放映：CX 1981/05/01
監督：岡本喜八
音楽：渡辺岳夫
原作：山本周五郎
製作：映像京都

内容：仲代達矢、浅茅陽子、その他にも岸田森、岡本富士太、天本英世が出演している。岸田森の悪役ぶりがキレまくり。時代劇なのに、吸血鬼みたいな顔してはります。市川崑監督の劇場作品「どら平太」と同じ原作の「町奉行日記」を題材にしているのだが、なんと「どら平太」で主演する役所広司がチョイ役で登場する。市川崑と岡本喜八は御存知邦画の両巨頭。「着ながし奉行」と「どら平太」を並べれば、まさに一粒で二度美味しい極上エンタテインメント。複雑なプロットを鮮やかに見せた市川作品も良かったですが、この岡本版には何とも言えない味があります。ところで音楽は・・・予算と期間がかなり苦しかったみたいな・・・。ほとんどを打楽器一丁で「ちゃらんこ、ちゃらんこ」やってるだけですし。さすがにエンディング曲は渋い響きで良い味がありましたが、それも三種類しか楽器が無いという・・・。

梅安蟻地獄

放映：CX 1982/01/22
監督：児玉進
音楽：渡辺岳夫
原作：池波正太郎「梅安蟻地獄」「秋風二人旅」「闇の大川橋」
製作：東宝

内容：2時間枠で放送された時代劇スペシャルの第一作。表稼業は針医者、裏稼業は仕掛け人の藤枝梅安を小林桂樹が演じる。味方役に柴俊夫、田村高廣。敵役に森山周一郎、立川光貴、今井健二。他に中村又五郎、神崎愛、賀原夏子。ナレーターはおなじみの芥川隆行。
　3つの原作をまとめた複雑な構成故か、物語の細かい部分が若干乱れている。が、場面ごとの演出がていねいな作り込みで、DVDで見応え十分。梅安をとりまく人物紹介描写もバッチリだ。

DVD KIBF-3024

　「必殺」ではない仕掛け人の音楽演出は、地味で抑えめだ。オープニングでも殺しの場面でもアコースティック・ギターを中心とした小編成アンサンブル。「仕掛け」の場面では、これが恐ろしい効果を出している。もちろん映像は「殺し」の描写。しかし音楽は美しく静かで、叙情的ですらある。
　仕掛け人勢揃い場面も抑えた演出で、彼らは静かに語り合う。そこへ哀愁誘うナベタケ節とくれば、たまらない。時代劇サスペンスでは毎度恒例の間欠ブラスも登場する。全体には、予算と手間暇が比較的かかっていないようだ。同じ時代劇スペシャルでも「人形佐七捕物帖 死をよぶ猫は金の爪」('84)のほうが充実している。シリーズの今後に期待しよう。

梅安流れ星

放映：CX 1982/04/16
監督：児玉進
音楽：渡辺岳夫
原作：池波正太郎「梅安流れ星」「梅安初時雨」
製作：東宝

内容：小林桂樹の梅安第二作。柴俊夫、田村高廣、中村又五郎、神崎愛、賀原夏子らレギュラーの他に、船戸順、織本順吉、荒木しげる、高品格、田中昭夫、ナレーターは芥川隆行。

　小杉十五郎(柴俊夫)は、道場の跡目争いに巻き込まれて命を狙われる。一方、梅安にはとんでもない仕掛けの依頼がやってきた。なんと、音羽の半右衛門(普段は彼が梅安に仕掛けの依頼をする)を殺ってほしいという。サスペンスフルで複雑なストーリーだが、鮮やかな演出で見せてくれる。DVDでの繰り返し鑑賞に耐える映像ソフトなのだ。

DVD KIBF-3025

　やはり抑えめな音楽演出だが、今回は前作よりもやや豪華な印象。OP、ED、緊迫場面、料亭場面等々・・・前作で使われた音楽に加え、叙情的な劇伴音楽(これぞナベタケみたいな)がタイミング良く、しかもタップリ演奏されるからだ。実際、映像とのシンクロ率が高く、緻密なドラマを多いに盛り上げている。

