放映:CX 1977/01/02〜1977/01/02(全52話)
音楽:渡辺岳夫
原作:スターリング・ノース「はるかなるわがラスカル」
製作:日本アニメーション内容:スターリング少年(内海敏彦)とあらいぐまラスカル(野沢雅子)の友情物語。普通の人々だけが登場する世界と、スターリングの日常を生き生きと描く演出は「世界名作」の名に恥じない。子供の毅然としたオトナへの接し方に好感です。音響監督浦上靖夫の名も捨て置けぬ。詳しくは製作秘話をごらんください。
ロックリバーへ OP作詞:岸田衿子
作曲:渡辺岳夫
編曲:松山祐士
歌:大杉久美子、セントメリー・チルドレン・コーラス
SCS-334,CS-7032,CW-7118,CZ-7191,COCC-14297,COCC-12680,CC-4431~2,COCC-12840~1,COCC-13591~600,56CC-1878~9,CC-4187,FMCC-5045~7,COCC-14376~8,COCC-70062,KIVE-39,COCX-32551~53,COCX-34156~7,COCX-36193~6,COZX-437~40,COCX-33275,COCX-402352小節目「花が咲いたら♪」でいきなりオクターブ高揚するメロディーが、職人のワザの冴え。
松山編曲はカントリー調で、バンジョーを導入し、弦の音程は発音しながら変化する。特筆すべきは16分で刻むストリングスのダイナイズムで、サビ前とエンディングで光る。特にTVサイズのエンディングでは、圧倒的な効果を発揮している。この雰囲気は、打ち込み音楽ではなかなかマネできないのです。TV用OPはこの他にも、チューバが強調されるなどサウンドの処理が異なっている。
Linda Hennrick訳詞による英語ヴァージョンがある。
おいで ラスカル ED作詞:岸田衿子
作曲:渡辺岳夫
編曲:松山祐士
歌:大杉久美子
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「おいでラスカル」のテーマアレンジは、「ロックリバーへ」よりも多く劇中演奏されました。スターリングが口笛でラスカルを呼ぶ場面では、歌入りでした。
つりびより IN作詞:岸田衿子
作曲:渡辺岳夫
編曲:松山祐士
歌:大杉久美子
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mioさん 1997/08/27
歌の前半で、友人のオスカーに呼びかける詞「オスカーはやく〜♪」がある。そのメロディーが、大杉久美子の歌の効果もあって泣かせる。ファンにはぜひ聴いてほしい歌だ。泣けます。ラス前回で本編挿入されて2番まで演奏されます。キーはGで、メロディーは「BA|BEB(CM7)|A(Bm7)」である(カッコ内はコード)。この歌のようにメジャーの曲で「IVM7、IIIm7」としてメロディーに7thを用いるのは渡辺岳夫の得意ワザ。編曲も凝っていて、123番で変化をつけている。特に3番のこの部分では、ベースが胸に迫ってきます。
さよならをゆうときがきたね IN作詞:岸田衿子
作曲:渡辺岳夫
編曲:松山祐士
歌:大杉久美子
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mioさん 1997/08/28
ラスカルを自然の野山に返す最終回で本編挿入されます。おわかれの歌ですが、マイナーではありません。別れ→悲しい→マイナーなんて、単純なドラマではなかったよね。そういえば「蛍の光」もマイナーではありません。
すてきなカヌー IN作詞:岸田衿子
作曲:渡辺岳夫
編曲:松山祐士
歌:大杉久美子、セントメリー・チルドレン・コーラス
CS-7032,COCC-14297,COCC-12680,COCX-32551~53,COCX-34156~7,COCX-36193~6,COCX-40235とても「次が想像しやすい」メロディーですね。とくに「にじのしたを♪」で一瞬停止するのは、歌詞からも想像できるし。ともかく、「ハウザー・ラスカル♪」のとこで、大杉久美子さまの美声がタンノーできる曲。
mioさん 1997/08/27
