相対性理論について、大学教科書レベル(たぶんそれくらい)の勉強をしました。相対性理論とは、双子の片方がロケットに乗って地球に帰ってきたら「猿の惑星」になっていたという、SFでおなじみのアレです。質量とエネルギーの関係を表す「E=mc2乗」という式も有名ですね。相対性理論は「遥か未来の物語」ではなく、我々の日常生活に欠かせないものです。たとえばカーナビゲーションですが、あれは地球を回る衛星と通信してクルマの現在位置を割り出します。衛星のスピードがけっこう速いのと、衛星高度と地上では重力の強さが異なることが原因で、衛星とクルマでは時間の進み方が異なります。その時間のズレがホンの少しであっても、それに「秒速30万キロ」を乗じた結果は数十センチに達します。そのため、相対論効果を計算に入れないとカーナビがちゃんと使えないのであった。
そんなワケで、この興味深い相対性理論について、そこはかとなく書きつくれば・・・題して「サルでもわかる相対性理論」です。
・目標(1)
地球を飛び立ったロケットの速度と、ロケット内部の時間の遅れを計算する。これは四則演算と平方根だけでOKなので、本当に簡単です。・目標(2)
特殊相対性理論の有名な数式「E=mc2乗」を世界一簡単な方法で導いて、なおかつ一般向け解説書に述べられていない深いハナシをする。・目標(3)
一般相対性理論について「図解よくわかる〜」「マンガでわかる〜」「ブルーバックス」のような一般向け解説書にはあまり書かれていない、ちょっと良いハナシをする。ちょっとネットを検索したくらいでは、これから書こうとしている(1)と(2)の内容に類似した記述は、ほとんど見つかりませんでした。あちこち読みカジッっては「何やらわからんぞ」という気持ちになっていた方、ご期待ください。
なお、「E=mc2乗」を世界一簡単に!と書きましたが、高校程度の物理の計算をやります。その部分はなるべく親切に書きますね。
世間で誤解されてるかもしれないことが3つほどあります。(1)特殊相対性理論のほうが「特殊」なだけに、一般相対性理論よりも難しい。
(2)相対性理論はとにかく難しいので、文科系の人には絶対に理解不可能。
(3)理科系の人は、みぃ〜んな学校で相対性理論を勉強している。
このように思っている人がいたら、それは全部誤解です。(1)特殊相対性理論のほうが「特殊」なだけに、一般相対性理論よりも難しい。
ちがいます。研究者ではなく一般の人が理解するレベルなら、特殊相対性理論のほうが簡単です。「重力や加速度が無い」という「特殊」で簡単な状況を論じるからです。一般相対性理論は重力や加速度がある系について論じるもので、特殊相対性理論の後10年たってから発表されました。アインシュタインも相当苦しんだという、段違いの難しさなのですね。
しかし、ある程度深いレベルで特殊相対性理論を理解しようとすると、実際は一般相対性理論にもとづいた説明が必要になってきます。「サルでもわかる相対性理論」シリーズでは、そのあたりにもちょっとだけ踏み込みます。
(2)相対性理論はとにかく難しいので、文科系の人には絶対に理解不可能。
これもちがいます。特殊相対性理論を理解するには、定性的なフィーリングの部分と計算の部分があります。お手軽知識本や「マンガでわかる相対性理論」みたいな本はフィーリング重視です。その部分を理解するのは、日常的な発想からの切り替えがポイントになるので、数学の知識はあまり関係ありません。
「サルでもわかる相対性理論」では、そのフィーリングの部分を噛み砕いて、なんとかしてわかっていただく・・・というよりも、「えいやぁっ」で簡単にすませます。図をたくさん描いたりするのは面倒だし。そんでもって、計算のほうをゆっくり手間をかけてやります。
「時間の遅れ」を計算するのは四則演算と平方根だけなので、中学卒業程度で十分です。三角関数(サイン、コサイン、タンジェント)も必要ありません。特殊相対性理論に限れば、よほど数学な苦手な人でも大丈夫なんですね。「E=mc2乗」の導出には高校程度の物理の知識を使いますが、その部分はなるべくていねいに解説して世界一簡単にやります。
