錆とガルバニック腐食

Galvanic Corrosion


錆とは金属の酸化現象で腐食の一種です。鉄(Fe)は分子が水(H2O)と酸素(O)と結合して水和酸化鉄(Fe2O3(H2O))となります。これが鉄の錆です。

ステンレスは鉄主体の合金ですがクロム(Cr)という物質が表面に不動態皮膜を形成します。この不動態皮膜が錆びの浸食を防いでいます。

異種金属の間に電解質溶液(雨水、海水など)が入ると電池作用が生じます

その時、下表の卑のほうの金属が貴のほうの金属に腐食されます。


それを「ガルバニック腐食」と呼びます。


それは異種金属の電位差が大きいほど際立って起こります


例えば銅の雨樋の受金具を鉄の釘又はビスで固定した場合、雨水が掛かるとすぐにビスが錆びて外れてしまいます


ステンレスのビスを用いれば電位差は小さいので腐食は大変少ないです。


過去に驚いたのは御寺の屋根のリフォームで工事後、自宅との間のステンレス谷樋から雨漏りがあり依頼がありました。

天井裏から見ましたら星座のように点々と穴がありました。

ステンレスの谷樋の継手にアルミのリベットを用いるとすぐに腐食して細くなって外れます。

ステンレスの谷樋の継手にアルミのリベットを用いるとすぐに腐食して細くなって外れます。


ステンレスのビス又はリベットを使ってください。

アルミの樋の継手をステンレスのビスで固定しても大丈夫です。


ビスの大きさではアルミの樋を腐食しきれません。腐食によってステンレスビスに付いたアルミは残ります。

鉄は錆びるとボロボロになって崩れてしまいます。ステンレスも錆びますがボロボロにならず針で刺したように穴が開きます。

以前あったのですが屋根の改修工事の依頼があったのですが谷樋はステンレスなので、そのまま用いる仕様でした。

工事終了後、谷樋から雨漏りするという相談がありました。天井から見ますと星空のように明かりが見えました。

清掃業者がクリーニングをした際に穴を塞いでいた埃が取れたのが雨漏りの原因でした。ステンレスも錆びることを心得ておいて下さい。

金属及びイオン 電位(V)
陽極(+) リチウム Li+ -3.05
カリウム K+ -2.93
ナトリウム Na+ -2.71
マグネシウム Mg2+ -2.36
アルミニウム Al3+ -1.66
チタン Ti2+ -1.21
マンガン Mn2+ -1.18
亜鉛 Zn2+ -0.76
クロム Cr3+ -0.74
鋳鉄 -0.61
炭素鋼 -0.61
SUS430活性 -0.57
SUS304活性 -0.53
SUS410活性 -0.52
Fe2+ -0.44
黄銅(真鍮) -0.36
丹銅 -0.33
青銅 -0.31
ニッケル Ni2+ -0.25
SUS430不動態(酸化皮膜) -0.22
モリブデン Mo3+ -0.20
SUS316活性 -0.18
SUS410不動態(酸化皮膜) -0.15
Sn2+ -0.14
Pb2+ -0.13
SUS304不動態(酸化皮膜) -0.08
SUS316不動態(酸化皮膜) -0.05
水素 H+ 0.00
Cu2+ 0.34
Cu+ 0.52
水銀 2Hg Hg22+ 0.79
Ag+ 0.80
白金 Pt2+ 1.19
陰極(-) Au3+ 1.50