Vcc-Core電圧と発熱量について

 OverClockテクニックに中にVcc-CORE電圧を規定値より上げる方法が有る。当然の事だが、電圧を上げた分だけ消費電力が増し、発熱量が増える事となる。でも、どの程度発熱するのだろう?そんな、疑問のメールをもらった事がきっかけとなり、今回の調査を実施する事になりました。

ハード構成(1998年10月18日現在)

CPU Pentium2/350MHz B80523P350512E SL2SF 2.0V 98110373 MALAY
マザー ASUS P2B改
 倍率リミッター解除済み
 コア電圧を可変出来るように改造済み(1.80〜3.5V可変可能) テストは2.0Vノーマル
メモリ SDRAM 128MByte PC100対応メモリ
メルコ VSF-64M×2枚 (PC100非対応メモリを100MHz超で動作中)
 合計256MByte
HDD
・HDD1 6.4GByte Western製WDAC-36400
 5400rpm 256KByteバッファ、10msシークUltraDMA33-IDE接続 IDE#0マスターに接続
・HDD2 1.2GByte メルコ製DBI-V1200
 IDE#0スレーブに接続
・HDD3 1.0GByte SCSI-2接続
その他 AHA-2910B、SC970、WGP-VG4DX、PowerCapturePRO(全てPCIバスカード)
OS 1. Windows98Beta3 (4.10.1650Beta3)
2. WindowsNT4.0WorkstationSP3、OptionPack
  IDEドライバはIntel PIIX PCI BusMaster IDE Controllerに変更済み
  ビデオドライバはメルコ製ではなくS3社製ドライバ(Version 4.1024.323.0009 for ViRGE/DX, /GX, /GX2.)を使用。
  NT環境では純正ドライバの方が早いが、カノープス社製ビデオキャプチャでのオーバーレイ表示が出来ない。
3. MS-DOS/V6.2



1. 測定条件

外気温 外気温の影響を受けやすい為、別途デジタル温度計にてケースファン吸気温度を26±1℃程度に収まるよう、エアコン等にて調整する。
CPUクーラー 自作4号
コア電圧 テストは1.8〜2.3Vの範囲で実施
L2/DIMM電圧 テストは3.4Vノーマル(P2Bでは3.4Vがノーマルです)
CPUクロック FSB103MHz×4倍=412MHzで動作
測定方法 1. コア電圧(Vcc-core)を設定する。
2. パソコンを起動させる。起動時、過渡的にCPU温度が32℃を超えるので、32℃以下になるまで待つ。
3. 32℃以下になった時点で、Superπ104万桁を実行させ、計算完了時のCPU温度を測定する。



2. 測定風景
 今回使用したハンディデジタル温度計です。横河電機叶サ MODEL2455、K形熱電対使用で、-160〜+1372℃まで測定できます。
  

 Pentium2のS.E.Cカートリッジを分解し、センサーを取り付けます。センサーは、CPUとサーマルプレートの結合部に取りつけます。センサーは補償導線を兼ねており、写真で見える2色のリードを任意に接続する事により、接続点が結合点となり、センサーとして機能します。従って、非常に小さい検出部を作る事が出来ます。
  


3. 測定結果

Vcc-core電圧 CPU温度 ノーマル電圧
との温度差
備考
設定 実測
1.80 1.78 - - メモリテスト中にリセットする。
1.85 1.83 - - WindowsNT起動時にリセットする。
1.90 1.88 39.8 -2.0  
1.95 1.93 40.9 -0.9  
2.00 1.98 41.8 0 Pentium2/350MHz ノーマル電圧
2.05 2.01 42.5 +0.7  
2.10 2.06 43.4 +1.6  
2.20 2.16 44.8 +3.0  
2.30 2.26 46.2 +4.4  



4. 考察
 今回の測定は、S.E.C.カートリッジを分解し、更にケースを開けた状態で測定しています。実際の環境下ではもっと温度上昇が想定されます。CPUクーラーやケース内の換気状態でかなりの差が出ると推測されますので、参考値として見てください。尚、コア電圧を標準値より低く設定する人はいないと思いますので、1.8〜1.95Vの考察は省略します。Vcc-Coreを0.1V上げる事により、CPU温度は1.5℃上昇しています。テスト環境はではSuperπ104万桁ですが、環境によっては更に上昇する事が推測されます。安易に電圧アップを実施する事がよく聞かれますが、クーラーの強化等を実施しないとCPUにとっては危険な状態になる可能性があります。今回はアルファ製の大型ヒートシンクを使用しての結果ですので、一般的な市販クーラーを使用している場合は特に注意が必要でしょう。クロックアップは各自の責任が基本ですが、電圧アップによって生じるリスクを十分認識して、対策する事も重要です。


5. 最後に
 今回の実験は、湯口さんからの情報提供、御協力を得て実施する事が出来ました。ありがとうございます。みなさんから、実験等のご希望がありましたら、是非メールください。出来る範囲で実施したいと考えております。