斬り捨て
御免!


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TVD 斬り捨て御免!


放映:TX 1980/04/09〜1980/09/24,1981/04/08〜1981/09/16,1982/06/09〜1982/11/17
監督:森一生
音楽:渡辺岳夫、音楽制作:あんだんて
原作:島田一男「江戸三十六番所」
製作:京都映画

内容:中村吉右衛門(花房出雲)、橋幸夫(朝倉丹波)、長門勇(関大介)、伊吹剛(松波蔵人)、川崎公明(宇部伝十郎)。三十六番所頭取・花房出雲は江戸の人気を独り占め。大目付・朝倉丹波をバックにして、何でもかんでもやり放題。わかりやすいキメゼリフ「ごめ〜ん!」で悪党を一刀両断し、すべてを解決する。全3シリーズの放映です。


オープニング 第1、2シリーズOP

 和楽器アンサンブルで「ちょーん」「べんべ、べんべ」、かけ声の「ほっ」などで構成。映像は青地にオレンジの剣劇シルエット。既存の邦楽みたいにも聞こえるが、セリフがからむのでオリジナルかも?詳細不明。
 最後は「斬り捨て御免!」で「EF」半音上昇→Amadd9のストリングスはソリーナっぽい。半音上昇はTV時代劇「燃えよ剣」('70年)からの伝統だ。この最後の部分は、ブリッジとして本編でも演奏される。


テーマ曲 第2シリーズED

 ソウルからディスコ調のインスト音楽で、メロディーはたしかにナベタケておりますが、どうもノリが今一つです。アレンジ劇伴が本編演奏されます。


テーマ曲 第3シリーズOP

 これは痛快!当時のディスコ音楽もかくやと思われるビートにノッて、ベースはチョッパーがんがんで、パーカッションも効いている。テーマは減衰系のシンセ音(エフェクト過剰気味)〜情熱ハイノートのトランペット。特筆すべきはボコーダー的な音色だ。ブツブツと切れ目があるような、特徴的な音色です。これは聴く人が聴けば何の楽器かわかると思う。このサウンドは本編劇伴にも活用される。
 インストものにしては珍しくEマイナー調である。テーマを演奏する楽器がよく響く調として選択したのかもしれない。この件ではトランペット奏者の意見を賜りたく存じます。
 OP映像には、脈絡のないお色気女体シルエット。そして夜空から奇っ怪な鬼面が来襲する。


テーマ曲 第3シリーズED

 オープニングと同じ音楽だが、構成が異なる。テーマはシンセ音〜フルートで、中間部にはギンギンエレキの迫力ソロ演奏がフィーチャーされている。要所はEメジャー(Iメジャー)で締めるのも、伝統の手法だ。
 ED映像はクレジット中心で、背景には赤・青・緑の鮮やかな水しぶき(?)。


君はやさしかったか 第1シリーズED

作詞:櫟文平
作曲:渡辺岳夫
編曲:竹村治郎
歌:川崎公明
TP-10696

 どこからどう聴いても、演歌の花道の世界であります。チョロっとマンドリンが鳴らなければ、なべたけ曲とはわからぬほどです。マイナー曲でアクセントになるIVのメジャーコードがでてこない。なべたけマイナー曲の華であるIメジャーもでてこない。Vメジャーはさすがにでてくるけど、しつこく「じゃ〜ん」と鳴らしてIマイナーを導くという泥臭い使用で、Vのメジャー3rdに相当する音(ある種の魅力があります)がメロディーに登場しない。
 お説教的で、語りかけるような詞の内容。「君もゆくのか♪」の繰り返しが、ややしつこくて耳につく。映画「緋牡丹博徒」主題歌にも「女の、女の、女の♪」の繰り返し(こちらはメロは繰り返さない)がある。なべたけ演歌の特徴か?。たとえしつこくとも、演歌ならば演歌としてそれらしくまとまっています。シンセ系の音色は無く、豪華編成による演奏で端正な仕上がりになっています。


いなせ節 第1シリーズED2

作詞:櫟文平
作曲:渡辺岳夫
編曲:竹村治郎
歌:川崎公明
TP-10696

 こちらもド演歌一直線。コメントを書きようがないので、困ったな。でも「君はやさしかったか」よりは、モダンな歌かもしんない。いわゆるド演歌・歌謡曲とは異なる特徴がわかったら、指摘をよろしく。