一般相対性理論も、定性的なフィーリングの部分だけならば(特殊相対性理論さえ理解してしまえば)難しくはありません。特殊相対性理論をちょっと応用したような考え方で、スッと理解できるからです。ただし、計算の部分は超絶難しくって、チョットやソットでは手が出せません。「テンソル解析」を勉強しなくてはならないからです。
私にしても、「群論」やら「テンソル」はサッパリです。そこを1ヶ月ほど頑張って「テンソル解析」についても何とか少しだけ勉強しました。そのための良い本をたまたま書店で見つけたからです。もちろん「サルでもわかる〜」に「テンソル解析」のことは書きません。さすがに無理です。(^_^;)
(3)理科系の人は、みぃ〜んな学校で相対性理論を勉強している。
してません。工学部や理学部でも、一部の学科を除けば、電磁気学に関連してちょっと勉強する程度です。半年講義ヒトコマを「相対性理論」だけで単位取得したという人の割合は少ないと思います。そして化学系や生物系の方は、こんな理屈っぽい勉強をあまりしてないはずです。・・・って、してたらごめんなさい。
以上のようなワケで、「一般相対性理論の数学に関する部分」を除けば、誰もがほぼ同じ条件だと思います。
・特殊相対性理論のフィーリング
・特殊相対性理論の数学
・一般相対性理論のフィーリング目標をここまでに限定すれば、無理なく挑戦できますよっ。
大きな書店の書棚には、相対性理論について著した本がズラッと並んでおります。これを3種類に分けてみましょう。(1)教科書、専門書
(2)一般向け解説著
(3)科学読み物(1)教科書、専門書
大学で使う教科書のようなムズカし〜い本ですね。一般相対性理論のテンソル計算の難解な数式がゾロゾロ書き並べてありますよ。こんなもの、「サルでもわかる」レベルではありません。このような本の存在は、いったん忘れましょう。
(2)一般向け解説著
教科書みたいに難しくは無いけれど、「ローレンツ変換」の説明が書いてある本をこのカテゴリに分類しましょう。やや簡単そうに見せて油断させておいて、途中からローレンツ変換が登場する本もあります。硬派な本だと、最初っからローレンツ変換が登場します。この変換式そのものは、そんなに難しいものではありません。高校生でも楽勝です。しかし、その変換式と「実際に目で見えるもの」との関係がボヤ〜ンとしているため、多くの人には即座にピンときません。そのため、このレベルの本を読んで理屈を理解したハズなんだけど、いまひとつ何かがわかったような気にならない。・・・という人が多いと思います。
(3)科学読み物
もはや「ローレンツ変換」も出てきません。なんとなく時間と空間が伸び縮みしたり、アインシュタインの生涯にまつわる面白エピソードが書き連ねてあったりする本ですね。
ズバリ「サルでもわかる相対整理論」は、(2)と(3)の間をねらっています。サルにもわかっていただく関係上、「ローレンツ変換」は出てきません。それでも、なお「わかったぁ〜っ、キーッ、キーッ」と叫んで、動物のホネを天高く放り投げたくなるくらいのココロモチになれるでしょう。それから抵抗無く(2)のカテゴリの本を読み進んで「なぁんだ、そ〜ゆ〜ことかぁ、キーッ、キーッ」というレベルに達してもらいます。
これからアナタの眼はアナタの体を離れ、高次知性体の使者「モノリス」と接触するのです。
特殊相対性理論の有名ネタを並べましょう。特に有名なのは、上から2つか3つです。下にいくほどマイナーでしょう。(1)双子の兄がロケットに乗って宇宙を旅して地球に帰ってきたら、地球に残っていた弟のほうが余計に歳をとっていた。
(2)E=mc2乗
(3)光速度は一定不変である。
(4)速度が速くなると質量がどんどん増える。
(5)速度が速くなると物の長さが縮む。それでは順番にいってみましょう。
(1)双子の兄がロケットに乗って宇宙を旅して地球に帰ってきたら、地球に残っていた弟のほうが余計に歳をとっていた。
これは、もうSFの映画やマンガでおなじみすぎます。ただし「E=mc2乗」ほどには数式が有名でも簡単でもないため、ロケットの速度がどれくらいだと、兄弟の年齢差がどれくらいになるのか?ちょっと見当がつきません。「サルでもわかる相対性理論」では、その計算方法を説明します。この計算は、四則演算と平方根だけで簡単にできます。