やはりカントリー調のヴァイオリンによるイントロと間奏が印象的。一作品で一つは登場する三拍子をこの歌で使用しております。女っ気なしで三拍子とは珍しいかも。ラス前で半音階盛り上げ転調の使用も、渡辺岳夫にしては珍しい?(当時の流行歌謡の影響か)。最終回の2回前に、カヌーの進水式の場面で本編挿入されます。
もえるゆうひ IN作詞:岸田衿子
作曲:渡辺岳夫
編曲:松山祐士
歌:大杉久美子
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mioさん 1997/08/27
夕陽をテーマにした渡辺歌曲はいくつかありますが、これは屈指の名曲です。夕陽を歌うもの悲しさからマイナーのように感じられます。しかし歌メロのでだしと間奏がマイナーで、その他はおおむねメジャーのようです。「つりびより」のパターンIVM7→IIIm7がクライマックスで登場して袖絞りです。松山編曲は映画音楽的にシンフォニックでコーラス付きの豪華さです。それでいてエレクトリックベースが魅力的、なおかつラスカル全編で多用されるアコースティックギターも効果的です。そしてストリングスの間奏が渡辺&松山真骨頂の美しさ。最終回でスターリングの旅立ちを飾ります。
いたずらっこポー NO作詞:岸田衿子
作曲:渡辺岳夫
編曲:松山祐士
歌:大杉久美子
CS-7032,COCC-12680,COCX-32551~53,COCX-34156~7,COCX-36193~6,COCX-40235コミカルな曲ですね。リズムや歌の出だしのコードなど、後の「ペリーヌものがたり〜きまぐれバロン」にそっくりです。まあ、バロンの方がやっぱり展開に富んでいますね。ポーは、「起承転結」の「転」がない感じ。でもこういう曲も好き。一番一番それぞれの最後に、「ね?」という、歌詞にない大杉さんの言葉が入ってます。
mioさん 1997/08/27
おはようドニイブルック NO作詞:岸田衿子
作曲:渡辺岳夫
編曲:松山祐士
歌:大杉久美子、セントメリー・チルドレン・コーラス
CS-7032,COCC-12680,COCX-32551~53,COCX-34156~7,COCX-36193~6,COCX-40235セントメリーのコーラスで入る曲です。リズムとしては「ヤンマー」。いや、「ひずめの音がきこえるよ♪」のところが、「ヤン坊マー坊天気予報」の歌とほとんど一緒なので。調まで一緒ですね…。ヤンマーって渡辺さん?。またメインパート・ラストがコってますね、渡辺さん。
mioさん 1997/08/27
OP主題歌同様のカントリー調ですが、こちらはテケテケしたエレキギターとオンボロ風ピアノ付きでのどかな展開です。やはり何を言ってるのかわからないコーラスがあります。CDのライナーにはモチロン英語歌詞が書いてあります。ドニイブルックとは馬の名前です。
公開:東映 1977/07/17
監督:遠藤政治
音楽:渡辺岳夫
製作:日本アニメーション
当時製作された劇音楽のすべてと主題歌・挿入歌を収録した決定版2枚組。1977年の放送から30年の時を経て2007年に発売。「20th アニバーサリー メモリアル アルバム」からも10年たっています。音楽の解説は、充実のブックレットを参照してください。
「フラ犬」「ラスカル」「ペリーヌ」をはじめ「三千里」「アン」「あしなが」「トラップ」「ブッシュベイビー」「若草」「ティコ」の劇伴音楽とTVサイズ主題歌を収録。既発売音源CD COCC-14297「あらいぐまラスカル 20ht アニバーサリー メモリアル アルバム」との重複を避けた、ありがたい構成。詳しく解説は超充実ライナーを参照していただくとして、ここでは若干コメントをしてみました。●印は、複数曲収録トラックでの曲の区別を表します。
タイトルOP主題歌のさらに前のタイトルです。TVの再放送ではなかなか聴けませんが、このCDには収録しています。番組OP「カルピスこども劇場」のタイトルを飾った。ポロンと鳴るバンジョーが隠し味です。
ロックリバーへ(TVサイズ)
森と湖のまつり●ゆったり、豊かな森と湖。出だしはOP主題歌冒頭にならった進行で、締めはアーメン。グラスなピアノとギターが懐かしい。
●OP主題歌のカントリーアレンジ。弦も加わって、そこはかとなく上品な演奏です。