梅安迷い箸

放映：CX 1982/10/15
監督：小野田嘉幹
音楽：渡辺岳夫
原作：池波正太郎「梅安迷い箸」「さみだれ梅安」
製作：東宝

梅安晦日蕎麦

放映：CX 1983/01/07
監督：児玉進
音楽：小野田嘉幹
原作：池波正太郎「梅安晦日蕎麦」「春雪仕掛針」」
製作：東宝

梅安針供養

放映：CX 1983/04/15
監督：小野田嘉幹
音楽：渡辺岳夫
原作：池波正太郎「梅安針供養」
製作：東宝

梅安岐れ道

放映：CX 1983/07/15
監督：児玉進
音楽：渡辺岳夫
原作：池波正太郎「秋風二人旅」「梅安最合傘」
製作：東宝

梅安乱れ雲

放映：CX 1983/11/03
監督：小野田嘉幹
音楽：渡辺岳夫
原作：池波正太郎「梅安乱れ雲」
製作：東宝

内容：藤枝梅安(小林桂樹)、彦次郎(田村高廣)、音羽の半右衛門(中村又五郎)、おもん(神崎愛)、小杉十五郎(柴俊夫)、おせき(賀原夏子)

　なべたけ・時代劇ではフジ「時代劇スペシャル」枠の「仕掛人藤枝梅安（小林桂樹）」も興味あります。アコースティックギター主体の作風は、やっぱ映像化の元祖・ABC「必殺仕掛人（緒 形拳）」の平尾昌晃＆竜崎孝路の向こうを張ったっちゅー感じがしないでもないですし・・・
　「必殺・・・」のＯＰはギター、ベースペット、カスタネットで奏でる「仕掛人のテーマ」がフラメンコの名曲ですし、殺しのテーマは主題歌「荒野の果てに」のウエスタンアレンジが後のシリーズまで流用される名アレンジとして有名なナンバーです。
　そんなメジャーな作品のフジ版は、渡辺氏らしいアプローチで”なべたけ劇伴”が確立していたように思います。「静」のイメージは、緒形ほど毒々しい芝居とは対極な小林梅安のソレ(坊主頭のヅラはいただけないけど)とマッチしていました。
しののめさん 1999/07/05

放映：CX 1982/05/28
監督：児玉進
音楽：渡辺岳夫
原作：颯手達治
製作：映像京都

内容：加藤剛、岡まゆみ、植木等。加藤剛が蘭学者役で、ストーリーははっきり言って「ローマの休日」そのものといった感じ。姫役は名前を忘れましたが、一連の「まんがＯＯ物語」シリーズの初代おねえさんだったと思います。まるで「ガンダム」してるかと思えば、「江戸の朝焼け」になったりと、一 つの作品で二粒以上楽しめるBGMでした。
河口京一さん(思いだし&内容記述)
腹巻猫さん(データ提供) 1997/12/15

放映：CX 1982/06/11
監督：森一生
音楽：渡辺岳夫
原作：大佛次郎
製作：大映

内容：平幹次郎、近藤洋介、太地喜和子。幕末が舞台の、密命をおびた二人の隠密の話。エンドタイトルではなべたけストリングス＆なべたけコード続出の巨塔／ガンダムスタイル。確か、背景は桜島の実写映像だった記憶が．．．。
河口京一さん(思いだし&内容記述)
腹巻猫さん(データ提供) 1997/12/15

放映：CX 1983/01/28
監督：倉田準二
音楽：渡辺岳夫
原作：柴田連三郎
製作：東映、OFFICEヘンミ

内容：里見浩太朗が源氏九郎と遠山金四郎の二役を演ずる。もちろん遊び人の金さんとしても登場するので全部で三役。さらには主題歌まで歌ってしまう大サービス。中丸忠雄、金田龍之介、小松政夫、辺見マリ、高橋元太郎が脇をガッチリ固める豪華キャスト。ナレーションは芥川隆行の名調子。

ちぎれ雲 OP

作詞：山上路夫
作曲：渡辺岳夫
歌：里見浩太朗

放映：CX 1983/10/03
監督：大洲齊
音楽：渡辺岳夫
原作：浅井昭三郎
製作：映像京都

内容：江波杏子と大場久美子が主演。久米明は脇役ながら、ドスの効いた声で存在感抜群。物語の大半は牢屋が舞台という、ATGの映画みたいな演出。これがTVで放送されたというのは、信じがたいほど。音楽は、控えめなドラムス、バッキングばかりの控えめなギター、チョッパーぎんぎんのベース、主題はケーナなのような悲しい笛の音が中心で、これにリヴァーブの効いたピアノが絡む。演奏者は少ないが、オーディオ的に凝った作りだ。