タイトル | 公開 | 監督 | 原作 | 製作 | 出演 |
池田大助捕物帖 血染の白矢 | 日活 1957/06/04 | 冬島泰三 | 野村胡堂 | 日活 | 長門裕之、美多川光子、沢村国太郎 |
陽気な仲間 | 大映 1958/03/18 | 弘津三男 | 大映京都 | 勝新太郎、浦路洋子、楠トシエ | |
流れ星十字打ち | 大映 1958/04/16 | 渡辺実 | 南条範夫 | 大映京都 | 林成年、三田登喜子、中村玉緒 |
白蛇小町. | 大映 1958/06/15 | 弘津三男 | 大映京都 | 梅若正二、中村玉緒、毛利郁子 | |
青蛇風呂. | 大映 1959/01/22 | 弘津三男 | 大映京都 | 島田竜三、毛利郁子、小町瑠美子 | |
からくり雛人形 | 大映 1959/02/25 | 西沢宣匠 | 角田喜久雄 | 大映京都 | 島田竜三、岸正子、大和七海路 |
虹之介乱れ刃 | 大映 1960/02/10 | 西山正輝 | 南条範夫 | 大映京都 | 中村豊、島田竜三、鶴見丈二 |
まぼろし探偵 地底人の襲来 | 新東宝 1960/02/14 | 近藤竜太郎 | 桑田次郎 | 三東映画 | 加藤弘、二本柳寛、水原久美子 |
透明天狗. | 大映 1960/03/01 | 弘津三男 | 大映京都 | 中村豊、近藤美恵子、真城千都世 | |
東洋の旅 | 新東宝 1960/04/16 | 日映科学 | 長島金吾 | ||
甲賀の密使 | 大映 1960/05/18 | 西沢宣匠 | 大映京都 | 丹羽又三郎、島田竜三、鶴見丈二 | |
競艶八剣殿 | 大映 1960/08/24 | 西山正輝 | 島田一男 | 大映京都 | 中村豊、阿井美千子、三田登喜子 |
わんぱく公子 | 大映 1960/11/22 | 弘津三男 | 山手樹一郎 | 大映京都 | 鶴見丈二、中村豊、島田竜三 |
VHS HTH-1607「白蛇小町」
VHS HTH-1609「青蛇風呂」
VHS HTH-1518「透明天狗」
公開:大映 1958/06/15
監督:弘津三男
音楽:渡辺岳夫
製作:大映京都
内容:梅若正二、中村玉緒、毛利郁子。昔の映画で尺が短くて、わずか68分。自分の生年よりも以前の映画を観る頻度は少ないですが、名作も数多いので、機会を作ってはチョコチョコ観るわけです。「白蛇小町」の音楽は、いかにも昔の時代劇風の「ぶわぁ〜ん」が多くて、とにかくブラスはデカく長く、弦と一緒にダラダラ鳴らします。そのいっぽう、現代ミステリー物に通じる小編成もアリ。物語の進行は・・・妖怪ホラーやら剣劇アクションやらメロドラマやら、いろいろあるのですが、当時としては派手なほうに分類されたとおぼしきお色気シーンもありまして〜、正直よくわからないゴッタ煮風です。音声が悪くて、セリフも聞き取りにくいですし、ちょっと困りました。
タイトル | 公開 | 監督 | 原作 | 製作 | 出演 |
うっちゃり姫君 | 大映 1961/05/10 | 田坂勝彦 | 大映京都 | 弓恵子、岸正子、浦路洋子 | |
新・事件記者 大都会の罠 | 東宝 1966/06/30 | 井上和男 | 島田一男 | 東京映画 | 永井智男、園井啓介、山田吾一 |
新・事件記者 殺意の丘 | 東宝 1966/08/31 | 井上和男 | 島田一男 | 東京映画 | 永井智男、園井啓介、滝田裕介 |
土方歳三 燃えよ剣. | 松竹 1966/11/12 | 市村泰一 | 司馬遼太郎 | 松竹大船 | 栗塚旭、和崎俊也、小林哲子 |
海に生きる | 東映 1966/11/13 | 大島善助 | 東映教育映画部 | 小松方正 | |
新書・忍びの者. | 大映 1966/12/10 | 池広一夫 | 大映京都 | 市川雷蔵、安田道代、富士真奈美 | |
若親分を消せ. | 大映 1967/02/11 | 中西忠三 | 大映京都 | 市川雷蔵、富士真奈美、柴田美保子 | |
花札渡世 | 東映 1967/03/10 | 成沢昌茂 | 東映東京 | 梅宮辰夫、鰐淵晴子、城野ゆき | |
砂糖菓子が壊れるとき. | 大映 1967/06/10 | 今井正 | 曽野綾子 | 大映東京 | 若尾文子、津川雅彦、藤巻潤 |
男涙の破門状 | 東映 1967/06/17 | 山下耕作 | 東映京都 | 鶴田浩二、大木実、桜町弘子 | |
兄弟仁義 関東命知らず. | 東映 1967/08/12 | 山下耕作 | 東映京都 | 北島三郎、村田英雄、鶴田浩二 | |
監獄への招待 | 大映 1967/09/02 | 井上昭 | 大映東京 | 田宮二郎、真理アンヌ、野際陽子 | |
脱獄者 | 大映 1967/10/14 | 池広一夫 | 大映東京 | 丹波哲郎、藤巻潤、待田京介 | |
懲役十八年 仮出獄. | 東映 1967/10/21 | 降旗康男 | 東映東京 | 安藤昇、伊丹十三、若山富三郎 | |