●明るく快活な劇伴。意外なほどエコーがかかっていますね。
巣立ちの季節●ED主題歌のアレンジ。主題を演奏するのは、ラスカルには欠かせぬマリンバのトレモロ。
●挿入歌「さよならをゆうときがきたね」のアレンジ。TV本編最終回では「さよならをゆうときがきたね」歌入りが先に流れます。インストバージョンは、別れを惜しむスターリングとラスカルのBGになっています。
●挿入歌「もえるゆうひ」のアレンジ。TV本編最終回では「もえるゆうひ」歌入りが先に流れます。インストバージョンは、スターリングのモノローグのBGになっており、そのままラストシーンを飾ります。先に歌で盛り上げておいて、重要場面では同じメロディーをインストでさらに盛り上げるという、なんとも袖絞りな演出であります。
おいでラスカル(TVサイズ)TVの再放送なんかでは途切れがちな最後のピアノ音まで、このCDではしっかりと味わえます。皆さん、買うように。
OP・ED主題歌、挿入歌「つりびより」「すてきなカヌー」「さよならをゆうときがきたね」を収録。この他に、BGM COLLECTIONとして劇伴も収録。本編ドラマ音声まで収録している関係で、BGM満載とはいかない。しかし、ハーモニカの5度上行で始まるあの曲も、ゆったりしたストリングスのテーマにピアノが伴奏するあの曲も収録されている。贅沢はいうまい。劇伴・挿入歌・おはなしを交互に聴かせるという、工夫のあるアルバム構成。「おはなし」パートにもBGMがはいっており、味わい深い一枚だ。
PROLOGUE番組OP「カルピスこども劇場」のタイトルを飾った。ポロンと鳴るバンジョーが隠し味です。
BGM COLLECTION I00'00" A
ハーモニカとギターの短い曲。ブリッジ音楽に分類して良いだろう。
BGM COLLECTION II00'00" A
大胆な変奏なのでなかなかソレと気づかないほどだが、「ロックリバーへ」のテーマアレンジ曲。三連系のピアノとマリンバのロールという、ラスカルの代表的器楽要素を配している。02'00" B
02'36" C
なんとなくフォスターを思い出しますが、気のせいでしょうか。そういえば「ロックリバーへ」の歌メロでだしのコード「C|F|C|G7」は、「故郷の人々」と同じような・・。「故郷の人々」にも「ロックリバーへ」と同じく、メロディーのオクターブ跳ね上がりがあるぞ。「故郷の人々」の歌詞にはスワニー川が登場しますが、「ロックリバー」も川ですね。04'17" D
極めて使用頻度の高いブリッジ。小鳥がさえずるような軽やかな木管〜ストリングスで次の場面へと展開する。ほとんど独立した2曲のようでいて、しかし単独で演奏されることはほとんど無いという、まさにブリッジです。ツボは後半で鳴るベースです。後半でベースが加わることによって、どんな場面に続いても気持ちが入っていきます。
前半部分がトボけたクラリネットのソロになることもあります。後半部分のストリングスは生弦ですが、余韻は何故かシンセストリング。目立たぬところで凝ったサウンド作りをしています。
BGM COLLECTION III00'00" A
ストリングスのテーマに、バックは川の流れるようなピアノの三連音。後半はマリンバのロールも加わる。渡辺的な「C|C|A|A|Dm|G7」の進行にのったメロディーは情感にあふれている。第4話「ミルウォーキーのお月さま」のエンディングでは、「月光」を思わせる。ベートーヴェンはC#のマイナーだが、渡辺岳夫の「お月さま」は柔らかなメジャーで暖かく輝く。
ちなみに理論書にはセコンダリードミナント7thの例として「CM7|A7|Dm7|G7」が紹介されている。例によって7thは自信がない(聞こえない)ので、誰か教えてね。01'49" B
ろうろうとしたトランペットに、アコースティックギターの曲。後半はピアノも加わる豪華ナンバー。フォスターの「故郷の人々」が隠れている。
本編演出上の重要と思われるポイントで演奏される。ラスカルの世界(普通の人々が暮らす世界です)を代表する「人生のテーマ」と呼びたい。
ロックリバーへ(オルゴール・サウンド・ヴァージョン)これは本編の劇伴ではありません。CDのセールスを意識しての収録でしょう。綺麗なオルゴールの音です。
BGM COLLECTION IV00'00" A
