SCSI用Removable FrameをIDE用に改造する 2000/08/17

1.今回購入したSCSI用Removable Frameです
 私もお世話になっているV-CLUB春日井さんがYahoo!オークションに今回入手したRemovebale Frame他各種新品PCパーツを出品され、落札しました。通販の為、落札価格に送料が加算されますが、市販価格よりは安く入手する事ができました。何よりオークション自体、初参加の私は興奮状態で、価格よりも落札する事に夢中でした ^^;

   ← V-CLUBさんのWebpageはこちら。Yahoo!オークションへのリンクもあります。

    テクノバード製
  左側:SCSI増設内部ケース WE-H017
  右側:SCSIフルセット WE-H015

 (仕様)
  ・50pinSCSI用
  ・冷却ファン、PowerLED、HDD ActivityLED付き
  ・ロックキースイッチにて電源遮断(5V、12V)
  ・内部IDスイッチ/外部IDセレクト入力
  ・HDDアクセス信号出力端子装備



2.改造する前に仕組みを理解しましょう
 単純にレールでガイドしてコネクタの位置合わせをしているだけと思いきや、何やら結構複雑です。改造する前に解析しましょう。
  
 Removable Frame(5inchベイに固定する方)の後ろ側です。冷却用のファンとSCSI用50pinコネクタ、外部ID設定用コネクタ、HDD Activity信号出力用のコネクタが見えます。ファンの通風経路は取手部分から吸気して、ファンで排気します。カートリッジとHDDの上下方向の隙間が通風経路となります。コネクタ類が取付けられている基板には、トランジスタや抵抗類が搭載され、何らかの制御を行っているようです。

  
 Removable Frame(5inchベイに固定する方)を内側から見た写真です。64pinのコネクタが見えます。このコネクタにSCSI信号、電源、SCSI用制御信号(ID、HDD Activity信号)が固定側から、カートリッジに接続されます。挿入されたカートリッジは左右に設置されたレールにてコネクタ位置の位置決めを行い、機械的結合が成されます。コネクタはハウジング部が先に結合し、ピンの接触が行われる構造ですので、ピンが剥き出しのソケットタイプCPUの様にピンを曲げる心配はありません。(実際には機械的精度による接触の信頼性が心配ですが、まあ値段が値段ですので、考えない事にしましょう)

  
 カートリッジの後ろ側です。Removable Frameと結合する64pinコネクタ、冷却ファンのダクト、ID設定スイッチが見えます。カートリッジ側のコネクタが雌なのは、単体での保管時にピンの破損を防ぐ為でしょうか? ケースを開ける事無くIDを設定できる点は評価できますね。

  
 カートリッジの内部です。上面蓋のみ取り外して撮影しました。下面蓋も簡単に取り外せる構造で、作業が楽です。64pinコネクタにて受けた信号を目的に合わせて専用のコネクタに取り出しています。SCSI用50pinコネクタ、ID設定用コネクタ、HDD Activity信号用コネクタ、電源コネクタが見えます。電源コネクタはスペースの問題からライトアングル構造です。

  
 上記の内部写真を拡大しました。ID設定用ケーブル、HDD Activity信号ケーブルはコネクタで基板と接続されています。不要の場合は取り外せ!という事でしょうか? カートリッジ内は結構狭いので、不要ケーブルが取り外せる構造はとても親切ですね。

  
 カートリッジ正面の拡大写真です。電源表示灯(緑)、HDDアクセス表示灯(赤)、キースイッチが見えます。キースイッチはカートリッジを機械的にロックして、抜けない様にすると共に、HDDへの電源ON/OFFを行います。ロック状態で電源ON、アンロック状態ではOFFです。安物?の割にはしっかりしています。^^; しかし、SCSIインターフェイスの機器(HDDやMO等)にはHDD Activity信号がが標準で付いているのに、IDEインターフェイス機器には無いのでしょうか? コスト最優先なのかなあ? でも、Ultra100の様に転送速度の理論値はSCSIのUltra2Wideを抜いているのに、HDDが遅いから意味ないじゃん。やっぱり私はSCSI派だね。(と、言いながらIDE-HDDも使用してたりして ^^; )

  
 Removable Frame(5inchベイに固定する方)側の基板を取り外しました。右側の小さいコネクタは冷却ファンの電源コネクタです。このコネクタの近くに簡単な電子回路が構成されています。

  
 上記の回路部分を拡大してみました。FETとトランジスタが各1個、抵抗が5個、コンデンサが1個です。この程度なら目視とテスタで回路を解析しましょう。解析した所、HDD供給用+5V電源のスイッチング回路のようです。+12Vはキースイッチにて直接ON/OFFしますが、+5Vはキースイッチ後の+12V状態を監視してON/OFFさせています。まあ、2回路のキースイッチを使うよりは安いのでしょうけど。

  
 カートリッジ側の基板も取り外しました。こちらはID設定用スイッチが付いている以外、何もありません。コンデンサ接続用のパターンがありますが、未使用です。解析の際、今回使用したRemovable Frameの配線図、64pinコネクタピン配置を作ってしまいました。俺も改造するぞ!って方がみえましたら情報公開しますよ。(まずいないよねえ)


3.さあ、SCSI仕様品をIDE仕様に改造しましょう
 改造は簡単です。SCSI用の50pinコネクタをIDE用に40pinに変更すればよいのです(爆!) アクセス表示はマザー上のIDEアクセス信号に接続する事にします。私の場合、ケースに付いているアクセス表示用LED2個はSCSI用に使用されており、IDEの状態が確認できないのです。CD-ROM、SuperDiskは共にアクセス表示灯が付いているので困りませんでしたが、HDDにはやはりアクセス表示が欲しいですね。
  
 Removable Frame側の50pinコネクタを40pinに改造します。改造といっても、41から50番pinを抜くだけです。安物のコネクタなので半田ゴテでピンを十分に加熱し、ラジオペンチ等で引張ると簡単に抜けてきます。逆挿し防止のガイドが当たらない様、ガイドの位置のハウジングを切断します。これで50pinコネクタが40pinコネクタに変身しました。

  
 ピンを抜いた後の裏面写真です。不要な半田は除去し、アルコールで洗浄すれば完璧です。

  
 カートリッジ側も40pinコネクタに改造します。フラットケーブルですので、単純に40pinコネクタを圧着するだけで完成です。フラットケーブル自体を40芯にして、50pinコネクタは撤去するか悩んだのですが、結局残す事にしました。(面倒なだけです ^^; )


4.完成です
 IDE-HDD、IBM製DTLA-305020を装着しました。
  
 別にHDDが馬鹿でかい訳ではありません。^^; 非常に狭いですね。改造よりHDD取付けの方が面倒なくらいです。

  
 HDDコネクタ部です。狭いですね。やはりフラットケーブルは40芯にして50pinコネクタは撤去するべきでした。 ^^;

  
 カートリッジ内部でHDDに接続するID設定用コネクタを流用してHDD Activity信号用ケーブルを製作しました。このケーブルをマザーのIDEアクセス信号に接続することで、アクセス時にカートリッジ前面のアクセス表示灯を点灯する事ができます。

 以上で改造完了です。当然ですが、SCSI用としては使用できません(爆!) 今回のようにSCSI用が安く手に入れられ、改造好きな人には向いているかもしれませんが、普通は目的に合った製品を購入するから余り役に立たないでしょうね。尚、IDE用をSCSI用に改造する事は不可能です。(ピン数が足りません) もっとも、GND信号をある程度省けば可能でしょうけど。どなたか試してみてください。^^;