遊び

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映画 遊び


公開:ダイニチ映配 1971/09/04
監督:増村保造
音楽:渡辺岳夫
原作:野坂昭如「心中弁天島」
製作:大映東京

内容:高橋(関根)恵子、大門正明。父の残した借金に苦しむ少女&スケコマシ少年。二人の出会いと心情を、回想エピソードの積み重ねで演出する。松坂慶子がフーテン娘のチョイ役で登場する。他に平泉征、蟹江敬三、内田朝雄。音楽が鳴っている時間は比較的長く、一枚物か二作カップリングでサントラ盤を製作できるほどである。


オープニング〜メインタイトル

 大映マークの音楽。その響きが消えぬうちに、情念が胸に迫るメインタイトルが始まるのだ。テーマ音色は、究極的「じべじべ」音。渡辺岳夫はファズギターやミニムーグの「じべじべ」サウンドの使用が多いが、ここでは元が何の楽器かわからない(たぶんエレキギター)ほどの「じべじべ」ぶりである。合いの手のフルートが美しいだけに、いっそう「じべじべ」感が強調される。
 主題はAマイナーで「Am|Am|Em|Em|Am|Am|G|F|E|E」という流れ。前半はEのマイナーコードが情念の炎を燃やす。後半はメジャーの下降で受けて、モダンに展開する。
 中間部は「Gm|Gm|Am、D|F|F|E|E」で、チェンバロのテーマとそれに負けないウッドベースが聞きどころ。特に「Gm→Am→D→F」が鮮やかで、実に映画音楽的なのだ。
 最後は再び「じべじべ」テーマで、合いの手がチェンバロ、オルガンのバッキングも加わって「これでもか」と押しまくる。Aのメジャーコードで締めるのはいつものお約束。


テーマアレンジ

テーマをアレンジして3拍子になっている。さすがに「じべじべ」しておらず、チェンバロの上品な演奏だ。

テーマはフルート〜チェンバロで、美しい音だ。しつこい「じべじべ」はバックにまわっている。

映画の後半では演奏される頻度が増して、ドラマチックに盛り上げる。エンディングではDマイナーでの演奏からAマイナーへ転調する。この音楽の力によって、ラストシーンは実に叙情的になっている。


焦燥劇伴
 テーマアレンジよりも重要なほどであって、「遊び」劇伴の中核に成している。

「GF#D♪」の3音を繰り返すパターン。「白い巨塔」など多くの他作品で聞かれるフレーズを、この映画では多用している。「GF#D♪」を実際に演奏すればわかるが、これも焦燥の音楽だ。演奏するのはフルート、じべじべ、チェンバロ(ダルシマかもしれない)など。

「GF#D♪」の単なる繰り返しだけではなく、「ACD♪」や「CBCBA♪」といった音形をからめて展開させている。

「GF#D♪」を数回繰り返すだけのブリッジ曲もある。

異常なまでの「じべじべ」音は劇伴でも鳴り続ける。伴奏なしのソロで「じべじべ」するので、うるさいほどだ。淡々とした場面で不必要なまでの「じべじべ」が焦燥感を煽る。


その他
 後半はビブラフォンによる、愛のテーマとも言うべき演奏もある。


劇中音楽

やくざ映画の音楽
 若い二人は劇場で映画鑑賞しながらイチャつく。映画の一場面で豪快な音楽が鳴るが、何の映画作品なのか不明。

バーの音楽
 いわゆるBGMだ。TVアニメ「無敵鋼人ダイターン3」('78年)の劇伴と共通した雰囲気から考えて、渡辺岳夫オリジナルと思われる。

ゴーゴーホールの音楽
 当時は「ディスコ」という言葉は無かった模様。こちらはビートの効いたゴーゴー音楽。しかしよく聞くと上記バーBGMと似た流れがあるので、オリジナル曲の可能性がある。「あばれはっちゃく」など現代物ドラマではしばしばディスコ場面があって、その場面の音楽が既成曲なのかオリジナルなのか悩むことが多いのです。




VTR HTH-1214「遊び」

DVD DABP-1162「遊び」




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