らえられてしまった。彼らは元々皇后の父として権勢を振るうhou.gif (125 バイト)(ほうきつ)に仕えていたが、彼の無道に嫌気が指して官を辞職し、山賊となったのである。そこへ通りがかったのは、やはり展昭である。彼は南侠の異名を持つ有名な侠客であり、王朝たちとも交遊があった。包拯包興展昭の取りなしで解放された。

さて、ある日仁宗皇帝は包拯と出会うを夢を見て、それがあまりに真に迫っていたので、彼を宮中に連れて来させることにした。包拯大相国寺了然和尚のもとに身を寄せており、すぐに帝の使者に発見された。仁宗は、包拯定遠県の知事であった時の功績を知っていたく喜び、彼を都・開封府の知事に、後には竜図閣大学士にと抜擢した。その包拯のもとに山賊の王朝・馬漢・張竜・趙虎や、了然和尚から推薦された文人・公孫策がやって来て彼を補佐することになった。

当時、陳州の地は飢饉に見舞われ、仁宗の皇后の兄にあたるhou.gif (125 バイト)c(ほういく)が難民救済のために派遣されていたが、彼はあろうことか職務をないがしろにして人々から財産を巻き上げ、婦女子を拐かすなどの悪業を重ねていた。訴えを聞いた包拯は皇帝に上奏し、陳州の救済事業の査察に向かうことになった。同じ頃、展昭hou.gif (125 バイト)cの無道を聞いて憤り、陳州に赴くことにした。

展昭陳州に着くなり早速hou.gif (125 バイト)cの屋敷に忍び込んだ。そこで偶然、包拯を暗殺してしまおうという密談を耳にする。また、彼は錦毛鼠(きんもうそ)の異名を持つ義侠・白玉堂と出会った。彼は陥空島の五兄弟の末弟であり、この時は気ままに一人旅をしていたのである。展昭白玉堂の武功のほどに感心するが、後に自分が彼と戦うことになろうとは、この時は想像もしない。

はてさて、展昭hou.gif (125 バイト)cの手下の項福包拯を暗殺しようとするのを陰ながら阻み、包拯は無事、hou.gif (125 バイト)cを引っ捕らえることが出来た。包拯hou.gif (125 バイト)cを尋問し、これまでの悪事を自白させると、御刑という処刑器具でもって彼の上半身と下半身を真っ二つにした。仁宗皇帝もその処置にたいへん満足する。

包拯陳州から都に帰還する途中の村で、先代の真宗皇帝から寵愛を受けていたという李妃の訴えを受けた。そのあらましは次のようなことである。王朝第三代皇帝・真宗には李妃劉妃の二人の愛姫がいた。二人は共に帝の寵愛を争っていたが、先に李妃が皇太子となるべき男子を産んだ。劉妃はそれが悔しくてたまらない。そこで宦官の郭槐(かくかい)と共謀して赤ん坊と、皮をはいだ猫とをすり替えて「李妃は化け物を産んだ」と言いふらしたのである。真宗はその話を信じ、激怒して李妃冷宮に監禁した。

李妃が産んだ赤ん坊はと言えば、帝の侍従を務める宦官・陳林によって救い出され、真宗の弟である八親王のもとで密かに育てられることになった。劉妃は後に皇后となったが子供に恵まれない。そこで真宗八親王の子を皇太子として養子に迎えたが、これこそが李妃の産み落とした子であり、後の仁宗皇帝である。事実を知った劉皇后は、せめて李妃を殺してしまおうとするが、危機を察知した宦官・秦鳳冷宮から李妃を連れ出し、実家である陳州の農家に彼女を匿い、今に至るというわけである。

包拯は調査の結果、この李妃が本物であることを確信し、この事を仁宗に報告した。仁宗は侍従長に昇進していた陳林や、育ての母・狄妃(てきひ)からも実の母のことを聞かされると、さすがに驚きを隠せない。そして実母の李妃と、二度と無いと思われた今生の再会を果たす。

ところで事件の当事者である郭槐は、劉太后の後ろ盾があるので事実が暴露されても自分をどうする事も出来まいとたかをくくっていたが、そんなものを恐れる包拯ではない。あっさりと取り押さえられて尋問を受け、処刑されてしまった。劉太后も情勢の変化を知って衝撃のあまり病死し、替わって李妃が、本来居るべき皇太后の地位に就いた。

包拯李妃の件の功績により、宰相に任命された。彼は日々政務に励んでいたが、ある日突然気を失って転倒し、そのまま意識が戻らなくなった。どんな治療を施しても効果が無く、みなは困り果てるばかり。

さて、突然の病に冒された包拯の運命やいかに?


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