残侠の杯. | 大映 1967/12/02 | 田中徳三 | 大映東京 | 田宮二郎、梓英子、浜田ゆう子 | |
若親分千両肌. | 大映 1967/12/30 | 池広一夫 | 大映京都 | 市川雷蔵、藤村志保、久保菜穂子 | |
秘録おんな牢. | 大映 1968/01/27 | 井上昭 | 大映京都 | 安田道代、中原早苗、しめぎしがこ | |
ひとり狼. | 大映 1968/04/20 | 池広一夫 | 村上元三 | 大映京都 | 市川雷蔵、小川真由美、岩崎加根子 |
講道館破門状 | 大映 1968/05/18 | 井上昭 | 大映京都 | 峰岸隆之介、松尾嘉代、梓英子 | |
馬賊やくざ. | 東映 1968/05/21 | 小沢茂弘 | 東映京都 | 鶴田浩二 、松方弘樹、遠藤辰雄 | |
続・やくざ坊主. | 大映 1968/07/13 | 池弘一夫 | 大映京都 | 勝新太郎、朝丘雪路、松尾嘉代 | |
関東女やくざ. | 大映 1968/08/24 | 井上昭 | 大映京都 | 安田道代、渚まゆみ、三条魔子 | |
尼くずれ | 大映 1968/10/05 | 池弘一夫 | 今東光 | 大映京都 | 安田道代、三木本賀代、小林直美 |
女めくら 花と牙 | 松竹 1968/10/12 | 市村泰一 | 松竹大船 | 荒井千津子、内田良平、久富惟晴 | |
ごろつき. | 東映 1968/10/12 | マキノ雅弘 | 東映東京 | 高倉健、菅原文太、吉村実子 | |
ある女子校医の記録 初体験 | 大映 1968/10/30 | 帯盛迪彦 | 大映東京 | 南美川洋子、渥美マリ、八代順子 | |
横紙破りの前科者 | 東映 1968/11/02 | 小沢茂弘 | 東映京都 | 若山富三郎、中村玉緒、待田京介 | |
続・秘録おんな牢. | 大映 1968/11/16 | 安田公義 | 大映京都 | 安田道代、中原早苗、三木本賀代 | |
博徒列伝. | 東映 1968/12/28 | 小沢茂弘 | 東映京都 | 鶴田浩二、高倉健、藤純子 | |
妾二十一人 ど助平一代 | 東映 1969/03/06 | 成沢昌茂 | 小幡欣治 | 東映東京 | 三木のり平、佐久間良子、森光子 |
殺し屋をバラせ | 大映 1969/04/05 | 池広一夫 | 藤原審爾 | 大映京都 | 峰岸隆之介、酒井修、益田ひろ子 |
用心棒兇状旅 | 大映 1969/05/17 | 井上昭 | 大映京都 | 本郷功次郎、長門勇、亀井光代 | |
秘剣破り. | 大映 1969/05/31 | 池広一夫 | 五味康祐 | 大映京都 | 松方弘樹、本郷功次郎、岩井友見 |
女親分 喧嘩渡世 | 東映 1969/09/19 | 原田隆司 | 東映京都 | 清川虹子、菅原文太、待田京介、大木実、橘ますみ、山城新伍 | |
めくらのお市 みだれ笠 | 松竹 1969/10/01 | 市村泰一 | 棚下照生 | 松竹大船 | 松山容子、伊吹吾郎、井上清子 |
関東おんなド根性. | 大映 1969/10/04 | 井上昭 | 大映京都 | 安田道代、吉田輝雄、中谷一郎 | |
極道釜ケ崎に帰る. | 東映 1970/01/20 | 山下耕作 | 東映京都 | 若山富三郎、大木実、山城新伍 | |
透明剣士. | 大映 1970/03/21 | 黒田義之 | 大映京都 | 酒井修、熱田洋子、桂三枝 | |
おんな極悪帖. | 大映 1970/04/04 | 池弘一夫 | 谷崎潤一郎 | 大映京都 | 安田道代、田村正和、小山明子 |
めくらのお市 命貰います. | 松竹 1970/04/08 | 市村泰一 | 棚下照生 | 松竹大船 | 松山容子、目黒祐樹、丹波哲郎 |
博奕打ち 流れ者 | 東映 1970/04/18 | 山下耕作 | 東映京都 | 鶴田浩二、藤純子、待田京介 | |
あゝ独身. | 大映 1970/05/16 | 黒田義之 | 大映京都 | 西川きよし、横山やすし、花紀京、岡八郎 | |
遊侠列伝. | 東映 1970/07/04 | 小沢茂弘 | 東映京都 | 高倉健、藤純子、浜木綿子 | |
あしたのジョー. | ダイニチ映配 1970/07/22 | 長谷部安春 | 新国劇映画、日活 | 石橋正次、亀石征一郎、辰巳柳太郎 | |
ママいつまでも生きてね | ダイニチ映配 1970/09/23 | 池広一夫 | 杉山要吉 | 大映東京 | 中村光輝、小山田宗徳、月丘千秋 |
喧嘩屋一代 どでかい奴. | 大映 1970/11/14 | 池弘一夫 | 大映京都 | 勝新太郎、藤田弓子、山内明 |
DVD DA-0464「土方歳三 燃えよ剣」
DVD DABA-0454「新書・忍びの者」
VHS HTH-1339「若親分を消せ」
DVD DSTD-02548「兄弟仁義 関東命知らず」
VHS TE-B337「懲役十八年 仮出獄」
VHS MFH-1304「残侠の杯」
