Pentium2 TagRAM発熱対策

更新状況
最終更新日 更新内容
1998年10月20日 Tag-RAMの動作温度を測定します
1998年10月20日 ヒートシンクを取り付け、放熱対策を実施
1998年10月20日 冷却ファンを取り付け、放熱対策を実施

 Pentium2のS.E.C.カートリッジを分解すると、Tag-RAMやL2、CPUコア等、色々な部品が見えます。これらの部品を眺めていると、L2やCPUはサーマルプレートに熱結合されているのに、Tag-RAMはそのまま。カートリッジに囲まれて、周囲温度が高い事が想像される中、ひとつの疑問が。どの程度発熱するのだろう?そんな事がきっかけとなり、今回の調査を実施する事になりました。




Pentium2 TagRAMの動作温度測定 1998/10/20

ハード構成 1998/10/21現在

CPU Pentium2/350MHz B80523P350512E SL2SF 2.0V 98110373 MALAY
マザー ASUS P2B改
 倍率リミッター解除済み
 コア電圧を可変出来るように改造済み(1.80〜3.5V可変可能) テストは2.0Vノーマル
メモリ SDRAM 128MByte PC100対応メモリ
メルコ VSF-64M×2枚 (PC100非対応メモリを100MHz超で動作中)
 合計256MByte
HDD
・HDD1 6.4GByte Western製WDAC-36400
 5400rpm 256KByteバッファ、10msシークUltraDMA33-IDE接続 IDE#0マスターに接続
・HDD2 1.2GByte メルコ製DBI-V1200
 IDE#0スレーブに接続
・HDD3 1.0GByte SCSI-2接続
その他 AHA-2910B、SC970、WGP-VG4DX、PowerCapturePRO(全てPCIバスカード)

【1】測定風景
 今回使用したハンディデジタル温度計です。横河電機叶サ MODEL2455、K形熱電対使用で、-160〜+1372℃まで測定できます。
  


1. Pentium2 S.E.C.カートリッジを分解したところです
 S.E.C.カートリッジ分解は簡単には出来ません。最悪CPUを壊すことがあります。自信の無い方は真似しない方が無難です。もしチャレンジされるなら、自己責任で行ってください。やす坊は一切保証もしませんし、分解の奨励もしません。
  


2. 中央がTagRAMです
 やす坊の場合、S82459AD(5.5ns) / L8082533 / SL2QVチップが搭載されていました。(一般的に公開されている情報と同じ)Tag-RAMの上下に有る金具はサーマルプレートにCPUを押し付ける為の金具です。
  


3. 温度センサーを取り付けます
 テープで固定しています。厳密には、自然冷却を妨げるので正確ではありません。しかし、実際にはカートリッジ内の方が放熱効率が悪いと考え、今回はこの方法で測定します。
  


【測定条件】

外気温
電圧
動作クロック
別途デジタル温度計にてケースファン吸気温度を26±1℃程度に収まるよう、エアコン等にて調整。
コア電圧2.05V、L2/DIMM電圧3.4V (P2Bでは3.4Vがノーマルです)
103MHz×4倍 = 412MHz
測定手順 @Tag-RAMが常温の状態でパソコンを起動させる。
AWindowsNT4.0上で、Superπ104万桁を実行させ、計算完了時の温度を測定する。

【測定結果】
 ・Superπ計算完了時のTag-RAM温度は42.8℃ (約16.8℃の温度上昇)


【考察】
 実際には、Tag-RAMはS.E.C.カートリッジに内蔵される上、ケース内の周囲温度上昇に影響され、測定値以上の温度上昇と推測されます。やす坊の場合、大型CPUクーラーを使用しており、CPUの熱がTag-RAMに回ってくる心配は無いと考えていますが。能力不足CPUクーラーやケース内換気環境の悪いマシンでは、かなりの温度上昇が有ると考えるべきでしょう。OverClocl時にはTag-RAMの温度上昇も考え、対策する事が安定性重視のクロックアップマシンに仕上げるコツでしょう。




Pentium2 TagRAM発熱対策1 1998/10/20

1. 使用するヒートシンクです
 ICチップ用に市販されている30o角、高さ10oのヒートシンクです(写真右)。このままでは大きすぎて金具と干渉するので、10o程度切断します(写真左)。切断後、ヤスリで丁寧に仕上げます。また、切断くずは確実に除去します(ショートの原因になります)。また、切断面を黒マジックで着色すると綺麗に仕上がります。
  


2. ヒートシンクを取りつけます
 サンハヤト製の放熱用両面テープにて取り付けます。
  


3. ヒートシンク用の穴を加工します
 ヒートシンクをS.E.C.カートリッジから出す為の穴加工をします。プラカッターで切断し、ヤスリで仕上げます。ステッカー(光るシール)が切断時に邪魔になりますが、切断するには惜しいので剥がしておきます。
  


4. S.E.C.カートリッジを組み立てます
 ヒートシンクが穴から顔を出しています。(^_^;) 外観は非常に怪しいCPUになってしまいました。剥がしておいたステッカーを任意の位置に貼って、PentiumUらしさをかろうじて保っています。
  


5. ヒートシンクの落下防止を施します
 やす坊の場合、テープに対する信頼度が低いです(経験上)。万が一落下するとマザーを破壊する危険がありますので、精神安定面からも有効です。(^_^;) ヒートシンクの隙間に針金を通すだけの簡単な構造です。S.E.C.カートリッジを分解する際には邪魔になりません。
  


【考察】
 ヒートシンク取付後の温度測定は行っていませんが、手で触れた感触としては非常に効果があるようです。もっとも、やす坊マシンはケース内換気環境が十分過ぎる程に改善されており、放熱効率が高いのも要因のひとつですが。いずれにしろ、Tag−RAM温度上昇による動作不安定の要因は排除されたと考え、安定性向上に有効と判断しています。




Pentium2 TagRAM発熱対策2 1999/03/14

1. ミニクーラーを取り付けます
 使用クーラー:Justy DMC-01 MiniChipクーラー
付属のテープをアルコールで除去し、サンハヤト製の熱伝導両面テープで固定。25o×25o、高さ10oと超小型です。この程度の大きさでないと、サーマルプレート固定用金具と干渉します。
  


2. よく冷えそうですね
  


3. 完成です
 ファンが小さい分、騒音はほとんど無し!(他の音が大きくて、聞こえません)。発熱量自体小さいので、この程度のファンで十分冷却できるようです。