01'08" B
01'53" C
BGM COLLECTION V00'00" A
ハーモニカの5度上行で始まるあの曲だ。BGM COLLECTION III Bと同じ動機だが、管理人にとっては、こちらが「はるかなるラスカル」の記憶につながる音楽です。00'51" B
BGM COLLECTION IIIのAと同じタイプの曲。じ〜んとするのだ。02'40" C
BGM COLLECTION VI00'00" A
00'57" B
メロディーといい、コードといい、管理人が心酔する渡辺岳夫の世界。ラスカル劇伴にはアコピが多いのだが、ここではエレピがテーマ、バックをギターのアルペジオ。後半はシンセストリングスが登場する。生弦を使える状況(お金はたくさんある)なのに、テーマはシンセ。本物のストリングスは最後に少しだけ鳴るのだ。これが音楽である。02'12" C
BGM COLLECTION VII00'00" A
「ロックリバーへ」のテーマアレンジ。02'03" B
02'34" C
ラスカル劇伴には弦楽合奏的な曲があり、これはその代表曲。本編では「おいでラスカル」の弦楽アレンジも多用される。
BGM COLLECTION VIII00'00" A
「ロックリバーへ」のテーマアレンジ。生弦〜シンセストリングスが交互にテーマを演奏する。01'30" B
シンセストリングスで始まる不安系の曲。このアルバムは聞いて楽しむサントラとして構成されているため、不安・ショック系の音楽収録は少なめです。03'13" C
EPISODE I 出会い00'28" A
BGM COLLECTION III Aと同様の進行だが、リズムは三連ではなく「たん、たん」と淡々と。悲しさの中にも希望と決意を感じさせる。本編第一話他で何度も演奏された、ヒューマンな音楽だ。「ロックリバーへ」のアレンジがひき続き演奏されて、エピソードのエンディングを演出する。
EPISODE II アリスと友だちになりたい00'27" A
「G〜E〜FEDC♪」を繰り返すやや単調な曲です。こういった曲でもエピソードのパートに紛れ込んでいると嬉しいです。01'15" B
BGM COLLECTION III B や V A と同じテーマだが、ここではリズミックなアレンジで聴ける。エピソードトラック中なのに、なんとこの曲にはセリフが重なりません。ありがたく聴きましょう。02'04" C
アリスと友だちになれそうで大喜びするスターリング。穏やかなハーモニカ〜やがて暖かなクラリネット。
EPISODE III スリーレイクスでの迷い00'00" A
EPISODE I Aの前半と同じ曲。この曲は使用頻度が高いのです。02'06" B
「おいでラスカル」のテーマアレンジ。
EPISODE IV 決心00'37" A
EPISODE V 別れ00'10" A
「さよならをゆうときがきたね」のインストアレンジ。03'00" B
「20ht アニバーサリー メモリアル アルバム」に未収録の音楽を、本本編鑑賞して徹底研究しました。その後「世界名作劇場メモリアル音楽館」に当時製作された音楽が完全収録されました。
テーマアレンジロックリバーへ
ゆったりしたテンポのカントリー調で、ハーモニカーがテーマ。バンジョーが軽快なアレンジもあります。おいでラスカル
本編ではOPよりもEDテーマアレンジの印象が深い。いろいろなアレンジがありますが、特に弦楽合奏は使用頻度が高いようです。さよならをゆうときがきたね
TV本編最終回では「さよならをゆうときがきたね」歌入りが先に流れます。インストバージョンは、別れを惜しむスターリングとラスカルのBGになっています。もえるゆうひ
TV本編最終回では「もえるゆうひ」歌入りが先に流れます。インストバージョンは、スターリングのモノローグのBGになっており、そのままラストシーンを飾ります。
どうぶつたちラスカル
ラスカルのための音楽は、全編を通じて木琴で演奏されます。たくさんの金属パイプで音を反響させて、低音も良く鳴る木琴がマリンバ。パイプは少しで、高音中心の木琴がシロフォンです。ちょこまかラスカルにはシロフォンがお似合いです。