VHS HTH-1341「若親分千両肌」
VHS HTH-1304「秘録おんな牢」
DVD DABA-0102「ひとり狼」
VHS HTH-1400「続・やくざ坊主」
DVD DABA-91029「関東女やくざ」
DVD DRTD-02519「ごろつき」
VHS HTH-1305「続・秘録おんな牢」
VHS VRTB-00420「博徒列伝」
VHS LFH-1154「秘剣破り」
VHS TE-B238「極道釜ケ崎に帰る」
DVD DABA-0237「透明剣士」
DVD DABA-0595「おんな極悪帖」
VHS HTH-1045「ああ独身(チョンガー)」
VHS TE-B107「遊侠列伝」
DVD BBBN-4001「あしたのジョー(実写版)」
VHS HTH-1408「喧嘩屋一代 どでかい奴」
公開:東映 1967/08/12
監督:山下耕作
音楽:渡辺岳夫
製作:東映東京
内容:主演は北島三郎で、主題歌挿入歌を映画の最初と途中と最後でしっかり歌います。舞台は第一次世界大戦の頃の横浜。流れ者の竜次(北島三郎)を中心に物語が展開・・・と思いきや、「特別出演」の鶴田浩二が中盤で颯爽と現れて、エエ場面を全部さらっていってしまいますよ。なんじゃとて。健さんが出たら、こうなります。
鶴田浩二が出たら、こうなります。
文太アニイが出たら、こうなります。東映任侠映画の世界観が大前提になっておりますので、ドラマツルギーもへったくれもござんせん。サブちゃんの活躍を楽しみに劇場に足を運んだ観客には物足りなかったかも?。TVの歌番組で歌う姿を見るぶんには気がつきませんでしたが、北島三郎は他の役者よりも頭半分背が小さくて、画面の中でのバランスがじゃっかん気になりました。
音楽はもちろん渡辺岳夫。ただしサブちゃんの歌とは無関係に劇伴のみを担当。仁侠映画の正道を行くブンチャカ路線。前半は音楽が少なめで、後半に向かって盛り上げる。ナベタケらしさがほとばしるのは鶴田浩二の女房役が病死する場面。人数が少ない弦セクションで、弓で弦を擦るときの軋むような音がしっかり聴こえる泣かせ節。そんなクラシック楽器にイナセなエレキを重ねれば、大正ヤクザ浪漫の香りがプンプン漂ってまいります。
公開:大映 1968/08/24
監督:井上昭
音楽:渡辺岳夫
製作:大映京都内容:1968年にモノクロ作品ということは、何だかこだわりあったみたいです。オープニングのアクション・シークエンスがなかなか凝っていて、いきなり主役の女三人流れ者がヤクザの親分が住むマンションに乗り込む場面など、やたらに音楽がカッコよいです。 ただし、つっこみどころも盛りだくさんにあります。ヤクザの親分とサイコロ勝負をするというので、てっきり丁半博打だと思ったら。渡辺文雄が演じる親分がやおらツボを振ってサイコロを5つ転がしたら全部6の目が出ました。対する安田道代はツボをチャッチャと左右に振りながら、サイコロを1個ずツボに収納して、太モモの上に積みあげました。これはいったい何の勝負なのか?ワケのわからないまま安田道代が勝利宣言するのでビックリ。後半は若干ダレ気味で、サイコロがツボに収まらずに外に転がってる映像を平気でつないでしまったり。ハミ出して飛んでいったサイコロが、どうしてツボの中から出てくるんだい?。
イケメン青年の役で細川俊之が出演します。彼が脅迫電話をかける場面があって、電話を受けた人が周りの人から「相手はどんな声だった?」と尋ねられます。そんな場合は「細川俊之みたいな声だった」と答えるのが最もわかりやすいに決まっています。ですが、脚本にそんなこと書いたら怒られるに決まっています。 尺は74分と、やや短いです。
公開:東映 1968/10/12
監督:マキノ雅弘
音楽:渡辺岳夫
製作:東映東京
内容:マキノ雅弘は俳優の津川雅彦のおじさんです。録音技師の出身で監督というのが、なんとなく嬉しいですね。この映画が公開された1968年といえば戦後復興&経済成長で絶好調まっただ中。健さんと菅原文太アニイの二人組は炭鉱で働く地方労務者です。それがTVのキックボクシング中継を見て「これだ!」とばかりに上京。キックジムの住所もわからないまま東京の駅から出てきて、道行く人をつかまえて「キックボクシングのジムはどこですか?」などと質問します。マキノ監督ってば、いくらなんでも田舎を舐めすぎとらんかい。
東京で苦労しつつもキックのジムに入門して、夜の街では流しのギターで歌って稼ぐというワケのわからない生活ぶり。文太アニイのギター伴奏で健さんは有名な「唐獅子牡丹」を披露します。その他には「炭坑節」と主題歌「望郷子守唄」を歌います。「望郷子守唄」は作曲:深井大輔、補作曲:渡辺岳夫です。
さて、今回の文太アニイは完全に脇役です。悪い暴力団に単身殴りこんで、呆気なく返り討ちにあいます。その後は、もちろん健さんが大立ち回りで悪者11人を惨殺して映画的カタルシスをもって終了。ドラマ後半に向かって音楽が多めに鳴る演出です。