(2)E=mc2乗
原子爆弾を想像すれば、イメージができるでしょう。原子核が分裂して別の原子核に変わるとき、反応前よりも反応後の質量がじゃっかん減りますが、この減ったぶんの質量mに相当するエネルギーEが放出されるのです。Eの値はmに光速度cを2回かけたものですから、これは莫大なエネルギーです。核爆弾がまだ無かった時代、この理論をもとに「兵器を作ることができる」と考えついた人は、いったいどんな気持ちになったでしょう。
それにしても「E=mc2乗」はシンプル過ぎます。物理や化学の「ナントカの法則」に必ず出てくる「万有引力定数」「気体定数」「アボガドロ数」「プランク定数」「クーロン定数」「ボルツマン定数」なんてものが付いていません。とっても謎めいています。
(3)光速度は一定不変である。これが最も重要です。実は「光速度は一定」が特殊相対性理論の出発点であって、歴史的にも最初に実証されました。
19世紀になると、実験装置を工夫して、それなりに正確に光の速度を測定することができるようになりました。そこで行なわれた実験は、地球が太陽を公転するのと同じ方向に光を飛ばして、その速度を測定したら、他の方向の光よりも速いだろうか?というものです。光が秒速30万キロで、地球の公転速度が秒速30キロくらいですから、1万分の1の違いを検出できれば、方向別の光の速度の違いがわかります。
で、その実験をいくらやっても、いつも速度は同じだったという・・・この結果は今では当然とされていますが、当時は摩訶不思議だったことでしょう。そして、「どの方向の光速度も一定になる理由」を説明するため「エーテルが存在すると考えれば都合が良い」ということになりました。
エーテルといっても、ジエチルエーテルのことではありません。もちろん銀河鉄道も関係ありません。この宇宙を満たす媒質のことです。空気の振動が音を伝えるように、エーテルの振動が光(つまり電磁波)を伝えると考えれば、光の速度が一定であることをどうにかこうにか説明できます。
たとえば、走ってるクルマが止まってるクルマを追い抜く瞬間に、両方のクルマが同時にクラクションを「パパー」と鳴らしたら、離れたところにいる人には、ちゃんと同時に鳴ったように聞こえますからね。ただし、クルマの進行方向側からその音を聞くと、走ってるクルマのクラクションの音が少し高く聞こえます。これが「ドップラー効果」です。
エドワード・E・スミスの小説「レンズマン」シリーズに登場する宇宙船は、エーテルの抵抗を小さくするために先頭がトンガってます。このエーテル理論は無理があるでしょう。地球は自分をとりまく周囲のエーテルを巻き込んで太陽を回っているみたいに考えないといけません。
(4)速度が速くなると質量がどんどん増える。恐るべきことですが、何も飲み食いしないのに走っただけで体重が増えてしまいます。どんどん重くなるため、いくらロケット噴射のエネルギーを使っても質量のあるものを光と同じ速度まで加速することができません。
ちなみに光には質量がありません。ところが光を帆に受けて進む「宇宙ヨット」は、光の運動量を帆に受けて進みます。つまり光にはエネルギーや運動量があるのに質量は無いのですね〜。不思議ですね〜。などとアオっておいてすみませんが、光の質量の話題は量子力学に踏み込んじゃうので、深入りしないでおきます。
(5)速度が速くなると物の長さが縮む。
これまた不思議なハナシです。速度が速くなると、時間が伸び縮みするだけでなく質量が増えたり長さが縮んだりするというのです。
これらの不思議について、次回以降で語っていきます。
いろんな実験をやった結果では、真空中の光速度が常に一定だった。その理由を説明するために、「宇宙がエーテルという媒質で満たされている」と考えるのは、イマイチ苦しいものがある。
そこでアインシュタインは「光速度は一定不変」であって、その代わりに「時間が伸び縮みする」という、とんでもないことを言い出しました。光速度が一定であると仮定して「そうゆうものだ」と思ってしまえば、時間のほうが伸び縮みするのです。その説明は簡単で、意外にアッサリしています。
