俺は
用心棒


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TVD 俺は用心棒


放映:NET 1967/04/03〜1967/09/25,1969/04/07〜1969/09/29
監督:河野寿一
音楽:渡辺岳夫
製作:東映京都テレビプロ

内容:栗塚旭主演。思想は無く、信条を持たず、そして徒党も組まず。幕末を舞台に、野良犬浪人・栗塚が魅せる痛快剣劇アクション。第一話のサブタイトルは「天を斬る」だ。「新選組血風録」の島田順司が沖田総司役で再登場する。


イントロ〜タイトル

 レコード収録版では、ビッグバンド風のイントロ音楽になっている。後半ではサックスのソロが加わり、ジャズっぽく展開する。
 ビデオを観たところでは、「名をなのれ!」などと騒いでおり音楽も「だんだだ、だだだだだだん、だだだ」と派手なリズムでまくしたてます。TV版のイントロは、本編第一話においてクライマックスに向かうシーンなのである。


おとこ独り OP

作詞:結束信二
作曲:渡辺岳夫
編曲:渡辺岳夫
歌:フォー・コインズ
SN-503,28AH-2192,28KH-2211,32DH-725,KIVE-39,TECD-25489,TECH-25072,TFC-1621~6,TECD-24619

 タイトルの後、意表をついてもの悲しい歌が始まる。男声合唱が寂しく歌い、伴奏も簡素。特徴的なのはコントラバスをつまびく音、そしてバシャッバシャッというビンザサラである。コントラバス=ジャズ奏者によるウッドベースだ。細かい音をのニュアンスを味わいたい。ビンザサラとは、木をせんす状にたばねた仏教楽器である。
 「帰ってきた用心棒/おとこ独り」では、まったく異なった派手な編曲になっている。


野良犬がいく IN

作詞:いけた純
作曲:渡辺岳夫
編曲:渡辺岳夫
歌:フォー・コインズ
SN-503

 これもフォー・コインズの歌である。カタルシス溢るる本編エンディングで演奏され、後奏は豪快オーケスラが堂々と締めくくる。挿入歌として使用される音楽は、ヴォーカルよりもコーラスがエエでする。




時代劇音楽 from 俺は用心棒


 本編をビデオ鑑賞して、劇音楽をレポートしました。歌モノ以外もなかなかの充実ぶりです。こんなサントラでないかな♪。


おとこ独り

コーラスバージョン
 「る〜るる〜♪」の女声合唱。伴奏はハープのアルペジオだけで、哀愁と孤独に満ちている。

ハミングバージョン
 「ム〜ムム〜♪」の男声合唱。おそらくフォー・コインズであろう。


おとこ独り テーマアレンジ

べんべ、べんべのリズム。「A〜〜、A〜C、E〜〜、C〜E」という三連系のベース。いろいろな映画やTVで聞かれる。良く聞くと完全な三連ではなくて、「付点4分+16分」との中間か七三程度。「おとこ独り」のメロディーは、まぎれもなく栗塚のテーマである。

ストリングスによる演奏は三連のリズムにあらず、美しくしっとりと聞かせる。嫌が上にも増すロマン。

もっとも印象的なアレンジは、口笛テーマ&アコギ伴奏。これぞ無頼の西部劇音楽である。ビンザサラもしっかりと鳴っているぞ。


CM前後

 CM前は、テーマアレンジなどその場面の劇伴音楽で盛り上げる。CM後はテーマ伴奏風のかき鳴らすギターだ。ただし、ビデオ化にあたって付け加えや編集があったかもしれない。当時TV鑑賞していた人の記憶はいかに?。


 以下、第一話のレポートである。第二話の音楽は、かなり傾向が異なっている。よほどていねいに音楽をつけたか、あるいは大量流用があるのかもしれない。やはりサントラが発売されて欲しいぞ。


べんべテーマ劇音楽

 「燃えよ剣」でもおなじみ「べんべ、べんべ」のリズムは既に欠かせないものになっている。人情ドラマの進行をサポートすべく、要所で「べんべ」をカマしている。もちろん「べんべ」という土台の上にのっかった主題はちゃぁんと存在しています。これは「俺は用心棒」第一話のドラマに欠かせないテーマになっている。


人情劇音楽

 弦の濡れたような音質の響きは、「新選組血風録」('65年)後半の雰囲気。中盤でエレキメロになる展開や「悲劇のE音」で始まる曲などは、すでに「アタックNo.1」('69年)の世界に到達している。