ラストこそ血みどろの果し合いですが、前半はコメディー調の演出が多くて、けっこう笑えます。あの沢村忠選手も出演して、ジムで練習してますよ。しかも予告編映像では健さんにキックボクシングを指導するサービスぶり。何故か本編ではちょっと地味な別の演技になってます。
金持ちが飼ってるボクサー犬が気に入らないからといって、健さんが犬のXXXXにサロンパスをスプレー噴射するという、恐るべき動物虐待映像が!これはいけません。たとえ悪漢を何人殲滅したって、その筋の方々から人気のある健さんだから大丈夫ですが、動物をいぢめてはいけません。現代だったら大問題になるでしょう。
公開:大映 1969/05/31
監督:池広一夫
音楽:渡辺岳夫
原作:五味康祐
製作:大映京都貴ホームページは、時々拝見させて頂いておりますが、「渡辺岳夫映画一覧」のところを観ていて次のことを思う出したので書いてみます。
この一覧を見ていても、特に1966年から1970年にかけて手がけた作品の数には、すさましいものがあります。しかし、どの作品をとっても、聴いただけで渡辺岳夫と判るものであり、映画の個性を引き立たせております。
こんな中で1969年に大映で製作された「秘剣破り」と言う映画があります。これは、かつて市川雷蔵主演で製作された「薄桜記」(五味康佑原作)のリメイクとして、雷蔵亡き後に次を担う俳優として東映から移籍した松方弘樹主演(本郷功次郎共演)で創られたものです。物語は、忠臣蔵外伝として、讐腕の剣士・丹下典膳と堀部安兵衛の宿命の対決を描いたもので、必ずしもヒットした映画とは言いがたいものですが、映画全編を包み込むように流れる渡辺岳夫の音楽には思わず引き込まれてしまいます。この映画では、間断なくといっていいくらい音楽が流れておりますが、決して嫌味ではなく映像に空気のように溶け込んでおり、これまで観た中では渡辺岳夫の音楽に最も浸れる感じがします。
T.U.さん 2003/08/02
公開:東映 1969/09/19
監督:原田隆司
音楽:渡辺岳夫
製作:東映京都
俺とあたいのブルース作詞:清川虹子
作曲:船村徹
歌:沢竜二内容:清川虹子、菅原文太、待田京介、大木実、橘ますみ、山城新伍。主題歌としてクレジットされる「俺とあたいのブルース」は、劇中では聞かれません。そのかわりに清川虹子と山城新伍の歌が流れます。
公開:大映 1970/04/04
監督:池広一夫
原作:谷崎潤一郎
音楽:渡辺岳夫
製作:大映京都
内容:安田道代が演じる「お銀の方」の極悪ぶりを描いた時代劇です。チャンバラ活劇が少ないですが、後半で田村正和が少しがんばります。登場する女性陣が、タイトルに違わず極悪なのですが、佐藤慶ら男性俳優も負けずに悪さを発揮します。田村正和もニヒルに決めますが、良いか悪いかでいったらやっぱり悪い。とにかくどいつもこいつも悪いのであった。で、居並ぶ悪党どもを真っ青に震え上がらせるのが岸田森のバカ殿です。なにしろ最初っから最後まで狂いっぱなし。しょっぱなから家臣の首を切り落として高笑い。かと思いきや、ストーリーを円滑に進める都合があるので、ときどきマトモになって長ゼリフをのたまいます。そのように脚本に書いてあったとはいえ、なんという都合の良い狂気ぶりでしょう。岸田森以外だったら説得力が出なくて困ったことでしょう。
しかし全体にはそんなにブッとんだ映画ではござりませぬ。さすが池広演出は重厚で、悪のドラマを粛々と描いております。原作は谷崎潤一郎。そして肝心の音楽は・・・劇場映画の音楽には「全然お金が無かった」みたいな作品がときどきありますが、これは手堅くまとめてきましたね。ちなみに牧口雄二監督の「女獄門帖」は、タイトルが似ているだけで、全然別の18禁映画です。もちろん音楽は渡辺岳夫。
公開:東映 1970/07/04
監督:小沢茂弘
音楽:渡辺岳夫
製作:東映京都
内容:高倉健主演の、いわゆるヤクザ映画です。時代劇、ヤクザ、寅さん、トラック野郎は日本酒を飲みながら見ることにしております。この「遊侠列伝」では健さんがテキ屋でタンカバイして、寅さんも顔負けのトボケたギャグをかまします。せっかく藤純子が出演してるのに前半で病死。他にも浜木綿子やらゾロゾロ出ますが、一山いくらの扱いです。
一応ストーリーの筋道はたっているのですが、後半のドラマ演出がメチャクチャなので、もう何が何だかわからなくなります。いくら理屈は通っていても、観ていて納得できないのですね。たとえば最後の殴りこみに出かけるときに、健さんが古道具屋から出てきて店員が「ありがとうございます」って・・・この場面では健さんが刀を購入したのですね。そらぁ、丸腰で殴りこむわけにはいきませんけれども、その演出は無いでしょう。 映画のポスターは健さんの着物姿ですが、映画本編ではずっと背広を着てるし。
音楽はもちろん渡辺岳夫。メインタイトルが「燃えよ剣」「ながい坂」と同傾向で、劇音楽は「アタックNo.1」に近い。
公開:ダイニチ映配 1970/07/22
監督:長谷部安春
音楽:渡辺岳夫
製作:新国劇映画、日活