図を参照してください。
秒速vメートルで走る列車の中で双子の兄のほうが、床から天井に光をとばして、その光が天井に届くまでの時間を測定するという実験を行ないます。兄は、床から天井に光が達するまでの時間を「t秒である」と観測しました。このt秒は、とても短い時間です。そして、列車の床から天井までの長さは、光速c(秒速30万キロメートル=秒速3億メートル)に時間をかけたctメートルです。
列車が走っていくのを線路の傍らで見ていた弟が、その光を観測したらどうなるでしょう。「時間の流れ方が変わる」ということですから、とりあえず弟にとって、その時間はt秒ではなくt’秒だとします。光は上下方向に光速cで走りますが、列車の進行方向にも速度vで走ります。光は上にctメートルだけ進む間に列車はvt’メートルだけ進みます。すると、列車に乗っていない弟から見ると、光の経路は斜めになります。斜めの経路の長さは・・・
√((ct)2乗+(vt’)2乗) となります。
光がその距離を進むのにかかる時間は、距離をcで割って得られます。
√((ct)2乗+(vt’)2乗))/c
=√(t2乗+(vt’/c)2乗))ですね。この値はtより大きいです。
それが弟にとってのt’秒であるということになりますが、今はそのことはさておいて、次に進みます。
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列車に乗っていない弟にとって、光は「t+α秒」の時間をかけて列車の床から天井に到達するのです。同じ現象を観測したのに、列車に乗ってない弟は「t+α秒」で、列車に乗ってる兄は「t秒」となります。
弟が「t+α秒経過した」と感じて、兄が「t秒しか経過していない」と感じるわけです。このような「時間の流れに違いが生じる」実験を、列車ではなく「光の速さに近い速度で飛ぶ宇宙船」で行なったら、弟が20歳トシをとって、その間に兄が1歳だけトシをとったりします。
もちろん、列車くらいの速さでは兄弟のフケ具合に違いはでませんが、それでも時間の進み方が違うことは確かであって、日常生活の中にも相対論効果は生じるのです。ただし、影響が小さすぎて気がつきません。乗務する列車が高速であるほど、乗務員の平均寿命が長い・・・などということも起きません。
このように「光速度が一定である」と仮定すると・・・というよりも「一定なのじゃぁ!」と決めてしまうと、けっこう気軽に時間が伸び縮みします。普通は時間と距離を元に速度を決定しますが、速度のほうが絶対君主になったので、時間や距離のほうが速度に合わせてグニャグニャに変わらなくてはならなくなったのです。
とはいえ「t秒」と「t+α秒」の違いといっても、なかなかピンときませんよね。そのあたりは次回の講釈です。
兄と弟の速度が違うと、二人にとって時間の流れかたが変わる・・・ということを前回説明しました。列車の例では、弟が「t+α秒経過した」と感じて、兄が「t秒しか経過していない」と感じます。このような「時間の流れに差がつく」という実験を「光の速さに近い速度で飛ぶロケット」で行なったら、弟が20歳トシをとって、兄が1歳だけトシをとったりします。
ここで、ロケットの速度と時間が伸び縮みする程度の関係を計算したくなりますし、多くの解説書はそうしています。そのために図と数式がたくさん出てきて、「ローレンツ変換」「4元ベクトル」の話が始まります。それは確かに正統的なキッチリしたやり方ではあります。しかし「相対性理論の本をチラッと読んだけど、なんだかわからない」という人の多くは、このあたりで脱落します。
「ローレンツ変換」や「4元ベクトル」なんか、たいていの人はそれまで知らなかったわけですから、新しい概念が出てきて、理屈が展開されて、数式を変形して・・・それで結論が出てきた頃には最初のほうのハナシを忘れてしまって、全体を把握できません。
サルでもわかる話をするからには「ローレンツ変換」「4元ベクトル」には触れないで、「ロケットの速度と時間が伸び縮みする程度の関係」を計算することにします。また、すぐに数式を見せると(一部の人が)イヤになってしまうので、計算を後回しにします。
