ATX電源製作

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1999年03月11日 ATX電源製作関連記事
 1. ATX電源自作の必要性
 2. 制御回路を製作する
 3. 自作ATX電源をケースに組み込む
1999年04月19日 冷却ファン位置変更による、冷却改善
 4. 冷却改善
1999年06月17日 夏季対策として電源をケース外に移設
 5. 自作ATX電源をケース外に移設




1. ATX電源自作の必要性 1999/03/11

1. 何故、市販ATX電源では駄目か?
 簡単に言えば、品質が非常に悪い!、の一言でしょう。
スペックを考慮すれば、驚く程の低価格です。しかし、実際は企業努力によるコストダウンではなく、劣悪なので低価格!です。今まで、安定性改善を目的に昇圧トランス、フィルタ等の改造を行ってきましたが、元が悪いので期待する結果が出ませんでした。元々品質の悪い電源である以上、付加装置による改善はやはり限界があります。中には、良い製品も有ると思いますが、サーバー用等の特定用途に限定され、一般的に市販されている製品の中には皆無でしょう。

偶然にも、電源に悩んでいる最中に電源が故障。ATX電源の製作を決心しました。


2. 製作する電源装置のスペック
 電源部

電圧 定格電流 メーカー・形式 備考 概観
+12V 13A (150W) コーセル梶@R150-12N 電圧可変可能
+5V 30A (150W) コーセル梶@R150-5N 電圧可変可能
+3.3V 20A (100W) コーセル梶@R100-3N 定格電圧3V品を、出力3.3Vに調整
-5V 無し   今時、不要でしょう。
-12V 1.3A (15W) コーセル梶@R15-12N 電圧可変可能
+5V STB 2A (10W) コーセル梶@LCA10S-5 電圧可変可能

 制御回路部

機能 詳細
PS-ON PS-ON信号をLS-TTLで受け、SSRを駆動する。
 ・SSRはオムロン製、定格AC200V 20A
 ・一次電源投入時、PS-ON信号の遅れによる瞬時電源投入状態を回避する目的で
   +5VSTB立上り後、約5秒間は電源投入禁止タイマ回路を構成。
PW-OK 電源正常信号は無し。(PW-OK信号は+5Vへ接続)




2. 制御回路を製作する 1999/03/11

 SSRの側面にタップ加工し、制御回路の基板を固定。
スイッチはテスト用の強制電源ONです。・色々なテストの都合上、複雑化していますが最終的にはLS00(NAND)のゲート、HC14(シュミット)によるタイマ回路、SSR駆動用のトランジスタだけです。
  




3. 自作ATX電源をケースに組み込む 1999/03/11

 組込を行ったケースはOWLTECH製、OWL-25F(ATXフルタワー、5インチ×6、3.5インチ×2、内部3.5インチ×5)です
1. 5インチベイ最上部に、-12V電源、5VSTB電源を固定します。
  


2. アルミ板とアングルで取付台を製作して、電源を固定します。
 取付方法の工夫で、CD-ROMドライブとの干渉は有りません。また、未使用5インチベイは使用可能です。
  


3. 裏面から見ると、この様になります。
 下部アングルにはゴム足が付いています。上部の梁は、5インチベイ取付穴と、ケース裏面通気口を利用して固定
  


4. 配線の終わった状態です。
  


5. 配線には、端子台を利用しました。
  電流容量も十分確保でき、メンテナンスが容易です。
  


6. 冷却ファンは外側に固定。
 内部のスペースが確保されます。
  


7. 上面パネルを取り付けた状態です。
  若干、電源の放熱が不安ですが、違和感無くケースに収める事が出来ました。
  




4. 冷却改善 1999/04/19

 スイッチング電源の発熱が思ったより多く、熱対策を実施することにします。発熱が多いと言うより、発生した熱の逃がし方(放熱)が悪い事が原因と考えます。何せ吸気、排気ファンがあってもスイッチング電源付近にはまったく風の流れが無いのです。 CPUや拡張カード、HDD冷却の効果は抜群なのですが。排気ファンの位置を色々試した結果、この様になりました。尚、本改造はケース側面に吸気ファン取付後に実施しております。吸気ファンの無い一般的なケースでは、効果は期待出来ないと思います。

1. 元々ATX電源があった場所は塞ぎます。
  解体したATX電源のパネルとレンジ用フィルタを利用しました。
  


2. ファンにゴム足をつけて置いただけです。ファンの吹き出し方向は上方です。
 ケース下部から吸気された冷却風がケース全体に回り、効率の良い冷却が実現できた様です。心配された熱のこもりも無く、うまくケース外へ排出されている様です。排気ファンから、内部ファンに変更した結果、騒音面でも効果が有るようです。
  




5. 自作ATX電源をケース外に移設 1999/06/17

1. 夏季に向けての問題点
 だんだんと暑い時期になってきました。やす坊マシンもOverClockの安定上限が徐々に低下するなど、OverClocker達には辛い時期になってきました。(^_^;)
さて、やす坊マシンのケース内発熱を調査すると、一目同然ですが一番の発熱物は電源です。特に5V電源は発熱が多いようです。150W(約30A)もの容量ですが、使用量がそれなりに多い!って事ですね。150Wは大きすぎと思った事もありましたが、150Wで正解だったようです。
CPUの冷却を改善する事が夏季対策、そして四季を通じてより安定度の高いマシンを仕上げる事と考え、今回、一番の発熱物である電源をケース外に移設する事としました。移設により、ケース内の発熱容量が低下し、CPU冷却がより効率良く行えると考えます。


2. ケース外に移設しました
 前回組み込んだ電源を移設しただけです。スペック変更等はありません。

 ケース上面パネルに電源を固定します。3.3V、5V、12V、-12V電源を移設しています。この位置であれば、メンテ時に邪魔にならず、都合良いです。将来的にはパンチング等でカバーを作りたいですね。
  

 配線状態です。
  

 電源分岐の端子台です。傾けて固定することで、スペースとメンテ性を両立させました。
  

 移設後のケース内部です。すっきりしました。内部には、電源制御回路、5VSB電源が残っています。(左上)