内容:原作マンガ、アニメともに記念碑的な名作ですが、こちらは1970年の実写映画。監督は長谷部安春、主演は石橋正次、音楽はもちろん渡辺岳夫。ブラスによるロック調の劇伴編曲は1973年の映画「ゴキブリ刑事」へと連なります。本作は長谷部安春監督の映像タッチが非常に面白いです。ジョーの犯罪行為をバンバン描写しますが、これはTV放送するアニメではできないでしょう。長谷部安春監督は映画「野良猫ロック」シリーズで有名ですが、コミック作品の映像化では1972年のTVシリーズ「ワイルド7」がおなじみ。マンモス西を演じた山本正明は「ウルトラマンA」の今野隊員ですが、「帰ってきたウルトラマン」にも出てたのね。
映画の流れは、およそ原作マンガをなぞっています。いかにもダイジェスト的で、TVアニメ1年ぶんの総集編という趣。「あしたのジョー」を知らない人にも観てもらいたかったのか、力石がジョーを励ましちゃう一幕も。いくらなんでも、それはないだろう・・・。他にも暴力シーンのSEを書き文字で見せる荒ワザが炸裂。
タイトル | 公開 | 監督 | 原作 | 製作 | 出演 |
女渡世人. | 東映 1971/01/23 | 小沢茂弘 | 東映京都 | 藤純子、鶴田浩二、芦屋雁之助 | |
日本女侠伝 血斗乱れ花. | 東映 1971/04/03 | 山下耕作 | 東映京都 | 藤純子、高倉健、津川雅彦 | |
暁の挑戦. | 松竹 1971/05/22 | 舛田利雄 | 新国劇映画、CX | 中村錦之介、渡哲也、若林豪 | |
ごろつき無宿. | 東映 1971/06/25 | 降旗康男 | 東映東京 | 高倉健、奈美悦子、葉山葉子 | |
女渡世人 おたの申します. | 東映 1971/07/31 | 山下耕作 | 東映京都 | 藤純子、菅原文太、島田正吾 | |
片足のエース | 大映 1971/10/02 | 池広一夫 | 勝プロ | 高田直久、井川比佐志、宇野重吉 | |
遊び. | ダイニチ映配 1971/09/04 | 増村保造 | 野坂昭如 | 大映東京 | 関根恵子、大門正明、内田朝雄 |
海兵四号生徒. | 大映 1971/10/30 | 黒田義之 | 豊田穣 | 大映京都 | 渡辺篤史、高橋長英、佐々木剛 |
望郷子守歌 | 東映 1972/04/01 | 小沢茂弘 | 東映京都 | 高倉健、藤田進 | |
無宿人御子神の丈吉 牙は引き裂いた. | 東宝 1972/06/10 | 池広一夫 | 笹沢左保 | 東京映画 | 原田芳雄、中村敦夫、松尾嘉代 |
無宿人御子神の丈吉 川風に過去は流れた. | 東宝 1972/10/10 | 池広一夫 | 笹沢左保 | 東京映画 | 原田芳雄、中村敦夫、中野良子 |
反逆の報酬. | 東宝 1973/02/17 | 澤田幸弘 | 東宝 | 石原裕次郎、渡哲也、成田三樹夫、高峰三枝子、鰐淵晴子、夏純子 | |
無宿人御子神の丈吉 黄昏に閃光が飛んだ. | 東宝 1973/06/09 | 池広一夫 | 笹沢左保 | 東京映画 | 原田芳雄、夏八木勲、安田道代 |
ゴキブリ刑事. | 東宝 1973/06/09 | 小谷承靖 | 新岡勲 | 東宝、石原プロモーション | 渡哲也、加賀まりこ、地井武男 |
ザ・ゴキブリ. | 東宝 1973/12/01 | 小谷承靖 | 新岡勲 | 東宝、石原プロモーション | 渡哲也、沖雅也、峰岸隆之介 |
グアム島珍道中 | 東宝 1973/12/29 | 岩内克巳 | 東宝映画 | 井上順、酒井和歌子、森光子 | |
ザ・カラテ | 東映 1974/06/15 | 野田幸男 | 東映京都 | 山下タダシ、山城新伍、堀越陽子、鈴木正文 | |
東京の下町 | 1975 | 木村荘十二 | 東京都教育庁文化課の企画で、日本記録映画作家協会・東京を記録する会の制作。 | ||
雪夫人絵図. | 日活 1975/04/01 | 成沢昌茂 | 舟橋聖一 | 東映東京 | 佐久間良子、浜木綿子、丹波哲郎 |
玉割り人ゆき. | 東映 1975/05/14 | 牧口雄二 | 三木孝祐、松本正 | 東映京都 | 潤ますみ、大下哲矢、森崎由美 |
五月みどりのかまきり夫人の告白. | 東映 1975/11/01 | 牧口雄二 | 東映京都 | 五月みどり、伊吹吾郎、白石襄 | |
玉割り人ゆき 西の廊夕月楼. | 東映 1976/02/14 | 牧口雄二 | 松森正 | 東映京都 | 潤ますみ、坂口徹、中島葵 |
戦後猟奇犯罪史. | 東映 1976/06/19 | 牧口雄二 | 東映京都 | 泉ピン子、川谷拓三、室田日出男 | |
徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑. | 東映 1976/09/04 | 牧口雄二 | 東映京都 | 風戸佑介、内村レナ、風戸佑介 | |
広島仁義 人質奪回作戦. | 東映 1976/12/04 | 牧口雄二 | 東映京都 | 松方弘樹、中島ゆたか、夏八木勲 | |
