博徒
列伝


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映画 博徒列伝


公開:東映 1968/12/28
監督:小沢茂弘
音楽:渡辺岳夫
製作:東映京都

内容:鶴田浩二、大木実、待田京介、菅原文太、若山富三郎、藤純子、高倉健、川津清三郎。ずらりならんだスーパー任侠軍団。序盤で一通りの顔見せが終わると、悪人側が攻勢に出て、善人側に犠牲者が出ますが、最後には悪をやっつけます。玉川良一がユーモラスな役どころで脇を固めるが、やっぱり殺されてしまう。オールスター総進撃する関係上、細かい演出が適当な加減になっておりますが、音楽の盛り上がりもあって豪華な雰囲気で楽しめる。


博徒の花道

作詞:渡辺岳夫
作曲:渡辺岳夫
歌:北島三郎

 「緋牡丹博徒」(同'68年)と同じく、作詞も渡辺岳夫。タイトルバック、最後の殴り込みの前、決戦後の計3ヶ所で演奏される。最初は「博徒列伝」のメインタイトルで「ぶわ〜ん」というブラスのぶちかまし〜緋牡丹っぽいブンチャカのイントロ〜続いて歌が始まる。このように各場面の劇伴音楽から自然な流れで歌になっている。これぞ映画主題歌。
 歌そのものはサブちゃんにマッチした演歌の花道です。北島三郎は主題歌を歌うだけでなく画面にも登場する。啖呵は鮮やかだけど、腕っ節は今ひとつという役回りです。


監獄一家

 悪の手先の愚連隊。「キューティーハニー」('73年)ほどではないが、「じべ〜ん」とした音色のギターが悪のテーマになっている。Cマイナーで「GCCB♭C〜♪」のメロディー。鶴田浩二と対峙する時には、場面の流れに合わせてギターの主題が前に出てくるというていねいな音楽演出だ。


若山富三郎

 この映画で渡辺岳夫は、ストーリーではなくキャラクターに、それも俳優自体に音楽をつけている。同じ俳優が登場するたびにメロディーを再現するのでわかりやすいぞ。若山は悪役側で登場するため、メロディーは監獄一家と同じものだ。しかし、楽器を変えてサックスで演奏する。この音楽は映画「極道釜ケ崎に帰る」('70年)の極道テーマそのままの雰囲気だ。


藤純子

 藤純子演じる芸者は、脚本の指示に従って主人公・若勇(鶴田浩二)に思いを寄せる。彼女の音楽は愛のテーマ的なメロディーだ。雰囲気は「緋牡丹博徒」(同'68年)お竜さんそのまんま。しかし本作では博打も喧嘩もしないので、明るく軽くあるいは哀しいアレンジでの演奏。なべたけフルートの常套句、「BCDEDCB〜♪」も聴ける。


高倉健

 映画が半分くらい進んだところで、満を持して登場する高倉健。最初に映るのは彼の後ろ姿である。しかし!、とっておきのファンファーレが鳴れば、それだけで観客にはピンとくる。ほとんど前触れの無い登場なのに、音楽だけはケレン味たっぷり。健さん!待ってました!。


その他

 ストーリーの主軸になるのは鶴田浩二の善玉一派だが、彼らのための特徴的なメロディーは見あたらない。その反対に、ゲスト的に現れる若山・藤・健さんは明確なメロディーでサポートしたように思われる。もしもこの演出が無ければ、スター顔見せの無理っぽさが際だってしまいそうです。
 もちろんキャラ音楽だけでなく、喧嘩場面、お祭り場面、恒例の花札勝負などの劇音楽もしっかり鳴っております。しかし最後の大決戦場面には音楽がない。これも毎度おなじみの演出パターンだ。




任侠映画のオールスター作品

 私は昭和35〜45年頃の時代劇、昭和38年頃からの任侠映画、昭和49年頃からの実録やくざ路線の東映映画の大ファンです。ビデオもセルビデオで購入した作品、CS放送で録画した作品合をあわせて500本以上は所持しています。7月からDVDソフトの販売が始まるのでビデオの作品と重複しますが、選定しながら購入しようと考えています。そんな作品の中でも博徒列伝はもっとも気に入った一本です。

 昭和50年頃東京で学生生活をしていた頃、スチール写真が欲しくて大崎の東映の会社に「博徒列伝のスチール写真を売って下さい」と訪ねた事がありました。対応してくれた方が親切で「売ることは出来ない」と言って、無償でくれました。更に図々しく緋牡丹博徒・二代目襲名も頂いてきました。もう30年以上も前の事ですが懐かしい想い出があります。少々変色はしていますが未だに大切に所持しています。

 任侠映画のオールスター作品として作成された映画は、私の記憶では博徒列伝、侠客列伝、渡世人列伝、博奕打ち外伝、人生劇場・飛車角と吉良常、日本やくざ伝・総長への道、関東緋桜一家等がありますが、この博徒列伝が悪役も揃っていて迫力がありまた、脇役も賑やかで、ストーリーも良かった作品でした。欲を言えば、最後の斬り込みは、菅原文太、北島三郎(途中で死んだ)、高倉健(違う場所で闘っていた)も一緒だったら盛り上がったと今でも思っています。

 映画でも何度も視聴ましたし、ビデオでも幾度も視聴していますが、DVDソフト、セルビデオでも発売になったら購入しようと考えていますが、何故かセルビデオで販売になっていないのが残念に思っています。このスチール写真で鶴田、高倉、若山、菅原、北島が日本刀を握って並んでいるのは最高に格好いいですね。更に白黒のスチール写真では、大木実と待田京介が加わり豪華さをましています。
itsuki tatsushiさん 2002/05/27




VTR B-420「博徒列伝」




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