1.OverClockの基本と原発乗っ取りの必要性 1999/01/05

1. OverClockの方法について
 ベースクロック、及び倍率変更によるクロックアップが基本です。 CPU動作周波数=FSB×倍率 つまり、FSB、倍率が任意に設定できるマザーであれば、すぐに実験する事が可能です(改造不要)。その後、更に上を求めたり、安定性を改善する為に電圧アップや冷却強化等の改造を行うことになります。


2. ASUS P2Bマザーの場合
 P2Bの場合、下記ベース周波数、倍率設定が可能です。下記ベース周波数、倍率設定が可能です。(BIOS上にて非常に広範囲な設定が出来るマザーです)

FSB
(MHz)
50.0 66.8 75.0 83.3 100.2 103 112 133
PCI Clock
(MHz)
25.0 33.4 37.5 41.65 33.3 34.3 37.3 44.3
倍率 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 5.5 6.0 6.5 7.0 7.5 8.0

つまり、この設定が全て有効と考えれば
 CPU動作周波数下限=FSB50MHz×倍率2.0=100MHz / CPU動作周波数上限=FSB133MHz×倍率8.0=1064MHz

 ジャンパーの設定変更のみで、任意の組合わせが実現できます。  注意! 単に組合せの話しです。実際に動作するかは別問題です。


3. 何故、原発乗っ取りが必要か?
 BIOS設定変更では、設定周波数に限界があります。例えば、ベース周波数103MHzでは動作するが、112MHzでは動作しない場合、103MHzで諦める事になります。でも、110MHzでは動作するかも知れません。このように、設定範囲外の周波数を設定出来る様に改造する事により、限界への挑戦が可能となります。これが原発乗っ取りです。




2.原発乗っ取りの方法 1999/01/05

1. 原発乗っ取りの方法
 簡単に言えば、基準となる水晶発振子を交換する事です。例えば、標準の水晶発振子(14.318MHz)を16MHzに交換する事により、ジャンパー設定値より約1.12倍の周波数を得る事が出来ます。しかし、この方法はベース周波数以外のクロック信号も同じ倍率で変化させてしまう為に不具合が発生します。周波数が変化する事により、不具合が生じるクロックには14.318MHz(基準クロック)、24MHz(FDD用)、48MHz(USB用)があります。原発乗っ取りを成功させる為には、これらの周波数を固定させる為にマザー外部よりクロックを供給する必要があります。外部供給方法には色々ありますが、やす坊は安定性重視の観点から3.3Vレベルでの供給が可能な「 TurboPLL-01 」を使用しました。 「 TurboPLL-01 」は、廃人の庵のWebMasterであるヒロ坊さん開発された、クロック発生基板です。


2. これが入手した「 TurboPLL-01 」です

    詳細は、ヒロ坊さんのHP、廃人の庵を参照して下さい。

     ←詳細はここ!

 この基板に電源を供給するだけで、14.318MHz3系統、24MHz、48MHzクロックを得る事が出来ます。その上、14.318MHzの可変クロック出力もあり、この基盤1枚で原発乗っ取りと可変クロック化がまとめて実現できる、スグレモノです。




3.ASUS P2Bの原発乗っ取り 1999/01/05

1. 「 TurboPLL-01 」をP2Bへ接続します
  
  1. 14.318MHzは3箇所へ供給します。
    ・出力1はチップ抵抗R80(33オーム)を除去したPLL-IC反対側パターンに接続。
    ・出力2はチップ抵抗R97(47オーム)
    ・出力3はR78(10オーム)を除去したPLL-IC反対側パターンに接続。
  2. 24MHz出力はチップ抵抗R123(22オーム)を除去したPLL-IC反対側パターンに接続。
  3. 48MHz出力はチップ抵抗R122(22オーム)を除去したPLL-IC反対側パターンに接続。
  4. 可変クロックは水晶発振子の出力側(PLL素子側)へ接続。
 抵抗値に関しては、デジタルテスターでの実測値ですが、一部公開情報と異なっています。整合抵抗は基板上に実装されている為、特に外部には設けず、直接供給します。


2. 配線は極力短くなる様に配線します
  
 今回は最長部で約70o程度となりました。

  
 GNDパターンのあるマザー取付穴を利用して金属スペーサーで取付。アースが強化され、より安定動作が期待できます。スペーサーが二段になっているのは、拡張用です。(比較用にFEXT97PLL接続)アースパターンの無いマザー取り付け穴にジャッキビスを立て、足代わりにします。私のケースではこの位置に取り付け穴が無い為、マザー固定方法として利用しました。


3. 動作チェック
 配線を再チェックして、必要最小限(CPU+最小限メモリ+ビデオカードのみ)で電源を投入します。見事にBIOSが起動しました。とりあえず、最悪の結果は無いようです。マシンを復元し、詳細動作チェックを実施する事にします。

4. まとめ
 既に改造を行っていた為、今回はExcraftさんの拡張基盤から「 TurboPLL-01 」への入れ替えとなりました。基本的なことは前回の改造で熟知している為、比較的簡単に出来ましたが、やはり初心者には有る程度の知識と半田付け技術は必要です。前回と違い、一発起動!となり、感動しております。安定性に関しては暫く時間が必要ですが、色々な条件でのテストを実施する予定です。しかし、この小さい基盤にこれ程の機能を収める事が出来たのには驚きの一言でしょう。