 第1シリーズ再放送を鑑賞しながら本編劇伴をチェックしました。第2シリーズの音楽は、主題など傾向が変わります。TV時代劇「新選組血風録」('65年)の音楽も鳴っております。楽器音色もいろいろあって、流用的な雰囲気がある。音色やエフェクトが特撮ドラマを思わせるのは、音楽制作「あんだんて」だからかな。テキストになるサントラ盤等が見あたらないので、以下では便宜上のタイトルをつけています。


サブタイトル

 弦の「ばしゃっ」からEメジャーをず〜〜んと鳴らして展開に期待させる。本編でもブリッジ使用される。なお、アイキャッチには音楽はなく、無音の剣劇シルエット赤青映像。第2シリーズのアイキャッチはブリッジ付きで、広がる扇子に「斬」の一文字。


テーマアレンジ

いなせ節
 EDが「君はやさしかったか」から「いなせ節」に変わった頃から、軽い人情場面などでインスト演奏された。


花房出雲のテーマ

斬り捨て劇伴の中心テーマである。マイナーで始まるものの「Am|Am|D|D|F|F|Esus4|E」というメジャーコードの連続で、出雲のように明朗な進行だ。特に出だしの「Am→D」は、う〜んナベタケ!と唸りたくなる。本編導入部では藤田まことのナレーションとともに、花のお江戸のストリングスが朗々と堂々と鳴り響く。これが第2シリーズでは少ないので寂しいなー。

エレピとアコギによる静かなバージョンもある。他にフルート&エレピなど。

予告編音楽もこのテーマだ。出雲のテーマの前に、ワウも艶やかなチャカチャカエレキで景気をつけるバージョンもある。


通常場面劇伴

ストリング群を中心にして、アコピをバックに配置するイージーリスニング路線の叙情劇伴。ソリーナストリングス&アコピバックもあり。

黒田節の進行に似た、ほのぼのとしたBGM。普段はおっとりの若様・橋幸夫によく似合う。

エレピとアコギをフィーチャーした明るいBGM。・・などがある。


緊迫場面劇伴

長くのばした白玉コードがやはり半音上昇して、ドス黒い悪の雰囲気。緊張を破るのはティンパニの間欠泉。アコピは「右門捕物帖」路線で、低音が「ごきっ」としている。

長く伸ばしたシンセストリングス単音で、背後ではブラスが間欠的に「ぶばっぶばっ」。


戦闘場面劇伴

「春の祭典」(作曲:ストラビンスキー)よろしく「ざん、ざん、ざん、ざん・・・」

シンセストリングスの三連音符「EFG、AGF、E〜〜〜〜♪」から一気に緊迫して、ティンパニも「だんどん」と盛り上げる。その後は待ってました!の剣劇アクションだ。生弦も使っているだけに、シンセの使用にはある種のこだわりを感じる。

トリりっぱなしの弦に、ブラス・ティンパニ・ビブラスラップその他がどんちゃかどんちゃかやりまくるので、画面を消すとガンダムが戦闘しているみたいです。

チャンバラ場面では、それまでの流れを無視するほどのディスコティックショータイムである。臭かろうが遠慮なくエコーを効かせた弦のテーマ、ビル・コンティ路線のブラスが「どばどば」と、アコピが「きゃらきゃら」と、ワウのエレキが羞恥心をかなぐり捨てて気迫の殺陣を演じる。


戦闘後劇伴

 たたかいすんで再び花房出雲のテーマ。〜ラストシーンに向かって、トランペットがソロで朗々と奏でる人情テーマ。ベースは「べんべ」を改めイナセなフュージョン風。エンディングはもちろんAのメジャーコードでこれまた明朗。今日もお江戸は日本晴れ。


 予算のせいか、終止アクションというドラマではない。そのため、ほのぼの音楽やサスペンス音楽が多いようだ。また、セリフをきっかけに劇伴がスタートする演出があり、このあたりも心理面優先か。
 ベース音は「べんべ」とした音色が多く、このあたりはTV時代劇「影同心」('75年)の雰囲気だ。かと思えば、和楽器(特に打楽器)も平気で使用。幽霊の出そうな「ひゅ〜ひゅ〜」。さらには懐かし邦画路線の管弦中心音楽もある。いろいろアリすぎで、金があるんだか無いんだかわからないぞ。やはり流用してるのか?。




EP TP-10696「君はやさしかったか/いなせ節」(廃盤)




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