シロフォンの「CDEFG♪」から始まって、そっと寄り添う弦と木管が組曲風に展開することもあります。ラスカルはハウザーやドニイブルックとも仲良しなので、いろんな展開があります。ポー
いたずらカラスのポーは、ほぼ単音の(おそらく)シンセ。BGM COLLECTION VIII Bのシンセストリングス音色に似ています。ここでは愛想の無いストレートな音色で、毎回いたずらや意地悪をします。ポーとハウザー、ノース家の庭
木管の楽しいメロディ「GE、GE、↑C↓G、EFG♪」。繰り返しの2回目には木琴が加わります。木管と木琴のユニゾンは、とっても軽快です♪。やがて弦楽メロディーや、木琴メロディーに移り変わってどんどん展開。好きなだけ繰り返して、演出の都合でいつでも終われます。
もっさりのっそりハウザーには、おとぼけのクラリネットが似合います。ハウザーは Wowzer と綴るようですが、Wowをハウと読むのは何語系の発音でしょうか。「すてきなカヌー」の少年合唱では、バウザーと言ってます。米国では Bowzer という犬の名がポピュラーらしいです。
ブリッジラスカル劇伴では、独立した2曲を連続させたような「文字通りのブリッジ」が多いようです。
不安〜緊張
暗ブリッジとして、使用頻度の高い曲。クラリネットのソロがユーモラスですが、なんとなく不安の予感〜続く弦の和音は緊張し、場面は明るくなりません。明ブリッジの代表は「BGM COLLECTION II D」。いずれも後半にベースが加わって、物語を展開させる駆動力になっています。不安〜緊張
暗ブリッジはいくつかあって、シンセストリングス〜生ストリングスというパターンもあります。ブリッジの重心は、後半にあるようです。ちょっとしたキモチのアクセント
アコーディオン(シンセ?)で「C〜〜〜BAG、F、♪」、最後はビブラフォンのFM7で、トップはE音です。もちろん、単一構成的なブリッジもあります。
すがすがしいブリッジ
●緑の多い町の、のどかな朝の光景。トランペット(ではなくてコルネットか)の柔らかな音でラスカルたちは目覚めます。目にしみる朝日は、ストリングスの白玉です。
●ハーモニカのメロに、ギターが元気よく「じゃんじゃ、じゃんじゃ」とかき鳴らします。いろいろなブリッジ
●自転車のパンクは明ブリッジで、「BGM COLLECTION II D」同様に前半が木管。後半はエレピです。
●スラミーの蛙取り、前半終了して中コマへ。
●スラミーがオスカーの蛙を踏んでしまう。
●ジェシカおねえさんがラスカルの上に座ってしまう。
●クラリッサおばあさんがノース家でお手伝い→カップ破壊。
おはなしのおんがく使用頻度が少ない曲がいくつかあります。
●ラスカルが迷い込んだ洞窟には、母に似た横顔が描いてあった。
●ジンジャーがカールを狐の洞穴に連れていく。
●カヌーの材料を集めて町を回るスターリングとオスカー。うきうきリズムです。何度も繰り返し演奏される曲もあります。
●木管のソロやアンサンブル、弦楽合奏(ときにピチカートを伴う)、木琴が代わる代わる演奏して、組曲風に展開する音楽があります。その場面に合わせて作曲されたようにも聞こえます。
ゆかいなおんがく●スラミーたちの悪巧みが失敗すると、クラリネットがノラりクラりとソロ演奏します。とってもバツが悪そうです。
●「自分勝手な大人」の代表みたいなサーマンさん。彼とオンボロ自動車のための音楽は、単純な繰り返しです。しかし場面に合わせて曲の終わりをちゃぁんと作ってあるのです。
●サーマンさんのような「さほど立派ではない大人」は、ドラマの楽しい味つけになっています。コミカルな音楽にも、(そこそこに)立派な大人の味があるものです。
●小熊のタンガがスターリングのベッドにもぐりこむ回想はシンセ単音。タンガはカールのホテルに侵入して騒動を起こします。
ふあんなおんがく●ハーモニカの「C〜↑AF#G〜♪」が不安を高めます。続いてストリングスがFM7の和音です。生弦による演奏ですが、エレクトリックベースがルートを支えています。
●クラリネットとピアノの不安感。ちょろっと木琴が可愛らしくもサスペンスフル。スラミーとの喧嘩が始まる前などで演奏されます。でも実際の喧嘩場面には音楽はありません。クラリネットとピアノによる不安劇伴はいくつかあります。
●マリンバのロールに、「ばしゃっ!」と弦楽器をたたくよう音が脅かします。