俺の選んだ女 | 東宝 1976/12/11 | 児玉進 | 東宝 | 竜雷太、松原智恵子、浪花千栄子 | |
毒婦お伝と首切り浅. | 東映 1977/01/22 | 牧口雄二 | 東映京都 | 東てる美、伊吹吾郎、志賀勝 | |
ピラニア軍団 ダボシャツの天. | 東映 1977/02/26 | 山下耕作 | 政岡としや | 東映京都 | 川谷拓三、志賀勝、竹田かほり |
女獄門帖 引き裂かれた尼僧. | 東映 1977/04/08 | 牧口雄二 | 島森俊夫 | 東映京都 | 田島はるか、ひろみ摩耶、芦田かおり |
らしゃめん. | 東映 1977/09/03 | 牧口雄二 | 東映京都 | 鰐淵晴子、荻島真一、橘麻紀 | |
愛の嵐の中で | 東宝 1978/04/29 | 小谷承靖助 | 東京映画、サンミュージック | 桜田淳子、篠田三郎、田中邦衛 | |
激突!格闘技 四角いジャングル. | 東映 1979/04/07 | 後藤秀司 | 梶原一騎、中城健 | 三協映画 | アントニオ猪木、藤原敏男 |
パンダの世界 ホアンホアンと仲間たち | 東宝 1980/03/15 | 市川靖 | 国際放映 | 熊倉一雄 |
CD STLC-020~021「ザ・カラテ トリロジー サウンドトラック・コレクション」
「ザ・カラテ」「ザ・カラテ2」「ザ・カラテ3」三部作のサントラCD2枚組。「2」と「3」の音楽は渡辺宙名。ダブル渡辺が火花を散らすサウンドトラック・コレクション。これはスゴいです。
DVD DRTD-03501「女渡世人」
DVD DRTD-03570「日本女侠伝 血斗乱れ花」
DVD DRTD-03546「ごろつき無宿」
DVD DRTD-03502「女渡世人 おたの申します」
DVD DABP-1162「遊び」
DVD DABY-0018「海兵四号生徒」
VHS TG-1472「反逆の報酬」
DVD TDV-21078D「ゴキブリ刑事」
DVD TDV-21079D「ザ・ゴキブリ」
VHS VRTB-00578「ザ・カラテ」
DVD DRTD-03211「雪夫人絵図」
DVD DSTD-03212「玉割り人ゆき」
DVD DSTD-02467「五月みどりのかまきり夫人の告白」
DVD DSTD-03213「玉割り人ゆき 西の廓夕月楼」
DVD DSTD-03466「戦後猟奇犯罪史」
DVD DSTD-03467「徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑」
VHS VRTC-00013「広島仁義 人質奪回作戦」
DVD DSTD-03468「毒婦お伝と首切り浅」
DVD DSTD-03469「女獄門帖 引き裂かれた尼僧」
DVD DSTD-03214「らしゃめん」
DVD ORS-2012「四角いジャングル 激突!格闘技」
公開:東映 1971/01/23
監督:小沢茂弘
音楽:渡辺岳夫
製作:東映京都
女渡世人作詞:星野哲郎
作曲:北原じゆん
歌:藤純子内容:「緋牡丹博徒」シリーズの藤純子が主演する新シリーズの第1弾です。オープニングで「お命いただきに参りました」なぁ〜んて、いきなりおっ始める屋外ロケの殺陣はイマイチです。なんというか、腰が入ってません。しかしそのぶん映画後半で見せるセット撮影の殺陣はエエ感じです。
「殺陣」と書きましたが、長ドスで切りかかってくる悪役を相手に藤純子はイキナリ拳銃ぶっ放しますよ。飛び道具を持たない悪者相手に容赦なくバンバン撃って、弾丸が切れたらリロードするでもなく、ただちに日本刀アクションに移行する流れがガンダムと同じです。
藤純子を助太刀する今回のパートナーは鶴田浩二です。この人、どうして任侠映画に出てくるのかわかりませんよ。そのへんの会社役員みたいな顔してますから。ですが、大人数の長ドス相手に短ドス一丁で闘う姿は実にカッコエエです。その他には、水森亜土、白木みのる、芦屋雁之介といった当世人気のタレントが順番に顔見世出演しては、本筋とあまり関係の無い小ネタをはさんで時間を稼ぎます。
さて、ストーリーが進行して悪がのさばって、善人が苦しめられた後は、毎度おなじみ「最後の殴りこみ」です。藤と鶴田のバックには歌モノがありました。藤の歌で、最後は「とせい〜に〜ん♪」と結んでいるので、オリジナル主題歌のようです。1968年の「緋牡丹博徒」主題歌にくらべると、素晴らしく歌手っぽい歌いまわしで恐れ入りました。さすが姉さん。
公開:東映 1971/04/03
監督:山下耕作
音楽:渡辺岳夫
製作:東映京都内容:雄大な北九州の炭鉱地帯を舞台に、息もつかせぬ大アクション! 好評シリーズ第4弾!・・・というフレコミですが、タイトルの「女侠伝」は看板に偽りがあります。主演の藤純子は全然アクションしません。「わては浪速のアキンドだす」とばかりに炭鉱経営で奮闘する細腕繁盛物語です。そのかわりにアクションするのは高倉の健さん。
