秘録
おんな牢


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映画 秘録おんな牢


公開:大映 1968/01/27
監督:井上昭
音楽:渡辺岳夫
製作:大映京都

内容:安田道代、中原早苗、しめぎしがこ。おしのは強盗殺人犯として仮入牢した。おんな牢で待っていたのは地獄の新人いぢめ。「秘録」などと冠して観客を集めた手前もあるので、映画前半では残酷&お色気描写の期待を高揚させます。後半では真犯人捜査のミステリーが燃え上がり、娯楽作品として一本スジを通しています。


オープニングシークエンス

大映マーク
 低弦の緊迫トリルA音。ティンパニはA音とD音の乱れ打ち(音質ボロくて音程よくわからんが)。特にメロディーはなく、とにかく緊張のオープニング。

イントロダクション
 ドラマの背景をナレーションで説明する。A音一発の、いわゆるBGM。やがてB音、C音で、ピアノや拷問擬音的なパーカッションも加わるが、とにかく一発でイントロ背景する。ウッドベースのグリスダウンが心拍のように反復する。発音しながらダウンするので、最初の音程がわかりにくい。最後はフルートとジャジィなミュートペットで、おんな牢内のストーリーへと導入する。

タイトル
 鈴のような「しゃらん」という音に大量にフィードバックをかけたエコー。キツすぎるフィードバックは、ほとんどノイズの増幅(でもキレイだよ)になっている。映画のエンディングもこのサウンドです。

テーマ
 スタッフロールの背景で、いわゆるテーマ音楽である。しかしこれは渋すぎて、ほとんどメロディーがない。リズムは「眠狂四郎・魔性の肌」(前'67年)と共通である。「A  A、A  A、A  A、AGBG」を繰り返し、コードはとにかくAm一発。Bm♭5(?)で一息つくが、休む間もなくAmを続行する。


前半の音楽

凶行劇伴
 殺人現場はドラムソロ@ビッグバンド。すぐに犯人は逃げ去って、容疑者の親娘はBm♭5で取り残される。

拷問劇伴
 オープニングはA音ばっかしだたくせに、ここではG音ばっかしだ。やはり低弦トリルを基調にして、ティンパニその他で「これでもか」とばかりに責め上げる。容疑者が自白しなくても、取り調べ中に死んじゃうと「一件落着」とは気楽な役人です。

ケンカ劇伴
 女囚同士が牢屋でケンカ。ウッドベースがウォーキング。トランペットが「ぷぁ〜〜〜ん、ぷぁわ!」と突き刺します。

サスペンス&同性愛&その他劇伴
 フルートの音色はしばしば「びろびろ」しており、トランペットにはミュートがついてジャズタッチのサウンド。レズ描写では、バイブを使用しています。バイブとはビブラフォンのことです。


後半の音楽

映画後半になって、ようやくメロディーらしいメロディーが登場する。「牢から出たい!」尼僧の情念は、Aマイナーの叙情的旋律で表現される。

かと思えば、女囚自殺場面はCマイナーである。'68〜'69年頃は渡辺劇伴の転機となっている。それ以前はAマイナーやCマイナーなどと調性を使い分けていたのが、以後は「メジャーはC、マイナーはA」のパターンが多い。

少女時代の回想は、サックスのソロで甘く歌い上げる。これまた叙情のAマイナー。

涙と別れのエンディングである。ナレーションと同時に「るる〜る〜♪」という女声コーラスが加わって、山下毅雄ばりの哀愁を盛り上げる。


作品固有の特徴と、複数作品に共通する特徴

 以上にまとめたごとく、前半は「ジャズ調」と「一発」が特徴になっています。ところが後半からクライマックスにかけて叙情的なメロディーが前面に出ており、これは'75〜'77年の牧口雄二監督作品にも共通した個性になっています。'60年代後半は「眠狂四郎」「緋牡丹博徒」といった派手な作品を手がけた渡辺岳夫ですが、牧口監督の琴線に触れたのは案外「秘録おんな牢」のような渋い作品なのかもしれません。
 ちなみに人斬りアクション場面や牢屋炎上スペクタクル場面では、劇伴音楽がありません。これも渡辺音楽演出に見受けられる特徴です。


VTR HTH-1304「秘録おんな牢」




映画 秘録おんな蔵


公開:大映 1968/07/13
監督:森一生
音楽:鏑木創
製作:大映京都

内容:田村正和。


VTR HTH-1306「秘録おんな蔵」




映画 続・秘録おんな牢


公開:大映 1968/11/16
監督:安田公義
音楽:渡辺岳夫
製作:大映京都

内容:安田道代、中原早苗、三木本賀代。おんな牢の鍵役(役人)は、収賄・いぢめ・セクハラのやりたい放題。ついには医師と結託し、殺人までたくらむ。女囚の怒りは頂点に達した。映画後半では「アクション+お色気+音楽」が一気に燃え上がります。


 タイトル曲は前作と同じテーマだが、豪華編曲になっている。女囚の拷問(というか役人によるセクハラ)場面では、現代音楽チックで凄ぇ効果。映像演出も斬新で、夢幻地獄を垣間見るようだ。サウンド面の特徴として、竹の棒で殴るような「ばしぃ!」という音が何度も何度も使用される。エレキギターはとにかく終止「じべじべ」している。


VTR HTH-1305「続・秘録おんな牢」




映画 秘録おんな寺


公開:大映 1969/01/25
監督:田中徳三
音楽:鏑木創
製作:大映京都

内容:中原早苗。


VTR HTH-1307「秘録おんな寺」




映画 おんな牢秘図


公開:ダイニチ映配 1970/10/14
監督:国原俊明
音楽:鏑木創
製作:大映京都

内容:田村正和、北島マヤ。


VTR HTH-1302「おんな牢秘図」




映画 秘録長崎おんな牢


公開:ダイニチ映配 1971/05/26
監督:太田昭和
音楽:鏑木創
製作:大映京都

内容:川崎あかね、真山知子。


VTR HTH-1303「秘録長崎おんな牢」




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