かなしいおんがく●お母さんの葬儀が終わっても、ハウザーはお墓から離れようとしませんでした。アルバイト中のスターリングが知り合ったハリス老人は、流感で亡くなりました。スターリングは悲しくて泣きじゃくりました。
●ラスカルがトウモロコシ畑を荒らしました。ラスカルを檻に入れなければならないスターリング。悲しい音楽はマンドリンのトレモロです。カールが鉄砲でおじさんに撃たれたときも、トレモロです。
かんどうするおんがく●おとうさんの仕事がうまくいかず、スターリングはフレッドおじさんの牧場にあずけられました。農場の生活と仕事を通して、スターリングは貴重な体験をいくつもします。
●おとうさんの事業を心配するスターリング。彼を気遣うジェシカねえさん。静かな弦楽合奏が優しくきょうだいを見守っているようです。生弦による演奏はドラマに幅をもたせています。その穏やかな響きは、病気になったラスカルをスターリングといっしょに看病することもあります。
予告編音楽アコギやバンジョーが「C|F|G|C」を何度も繰り返すカントリー調。特にメロディーは無いのでナレーションに耳を傾けながら、楽しいリズムで次回に期待♪。
サウンドラスカルサウンドの特徴はカントリー調の弦、アコースティックギター、ハーモニカ、マリンバによるバッキングです。わからないことは、劇伴に松山祐士が関わったか否か?。あるいは、どのように関わったか?。そういったことがわかる資料は、ほとんど無いのです。
生弦とシンセストリングスを使い分けたり混ぜたりといった、凝った事をしています。凝っているくせに、決してこれ見よがしではありません。水増しサントラCDの大量セールスを意識したイマドキの劇伴音楽とは違います。
製作プロセスラスカルのTV本編を観ていると、「その場面のために録音された劇伴」があるように感じられる。例えば「おいでラスカル」のインストアレンジで、「君は眠っていたね♪」を繰り返さないで尺を合わせるなどしています。また、動物の動きをユーモラスに彩る音楽(しばしば単一楽器による)も、個別に作曲されたように感じることがあります。
既成曲が数多く登場するのも「ラスカル」の特色です。わかる限りチェックして、演出の意図や、オリジナル劇伴との関係を研究してみたいと思います。ストーリーに合わせた様々な音楽を用意するのは、たいへんな苦労と思われます。天晴れな作品作りの姿勢を讃えよう。
フォスターの音楽オールド・ブラック・ジョー
スティーブンソン家のパーティーに招かれたスターリングと父ウィラードのデュオ。ギター伴奏はウィラード。手と音が合っているか、チェックどうぞ。スターリングやアリスは鼻歌でうたうこともある。故郷の人々
スティーブンソンの家族全員による合唱。ピアノ伴奏は長女のフローラ。次女アリスとその祖母クラリッサは「ユモレスク」(ドボルザーク)のメロディーを歌う。「故郷の人々」と「ユモレスク」は、混ぜて歌っても大丈夫♪。アリスは「ユモレスク」がお気に入りのようです。ケンタッキーの我が家
ボートの上でフローラが歌い、カールがギター伴奏します。夢路より
クラリッサおばあさんが歌います。
アイリッシュ・ピクニック(秋のお祭り)の音楽パレードの音楽
マーチングバンドの演奏です。チューバやピッコロが活躍する、いかにもな編曲でスーザなどの既成曲風です。しかしトリオ(中間部)がやや短いので、オリジナルかもしれません。パイプオルガン
パイプから湯気が出ています。賛美歌
メソジスト教会の婦人部でパイをふるまいます。歌っているのは子供なのに、歌声は大人のようです。これはヘンだぞ。しかし、劇伴以外の音楽を用意するのはタイヘンな苦労があったと思われるので、あまり細かいツッコミはやめておきましょう。風船売り
風船を売るおじさんが吹いているのはラッパのようなカタチですが、笛の音がします。メリーゴーランド
手回しオルガンのような音がします。ドニイブルックの勝利
二輪馬車の競争でドニイブルックが優勝する。勝利を讃える音楽は、ブラスのマーチです。
教会の音楽結婚式
カールとフローラの挙式には、オルガンの曲がえんえんと演奏された。そして賛美歌らしき歌。葬儀
スターリングのお母さんやハリス老人が亡くなった回は、清らかな合唱でエンディング。ハリス老人の葬儀では「聖なるかな♪」という賛美歌らしき歌があった。