軽快劇音楽

 えま(仲宗根美樹)の登場場面は、オルガン(エレクトーンのような電子オルガン)と木琴のコロコロしたユーモラスな音楽だ。


剣劇音楽

現代でも三戸黄門などで伝統的に演奏される「だん、だだだだん、だだだ」三連マーチは当然のように登場。

なんとビックリ!。エレキサウンドでんでけでけでけロカビリーで痛快剣劇アクションしてしまう。カメラマンまで熱血躍動して画面そのものが大暴れ。「失うものなど何も無い」と言わんばかりの映像演出で大興奮できますぞ。


流用(?)劇音楽

 確証はないが、「新選組血風録」などからの流用もあるようだ。映画「土方歳三 燃えよ剣」('66年11月公開)の池田屋切り込みシーンと共通の音楽もある。年代が近くて、どっちが流用したのかされたのかわからない。
 映画「新書・忍びの者」('66年12月公開)と共通モチーフの音楽もある。これは流用ではなく、アレンジだろう。




TVD 待っていた用心棒


放映:NET 1968/01/29〜1969/07/22(全26話)
監督:河野寿一
音楽:渡辺岳夫
製作:東映京都テレビプロ

内容:伊藤雄之助が主演だけど途中で辞めちゃう。浪人剣士らが幕末の悪を懲らしめる。




TVD 帰って来た用心棒


放映:NET 1968/07/29〜1969/03/31
監督:佐々木康
音楽:渡辺岳夫
製作:東映京都テレビプロ

内容:栗塚旭主演。


野良犬がいく

作詞:いけた純
作曲:渡辺岳夫
編曲:山倉たかし
歌:栗塚旭
演奏:テイチク・レコーディング・オーケストラ
SN-687,TECD-25489,TECH-25072,TFC-1621~6,TECD-24619

 「巨人の星」('68年)でおなじみ、軍歌調のCマイナーだ。「新選組血風録/新選組の旗は行く」('65年)もマイナー軍歌だったが、時代をくだって「野良犬がいく」はややモダンになっている。演奏は軍隊調でも、栗塚旭は力まないのね。
 マイナー曲のクライマックスに向けてVでひっぱるのは、お約束。この曲では「明日の酒も〜♪」の「も〜♪」をGのコードで盛り上げる。が、その直後に「どうせさすらい星まかせ♪」で、サッと歌を終わらせてしまうあたりが、粋!。


おとこ独り

作詞:結束信二
作曲:渡辺岳夫
編曲:山倉たかし
歌:栗塚旭
演奏:テイチク・レコーディング・オーケストラ
SN-687

 栗塚旭(あさひ)の流れるような歌い方が好きなものですから。プロじゃない人の歌を聞くと、たまに変わった歌い方をする人がいてショックを受ける事があるんですけど(こういう歌い方もあるんだなあって)、この人はその典型(私にとって)のような人なもんで。
 この作品で栗塚旭が主題歌を歌う事になったのは、直前までTBS系で放送された同主演時代劇「風」の主題歌を歌ったから対抗して歌わせたんでしょうね。この頃、TBSとNETは激しい栗塚旭争奪戦をくりひろげていたそうですから。「風」(主題歌タイトル同じ、作詞:川崎高)は冬木透が作・編曲しているだけあって、ウルトラセブンの挿入歌「ULTRA SEVEN」そのものです。
 ところで「おとこ独り」はマカロニウエスタンの「続夕陽のガンマン」('67年)してますね。ぱっと頭に浮かびました。エンニオ・モリコーネ調ですよね。エンニオ・モリコーネの作るマカロニウエス タン・ミュージックと「おとこ独り」の編成自体、結構似通っています。エレキギターとストリングスの組合わせ自体特別珍しい物ではありませんが、何なんでしょうねこの似かたは。
ゲイランさん 1998/02/11


田島次郎のテーマ
KIVE-39


EP SN-503「おとこ独り/野良犬がいく」(廃盤)
EP SN-687「野良犬がいく/おとこ独り」(廃盤)

LP 28AH-2192,CC 28KH-2211,CD 32DH-725「栄光の東映テレビ映画〜懐かしのテーマ大全集」(廃盤)

CD TECD-25489「TV時代劇グレイテスト・ヒッツ2」
CD TECH-25072「テイチク時代劇アワー」
CD TFC-1621~6「チャンバラ万歳」
CD TECD-24619「懐かしのTV時代劇テーマ・ベスト集 チャンバラ・パラダイス」


VTR KIVE-39「渡辺岳夫の世界」




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