1.Thunderbirdコアのコンタクトとは? 2000/11/12

1.コンタクトについて
 SlotタイプのK7 AthlonにはGoldenFingersなるコネクタがあり、コア電圧可変、倍率可変、L2倍率可変とOverClockファンたちの話題を集めましたが、SocketAに移行した新コアThunderbirdではどうでしょうか? 答えはコア上のコンタクトにあります。コア上面を観察すると、L1からL7と記された7種類のコンタクト(電気接点、固定式のジャンパーとでも言いましょうか?)が存在している事が分かります。

  
L1   コア周波数倍率の変更可否
L2   不明
L3 FID コアの周波数倍率を決定します
L4 BP_FID  
L5    
L6 BP_FID  
L7 VID コア電圧(1.50から1.85V)をレギュレータに指示します

 それぞれのブリッジをどう接続するかはTom's Hardware Guideをご覧下さい。詳しく書かれていますので、A7Vの様にディップスイッチが無いマザーでも倍率変更、コア電圧変更が可能となります。但し、このコンタクトを接続する事は簡単ですが、切断する為にはかなりの技術が必要である事を十分認識の上、御自身の責任で行ってください。


2.L1クローズ
 倍率変更を行う為には、L1のコンタクトを全て接続する必要があります。これが一般的に"L1クローズ"と呼ばれる手法です。L1には4つのコンタクトがありますが、これらを全て接続する事で倍率変更が可能となります。


3.L1クローズを行う
 では、実際にL1クローズを行いましょう。切断されたパターンの接続には、一般的にPCB補修で使われるコンダクティブペンの利用が望ましいと思いますが、入手が困難かもしれません。私は入手可能である事を確認し、見積りまで取りましたが、この目的の為に購入するには高価すぎて^^; 今回はパスです。ペルチェ化の際にでも再検討します。また、導電性補修材(自動車の熱線補修材)でも成功した例があるようです。今回は、一般的に利用されており、最も簡単である鉛筆を利用した方法を紹介します。
 HB鉛筆の先を十分の細くし、L1の4つのコンタクトに沿って書けば完了です。この時、隣のコンタクトと接触しない様に注意して下さい。私は2回ほど重書きをしました。もし、失敗した場合はアルコールで拭き取り、再度行えば良いので安心です。消しゴムを利用する方法も紹介されているようですが、私は静電気で破壊する事が心配なので試してはいません。
   HB鉛筆にてL1クローズを行ったCPUです。
 ペルチェ素子を利用して冷却する場合などは信頼性に非常に不安を感じますが、一般的な空冷であれば結構使えると思います。




2.倍率変更

1.ASUS A7V(ディップスイッチ付)で倍率を変える変更する
 ディップスイッチの設定と倍率の関係を以下に示します。分かりやすい図解がASUSのWebPageに紹介されていますので、そちらも拝見下さい。

倍率 SW設定
SW6 SW5 SW4 SW3 SW2 SW1
×5.0 ON ON ON OFF ON ON
×5.5 ON ON ON OFF ON OFF
×6.0 ON ON ON OFF OFF ON
×6.5 ON ON ON OFF OFF OFF
×7.0 ON ON OFF ON ON ON
×7.5 ON ON OFF ON ON OFF
×8.0 ON ON OFF ON OFF ON
×8.5 ON ON OFF ON OFF OFF
×9.0 ON ON OFF OFF ON ON
×9.5 ON ON OFF OFF ON OFF
×10.0 ON ON OFF OFF OFF ON
×10.5 ON ON OFF OFF OFF OFF
×11.0 ON ON ON ON ON ON
×11.5 ON ON ON ON ON OFF
×12.0 ON ON ON ON OFF ON
×12.5 ON ON ON ON OFF OFF

 SW5、SW6はONにしておく必要があります。OFFのパターンを良く見ると、2進数のパターンですので実験の際は簡単に変更できそうですね。


2.ディップスイッチが無いマザーの場合
 A7Vでサウンド付きマザーの場合は、ディップスイッチがありませんが、簡単な改造でディップスイッチを取り付ける事が可能です。また、A7V以外で倍率変更ディップスイッチの無いマザーでも可能な方法として、コンタクトを利用して倍率を変更する事も可能ですが、コンタクトの状態を変化させる為に都度CPUクーラーを取り外す作業が必要です。詳細はTom's Hardware Guideをご覧下さい。残念ながら、私はこの方法を試していません。また、将来的にA7V以外のマザーでも倍率変更機能を持ったマザーが登場する事かと思いますので、今後もこの方法を試す機会は無いかと思います。