渡辺岳夫の音楽は、女性が主人公のときは力の入れようが違いますよ。さらに今回は健さんも出演するので、いつもよりがんばってる感がミナギっております。京琴のような「ぴよ〜ん、ぽよ〜ん」のメインタイトル、メジャーセブンも艶やかなストリングス、さらには藤純子が宴席で舞い踊るバックミュージックもばっちりの大サービス。これはスゴい。
毎度おなじみ「最後の殴りこみ」に臨む健さんのバックには歌モノがありました。健さん、自ら歌ってます。どうやら「日本侠客伝 花と龍」の主題歌みたいです。主演は藤純子のはずなのに、健さんがたった一人で歌って殴りこんで絶命しました。もはや、どちらが主役なのかわからなくなりました。
それにつけても悪の親玉・大木実ってば、明治時代における決定的な武器「拳銃」を所持しながらも、自分の手下が健さんにバッタバッタと斬られまくるのを看過するのは何故なのか。でもって、いよいよ最後の対決では健さんに向けてドキュ〜ンと一発放っただけで「参ったかぁ」とばかりにドヤ顔をキメて、健さんの逆襲をじ〜っと待つのは何故か。どうして拳銃連射して、一息に健さんを射殺しないのか?などという野暮はツッコミは無用でお願いします。
公開:東映 1971/06/25
監督:降旗康男
音楽:渡辺岳夫
製作:東映東京
内容:高倉の健さんが主演する「ごろつき」シリーズの第2弾です。炭鉱仕事をやめて東京に出てくる・・・という設定は前作同様ですが、主人公の身の上やら家族関係やらが異なっております。今風に言えばパラレルワールドというかリメイクというか奇妙なシリーズではありますが、東映作品にそんな因縁をつけてはなりませぬ。なにしろのっけからナベタケ節が大全開!スタッフクレジットに続いてキャスト表示のバックには健さん自ら歌う「望郷子守唄」です。
健さんが耐えて、耐えて、耐え忍んでから、映画終了の時間がせまると思いっきりやります。ケレン味たっぷりでやられまくる悪党達。ラストはアメリカンニューシネマも真っ青の「必殺やりっぱなし」です。とにかく悪を全滅させたら、もうやることがなくなって、そのまま映画は終了します。非常に完成度が高い作品なんですね。(汗)
予告編では「娯楽超大作!」ということになってますけど、「超」でも「大」でもありません。これこそ本当の娯楽作です。オリエンタルカレーの名古屋弁CM「ハヤシもあるでヨ」で有名な南利明がイイ味出して、セリフもタップリあります。
公開:東映 1971/07/31
監督:山下耕作
音楽:渡辺岳夫
製作:東映京都
内容:藤純子が主演するシリーズ第2弾です。藤純子の役名など、人物設定が前作「女渡世人」と異なっております。これは「お竜さん」が一貫して活躍した「緋牡丹博徒」シリーズとは異なる趣ですね。シリーズの第1弾の助演男優は鶴田浩二、そして今回は菅原の文太アニイです。
どうせ前作と似た傾向の映画だろうと油断したら、これは本物でした。いわゆる「アタリ」です。文太もエエですが、藤もエエです。とにかく絵作りが凝っており、ストーリーが凝っております。敵役の待田京介が、ちょっと複雑なドラマを見せてくれます。イマドキ難解なジブリアニメを皆がワァワァ解釈してるような難しいことを、昔の映画ではさりげなくやってました。
そ〜ゆ〜複雑な話をさておいても・・・極悪ヤクザ一家の嫌がらせに耐えて、耐えて、耐え忍んでから怒りを大爆発させるカタルシスが最高です。とくにスゴい演出は「最後の殴りこみ」にあたって、歌をバックに「いざ出陣」をやらないところです。「殴りこむぞ!」と決意したら、次のカットでは敵屋敷の内部でズバッと斬りまくっております。この演出はサイコー! 。機会がありましたら、是非御覧ください。
公開:東宝 1973/02/17
監督:澤田幸弘
音楽:渡辺岳夫
製作:東宝
反逆の報酬作詞:保富康午
作曲:広瀬健次郎
歌:石原裕次郎EP SN-1293
徹男と秋子のバラード作詞:保富康午
作曲:広瀬健次郎
歌:石原裕次郎EP SN-1293
内容:石原裕次郎、渡哲也、成田三樹夫、高峰三枝子、鰐淵晴子、夏純子。音楽は渡辺岳夫と広瀬健次郎がクレジットされていますが、主題歌挿入歌の作曲が広瀬健次郎で、渡辺岳夫が劇伴でしょう。石原裕次郎の制作によるハンパな作品です。渡哲也と二大スター競演ですが、製作費のほとんどが二人の出演料ではないか。
刑事コロンボでおなじみ小池朝雄が悪の組織の下っ端役で出演して渡哲也に脅されます。他はたいしたことありませんが、そのシーンだけが実に痛快で、背景音楽として鳴ってるのは渡哲也主演の映画「ザ・ゴキブリ」のメインテーマです。「ザ・ゴキブリ」は1973年12月1日公開で、「反逆の報酬」は1973年2月17日公開ですから、いったいどうゆうことなのか。
公開:日活 1975/04/01
監督:成沢昌茂
原作:舟橋聖一
音楽:渡辺岳夫
製作:東映東京
