狂四郎


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TVD 眠狂四郎


放映:KTV 1972/10/03〜1973/03/27(全26話)
監督:田中徳三、井上昭
音楽:渡辺岳夫
原作:柴田錬三郎
製作:東映

内容:田村正和主演。転びバテレンの父と日本人の母の間に生まれた眠狂四郎。刀をゆっくりと回す円月殺法に思わずつられて切り込んだ次の瞬間、相手は斬られている。
 有名なのは、映画の雷蔵だが、原作者の柴田錬三郎は田村正和が四十代になったところを想定して眠狂四郎を書いたのだという。昭和元禄の世相と相まって、田村・狂四郎は静かで虚無的で殺伐とした独特の美を感じさせる。
じゅんじゅんさん 1997/11/15


メインタイトル M27-A
STLC-042

 闇に潜む狂四郎。タイトルバックは「ぎゃん、ぎゃん、ぎゃん・・」と鳴り響くアバンギャルドなアコピ和音の積み重ねで、視聴者を一気に異次元の世界へと誘う。そこは江戸時代でもなければ日本でもない。


メインテーマ M27-B T4 OP
STLC-042

 OP映像は、赤と黒の背景に田村狂四郎がスローモーションで剣の舞。その切っ先はストップモーション。オルガンがクネクネと歌うメロディーに続いて、艶やかな「だばだばだ〜♪」。そして「はぁ〜はぁ〜♪」というスキャットも色っぽく、どこからどう見てもどう聴いてもヨーロッパ映画の世界であります。フランス・イタリア合作の無国籍作品に見えこそすれ、とても時代劇には見えません聞こえません。これこそ映像の美学と申せましょう。
 この番組が放送されたのは、ビデオ装置が一般に普及していなかった時代です。もしも当時この番組を観ていたら、あの不思議な音楽をまた聴きたくなって、「オープニングから見逃せない!」とばかりに、お茶の間のTVセット前で毎週スタンバっていたでしょう。ぶっちゃけ、Aメロが難しくて覚えにくかったのでした。全体の構成は、なんということはなくてAメロ→Bメロ→Aメロですが、最初のAメロにはベースが無くて伴奏楽器もわずかなので、コードがわかりません。逆にいえば、この曲には旋法的(モーダル)な魅力があるということです。
 メロディーだけを聴くとDドリアン(スケールはDEFGABCD)っぽい特徴があります。Dドリアンの曲は、しばしば主音のD音で始まって、要所で特性音であるB音を使います。仮にB音が半音低いBbだったら、Dマイナーになってしまうので、だからB音はDドリアンの特性音です。そして、Aメロのチャームポイントは「FGABGGEG♪」ですが、その頂点にあたるB音には装飾音までついてますね。OP映像ではこのあたりで田村狂四郎の構えた剣が上がりきった後でススッと下りていきます。
 こうしたことから、AメロはDドリアンで始まってAマイナー(短調)で終わるのか?などと思いました。ドリアンやフリジアンで始まってマイナー(またはエオリアン)で終わる音楽はよくあります。そこで、コードをさらってみました。Aメロ2回目はベースも加わるので、コードの面からも分析できます。

|C|Am|F|Em|

|F|Em、F|E7sus4/A、E7|Am|

 本格的なDドリアンだったら、まずDm(7)があってしかるべきです。それが、Cメジャーから始まっていて、メロディーはD音から「DCCGFEDC」と始まるので、このD音はDドリアンの主音ではなくて、Cメジャーの9thでした。キーボードで演奏してみると、超オシャレに聴こえます。
 第2小節はコードがAmで先頭がB音なので、これも9thです。第1小節と第2小節がいずれも9thで始まって、しかもコードはメジャーとマイナーが入れ替わります。C→Am→の続きでよくあるのはDmですが、そこでFメジャーをもってくると、ぐぐぐい〜っと前に出てくる感じがします。
 その後はFとEmを繰り返します。メジャー→マイナー→メジャー→マイナーの連続で、米国の野球選手だったらこの扱いに怒ってしまうところですが、FとEmを繰り返すのは渡辺岳夫が大得意とする秘伝の音楽殺法です。ここでは執拗なまでにクネクネと妖しく響くのであった。
 Aメロの最後はAmなので、普通に考えるとAマイナーの曲ということになります。しかしアタマはCメジャーから始まっています。これはいったいどうゆうことかというと、「軽いモーダルインターチェンジの連続」だと思われます。あくまで個人の解釈です。
 Aメロの最後は、E7→Amという形で着地します。E7は、それまで使っていたスケールから外れた音(G#)を使うドミナント型のコードであって、和声的(コーダル)なものです。それ以前はG#音を使ってなかったところへ、いきなりG#音を鳴らすと、なんとなくバッハ風に聴こえます。ドミナント型を乱発するのはバロック音楽の特徴だからでしょう。


孤独 ED

作詞:柴田錬三郎
作曲:関野幾生
編曲:小山恭弘
歌:沢竜二
演奏:クラウン・オーケストラ
尺八:村岡実
CW-1265,TECD-25489,TFC-1621~6

 ワウがかかったエレキ、コンガ、尺八という超絶アンサンブルが、時代を越えてカッコ良い。間奏ではニヒルなセリフがある。アイザック・ヘイズの「SHAFT」(黒いジャガーのメインタイトル)をパクっているといわれています。


斬る

作詞:柴田錬三郎
作曲:関野幾生
編曲:小山恭弘
歌:沢竜二
演奏:クラウン・オーケストラ
尺八:村岡実
CW-1265

 こちらもロック風味の映画音楽調。ぶ厚いオルガンサウンドにストリングスがのっかって、アコピもエレキギターもとにかく厚く歪んだ音を鳴らす。そして「死んでたまるか、この俺が♪」という絞り出すようなボーカル。これは魂の音楽だ。




EP CW-1265「孤独/斬る」
 「斬る」には、挿入歌という表示はありません。

CD TECD-25489「TV時代劇グレイテスト・ヒッツ2」
CD TFC-1621~6「チャンバラ万歳」

CD STLC-042「渡辺岳夫音楽選集 眠狂四郎オリジナル・サウンドトラック」
 ピアノかき鳴らしのメインタイトル→メインテーマ→M1T2→さらに続くという王道構成となっております。エンニオ・モリコーネのようなサントラ音楽に慣れ親しんでいる方には良い感じでフィットすることを請け合います。アルバムの終わりのほうにはテーマアレンジやメインテーマの別テイクがたくさん収録されていて、あの覚えにくかった(笑)メインテーマをしっかりおさらいできた頃に、やがて円月殺法の如くループしてCDの先頭に戻ると、再びメインタイトル→メインテーマ→M1T2→という具合に無間地獄が続きます。すべてのTV時代劇ファン、ナベタケファンの方は必ず聴くように。



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