そこで今回は・・・
双子の兄が光速に近い速さで飛ぶロケットに乗って、10年飛んで、地球から10光年離れた場所に行ったら、兄の視点では「自分はロケットに乗って1年飛んだ」と感じた
・・・というケースについて、「どの程度か」ではなく「どのように」ということだけ考えます。ロケットはどれくらいの速度で飛んだのか?、時間はどれだけ伸びたのか?、という計算は後でやりますので、ご心配なく。
(1)地球に残った弟の視点では、兄の時間がゆっくり流れた。
「視点」と書きましたが、これは便宜上の表現です。10光年離れた場所に到達した兄の姿を弟が観測するには、光が飛んでくるまでさらに10年待たないといけません。弟が地球で20歳トシをとったときに、1歳だけトシをとった兄の姿を見て「兄ちゃんの時間はゆっくり流れた」と感じるのです。
(2)兄の視点では、たった1年で10光年移動した。
それは「超光速」ではありませんか。光より速く飛んでも良いのですか?。相対性理論は「光速度が一定」を要請していますが「光速度が最高」という決まりはありません。見かけ上、光速を超えることがあっても物理学者に叱られたりしません。活動銀河の中心から噴出したジェットが光速に近い速度で地球の方向に飛び出してくると、見かけ上、ジェットが光速を超えて見えるという現象が観測されています。光より速いように見える物は、フツーに存在するのです。
(3)兄の視点では、宇宙の長さが縮んで10光年の距離が1光年になった。
ずいぶん強引な視点というか、いかにも自分中心のお兄さんですね。相対的な理論では、そうゆう考え方もアリです。世界中で「自分だけが正しくて、他人はみんな間違っている」と考えることができますが、同時に世界中から「オマエは間違っているぞ」と文句を言われるのに似ています。物事を相対的に考えるのはとても面倒なので、ついつい「この世には絶対的に正しいことがあるのだ」という前提で考えたくなります。カタクナな考え方をする人は、相対性理論と相性が悪いでしょう。
(4)弟の視点では、兄の質量が増えた。
弟の視点では、質量のある物体(兄の乗ったロケット)が、いくらエネルギーを使って加速しても光速に達しないことになります。これは「速くなると質量が増大するからだ」ということにすれば説明できます。そんなの単なるツジツマ合わせでじゃんか!と感じた方、ごもっともです。ですが、実験や観測の結果が理論を裏付けてきたので、誰も文句のつけようがありません。
・現象が観測される(光速が不変)
↓↓
・観測結果を説明するための理論(時間と距離と質量のほうが変わる)を提唱する
・ついでに非常識なことを予言する
↓↓
・理論を裏付ける実験が行われる
・予言通りの現象が観測される
↓↓
・理論が認められる時間や空間や質量が増えたり減ったりするという不思議な理論を超天才アインシュタインが、たった一人で考え出した・・・のではありません。それ以前にも「スピードを出すと、長さが縮むんだよ」と言い出した人がいました。オランダの物理学者ヘンドリック・ローレンツです。しかし、ローレンツは無理やりな計算をやっただけの変人みたいに扱われたのかも。
いっぽうアインシュタインは「いくら実験しても一定なんだから、とにかく光速度は一定である」ということにして、「時間や距離が伸び縮みするのはアタリマエ」「E=mc2乗で、質量は莫大なエネルギーです」とスラスラ説明しました。「どうして光速度が一定なのか?」を説明せずに、それが宇宙の性質だ!という出発点から様々な理論を展開して、それが実証されたとき世界がアッと驚き、そして自らの行為に恐怖しました。
彼の予言したことは次々と劇的な形で証明されました。それらのエピソードは、ネット検索するとあれこれ書いてあります。アインシュタインはローレンツらの研究をパクッて「エエトコどり」をしたような気もしますが、その他にも「光電効果」やら「ブラウン運動」やらを次々と発表したので、誰も文句のつけようがありません。
なんともスゴすぎるお方です。
・ヘンドリック・ローレンツもお忘れなく。