アフターズヒストリー

【第一話】 【第二話】
<第一話>
 1995年1月。
 とある書店で黄色い表紙のいかにもマイナーなラグビー雑誌をみかけて、
なにげに立ち読みしたところから、私の人生は数奇な運命をたどることになる。


 学生時代、今日こそは辞めてやる……と決意を固めて指導者の教諭に伝えると、
「学校辞めるかラグビー続けるかどっちがいい?」
 とお茶目な答え(爆)に励まされ? ながら嫌々ながら追いかけた、あの茶褐色の変な形のボール…… 何も悪いことをしたわけでもないのに、やれ腕立て伏せ100回だの、ウサギ飛びで校庭を5週だの目の前の景色がモノクロになるまで修行? をさせられた。
 練習が終わると出もしないツバを吐きかけ、既にこの世の物とは思えない色と匂いの靴下を手にはめて、”顔が映るまで磨け!!” と強要されて、部室の裸電球の下で泣きながら必死にボールをこすっていたあの頃の情景が脳裏を駆け抜けた……


 本屋の店員のいぶかしげな顔を無視しながらページを繰って行くと、信じられない記事が目に入った。なんとチーム員を募集しているではないか! 社会人になってからもあんなおぞましいスポーツをやっている奴がいる! しかも、あろうことか公然と部員まで募集するとはっ!! 
 ゆるせんっ!! 

 私は、持ち前の正義感を奮い立たせ、その本を買った。 このような無頼の輩には私が自ら正義の鉄槌を下さねばならぬ! その夜、私は女房に内緒でその本に書いてある連絡先に電話をかけた。意外にも相当頭を打っているだろうにもかかわらず、人間の言葉を話すことの出来る奴で、練習に来て下さいという……
 その週の日曜日、指定された時間にグラウンドに出向いたところ、雨の中あろう事か4〜5人のもやしのような猿共が不器用そうにボールを扱い、泥だらけになって走り回っているではないか! 
 ……信じられん!! 私は神に祈った(神よ、私に勇気を!!)。 早々にグラウンドを後にした私は、スポーツ店でスパイクとジャージ、短パンを購入した。
 ……その夜、私の枕元には新品のスパイクが鎮座していた。




ラグビーのトップへ
あふたの洞穴へ