その他の音楽峠の我が家(アメリカ民謡)
キャンプファイヤーでスターリングがハーモニカを吹いてアリスが歌いました。クリスマスの音楽
クリスマスの街のBGMとして「ジングルベル」と「きよしこの夜」。教会では「きよしこの夜」と「イー・エク・セル・シス・デオ」と歌うタイトル不明曲。猫ふんじゃった
オスカーの逆立ちにあわせて、フローラが伴奏する。作曲不詳で、世界中で親しまれているメロディーです。ロンドンブリッジ
クラリッサおばあさんが、掃除をしながら歌う。線路は続くよどこまでも
オスカーが口笛を吹く。唱歌として日本でもおなじみのメロディー。元はアメリカ民謡「I've Been Working on the Railroad」。ハッピーバースデーツゥーユー
スターリングの誕生日に歌われる。アレンジ劇伴もあるのだ。詞と曲は M.J.Hill と P.S.Hill による。
このほかにも賛美歌らしき歌の曲名・作曲者名など、わかった人は教えてください。蓄音機の音楽
ピクニックでフォークダンスする場面。カールのホテルで、あらいぐまのクレオパトラが聴き入る曲など。それぞれ「いかにも」な音楽だが、正体不明。バンドの音楽
スリーレイクスのホテルの夏祭りの夜、ステージ上で演奏するバンドの音楽。編成はピアノ、ドラム、ウッドベース、トランペット、トロンボーン、クラリネット。絵に描いた楽器と同じ音が鳴っているだけでも大したものです。フローラの歌
同ステージ上でフローラが歌う。ピアノ伴奏つきで、途中から歌がハモる。フローラはこの歌が大好きなようで、カールから手紙がくると喜んで弾き語りまでしちゃう。フォスターのようにも感じられる。女心の歌
そのフローラを笑って、クラリッサおばあさんが歌う。クラシック曲と思われるも、タイトル不明です。
EP SCS-334「ロックリバーへ/おいでラスカル」(廃盤)
LP CS-7032「あらいぐまラスカル」(廃盤)
LP CW-7118「大杉久美子 テレビアニメーションの世界」(廃盤)
LP CZ-7191「大杉久美子 よい子の名作アニメベストヒット16」(廃盤)
CD COCC-12680「日本アニメーション世界名作シリーズ あらいぐまラスカル」
こちらはややお子様向けの装丁で「うたとおはなし」収録です。劇伴はないけど、上記COCC-14297に未収録の挿入歌3曲を収録している。LP CS-7032 と同内容とのこと。
CD CC-4431~2「渡辺岳夫 テレビ映画・アニメ主題歌作品集」(廃盤)
CD COCC-12840~1「渡辺岳夫 テレビ映画・テレビアニメ主題歌作品集」
CD COCC-13591~600「アニメ主題歌メモリアル2」(10枚組)
CD 56CC-1878~9「続々・テレビまんが主題歌のあゆみ」
CD COCC-10251~2「続々・テレビまんが 懐かしのB面コレクション」
CD COCC-70062「テレビアニメスーパーヒストリー 14 あらいぐまラスカルから超電磁マシーンボルテスV」
CD CC-4187「日本アニメーション世界名作劇場主題歌集」
CD FMCC-5045~7「日本アニメーション名作劇場20周年記念 名作アニメ主題歌全集」
CD COCC-14376~8「名作アニメ主題歌大全集」
CD COCX-32551~53「世界名作劇場主題歌・挿入歌大全集 第1集」
CD COCX-40235「あらいぐまラスカル 40th Anniversary」
CD COZX-437~40「オリジナル音源による 世界名作劇場 主題歌大全集 オープニング主題歌DVD付き」
CD COCX-36193~6 大杉久美子40周年記念「燦のとき やさしさの歌」
渡辺岳夫作品では「アタックNo.1 」をはじめ「ハイジ」4曲、「ミームいろいろ夢の旅/ちいさいかわのうた」、「森の陽気な小人たちベルフィーとリルビット」2曲、「フランダースの犬」6曲、「ラスカル」8曲、「ペリーヌ」5曲、そして映画「テンプルちゃんの小公女」からすべて初CD化の5曲を収録。全体では106曲で初CD化が20曲という豪華版。
CD COCX-33275「大杉久美子 スーパー・ベスト」
VTR KIVE-39「渡辺岳夫の世界」