内容:舟橋聖一の小説が原作の「雪婦人絵図」は1950年にも白黒で実写映画化されており、こちらのほうが人間関係やストーリーがよくわかって娯楽的です。いっぽうこちらは1975年のカラー作品で、白黒作品にくらべて芸術寄り・・・というよりも娯楽色が少ない仕上がりです。あらかじめドラマの内容を知っていなかったら、キャラクターや物語展開を理解できないくらいです。どうしてこんなにストイックな映像作品を作ることができるのか。まるで芸術祭参加作品です。観客動員や興行収入を考慮しなかったかのような、実に映画的な映画であります。
さて、この映画のオープニングは掛け値なしに素晴らしいので、是非一度は視聴していただきたいと思います。雪山景色に気品溢れるオルガンが響き渡ります。こんなナベタケ、他にありませんことよっ。佐久間良子、山形勲のほかに丹波哲郎、谷隼人なんかが出ます。キーハンターとは違って(?)まじめにやってます。とくに谷隼人は舞台俳優出身の演技派か?、と見まごうばかりの渾身演技。それでもあくまでも派手な感動は伝わってこない、雪化粧した山々のような、抑えた演出です。
公開:東映 1977/02/26
監督:山下耕作
原作:政岡としや
音楽:渡辺岳夫
製作:東映京都
ダボシャツの天 恋歌作詞:政岡としや
作曲:泉谷しげる
歌:川谷拓三内容:政岡としやのマンガが原作です。物語はヤクザ組織の対立抗争を軸に展開。ダボシャツの天(川谷拓三)が準構成員から正組員を目指して、大立ち回りで奮闘します。いまどきの芸能界はアイドル女優みたいなのばっかりですが、そいつらと比べるとこの作品がデビューの新人・竹田かほりの演技がすごいです。セリフも上手いです。この作品の後すぐ、にっかつ「桃尻娘」で(今風に言うと)ブレイクしました。竹田かほりは「バトルホーク」や「Gメン75」にも出演してますね。
ダボシャツの天こと川谷拓三のアニキ分・夏八木勲の役回りもセリフも全部ギャグ調なんですけど、川谷拓三が絡むと他の役者が何をやってもカッコよく見えてしまうので不思議です。肝心の音楽ですが、後半の血で血を洗う抗争シーンに、あえてロマンチックな音楽をあてるという渡辺岳夫の得意技が炸裂しちょります。川谷拓三の出演した「戦後猟奇犯罪史」でもこのパターンがありますな。ストーリーは・・・正直言って、どうでも結構。楽しいばっかりで後に何も残らず、スカッとすることができる娯楽作品です。お酒を飲みながら楽しんで鑑賞してオッケー。
タイトル | 公開 | 監督 | 原作 | 製作 | 出演 |
トビウオ神話. | 1985/08/13 | プロトビウオ | 竜雷太、藤田弓子、多岐川裕美、萬田久子、本田博太郎、荒勢 | ||
ママ、ごめんね あっこちゃんの日記 | 1985/10/19 | 山田典吾 | 現代ぷろだくしょん | 江波杏子、なべおさみ、高岩愛、石野真子 | |
翔たけ明日への瞳 | 1986/04/10 | 共和教育映画社 | |||
ぼくと仔犬のわんぱく大事件 | 1988/07/06 | 西垣吉春 | 共和教育映画社 | 甲斐智枝美、ガッツ石松、菅井きん、藤田まこと | |
招かざる訪問者 | 1988/09/19 | 井之上企画 | |||
死線を越えて 賀川豊彦物語 | 1988/10/01 | 山田典吾 | 賀川豊彦、武藤富男 | 現代ぷろだくしょん | 国広富之、松原千明、黒木瞳 |
ありがとうハーナ | 1988/10/10 | 共和教育映画社 |
VHS V148F-9606「トビウオ神話」
公開:1985/08/13
監督:高木一臣
音楽:渡辺岳夫
製作:プロトビウオ
主題歌(タイトル不詳)作詞:不詳
作曲:不詳
歌:因幡晃内容:水泳選手・古橋廣之進の物語・・・のはずなのですが、映画の冒頭に長嶋茂雄が出てきて長々と語ります。どうしてプロ野球のスターが出てくるのか。他にもボクシングの白井義男が出てきて語ります。音楽監修としてディック・ミネがクレジットされます。これも謎です。因幡晃がエンディングで歌ってますが、単に「主題歌」とクレジットされるだけで、誰が詞曲を書いたか不明で、歌のタイトルすらわかりません。いろいろ謎が多い作品ですが、映画の中身は概ね普通です。
昭和3年、静岡県浜名郡に生まれた古橋廣之進の少年時代〜学生時代のストーリーが主な内容です。キャスト筆頭が「竜雷太」とあるので、てっきり竜雷太が主人公だと思ってましたが、実際は廣之進の父親役でした。愛川欣也のナレーションはのどかでホッとします。他には藤田弓子、多岐川裕美、萬田久子、本田博太郎、荒勢が出演します。
映画の後半は「廣之進がどんな大会に出場して、結果はどうだった」みたいなエピソードを戦中から戦後の復興に至る日本の歴史に重ね、駆け足で紹介します。このあたりは劇音楽が多めで嬉しいです。チョッパーびんびんの久石譲っぽい曲もありました。1981年のアニメ特番「栄光の背番号3」みたいな曲調なんですね。
「ぼくと仔犬のわんぱく大事件」には、「ぼくらの太陽」という歌(作詞:八頭司享、作曲:渡辺岳夫、歌:不明)があります。
「眠狂四郎」の4作と「緋牡丹博徒」の4作は別のページにまとめています。