blueball.gif (1613 バイト) はじめに blueball.gif (1613 バイト)


『封神演義』(ほうしんえんぎ)は、元来日本では一般にその存在があまり知られていなかったのだが、講談社文庫・安能務氏の訳本や『少年ジャンプ』でのコミック化によって、ここ数年で一気に『三国志演義』なみに有名になった。

その内容はと言えば、古代殷王朝の最後の王・紂王の時代に、太公望こと姜子牙(きょうしが)が周の武王の軍師となって殷軍と戦うのだが、その殷周の戦いに便乗して仙人や妖怪たちも二派に分かれて戦うというもので、一種のファンタジーである。そして戦いの終わった後に、太公望が戦争の戦死者を道教(中国で広く信仰されている民族宗教)の神々に任命するのである。題名にもある「封神」とは、神に封ずる、つまりこの神々の任命のことを言うのである。逆に言えば、『封神演義』は道教の神々が誕生した由来を殷周の戦争にかこつけて説明した物語ということになる。

この物語は中国では『三国志』や『水滸伝』等と同じく古典として広く知られ、現在でもマンガやアニメの題材になるぐらいに親しまれている。日本でも安能務氏の訳本やコミックによって有名になったと上に述べたが、ただしその内容、特に枝葉の部分は現代人向けにかなりアレンジされてしまっている。今回のダイジェストは、出来るだけ原書の雰囲気を味わってもらおうと、原書に忠実な訳本を使って作成した。

※『封神演義』の訳本やガイドブックの評価についてはこちら


blueball.gif (1613 バイト) 登場人物紹介 blueball.gif (1613 バイト)


姜子牙・・・崑崙山の元始天尊の弟子。師の命令により周の文王・武王の軍師となり、殷を滅ぼす。そしてその戦死者を神に任命した。霊獣・四不相に乗り、打神鞭で敵を攻撃する。太公望とも呼ばれる。

元始天尊・・・仙界を二分する闡教の教主で、崑崙山の玉墟宮に住まう。姜子牙に封神の儀を司らせる。

太上老君・・・老子の仙人としての姿。元始天尊と通天教主の兄弟子である。

燃燈道人・・・元始天尊の弟子。李靖とna.gif (129 バイト)ta.gif (116 バイト)の和解や十絶陣などで活躍。

十二大仙・・・広成子・赤精子・黄竜真人・懼留孫・太乙真人・霊宝大法師・文殊広法天尊・普賢真人・慈航道人・玉鼎真人・道行天尊・清虚道徳真君の十二人。元始天尊の弟子で、姜子牙を助ける。

姫昌・・・殷の四大諸侯の一人で、西伯侯の地位にある。一度紂王に幽閉されたが、後に許され、周の文王と名乗る。占いの名人。

姫発・・・姫昌の次男。周の武王。姜子牙の勧めで殷討伐の兵を挙げる。

黄飛虎・・・元々武成王として殷の軍隊を統轄していたが、妻と妹が紂王の横暴によって死んだことにより、一族郎党を率いて周に降った。五色の神牛に乗る勇将。

黄天化・・・黄飛虎の長男で、清虚道徳真君の弟子。魔家四将との戦いなどで手柄をたてる。

黄天祥・・・黄飛虎の四男。幼いながらも武将として活躍。

武吉(ぶきつ)・・・元々木こりであったが、姜子牙に弟子入りして周の武将となる。

na.gif (129 バイト)ta.gif (116 バイト)(なた)・・・李靖の三男で、太乙真人の弟子。元気で明るい少年。元々は太乙真人の霊珠であったが、後に蓮の化身として生まれ変わる。火尖槍や乾坤圏など、多くの宝物を操る。

sen.gif (125 バイト)(ようせん)・・・玉鼎真人の弟子で、変化の術を善くする美男子。哮天犬を袖口にひそませ、三尖刀で敵と戦い、数々の強敵を打ち破る。

李靖・・・元々殷の武将だったが、燃燈道人に弟子入りして周の武将となる。師から玲瓏塔を与えられた。金ta.gif (116 バイト)・木ta.gif (116 バイト)na.gif (129 バイト)ta.gif (116 バイト)三兄弟の父。

雷震子・・・文王に拾われて養子となり、仙人・雲中子に預けられる。背中に翼を持ち、空からの攻撃を得意とする。

土行孫・・・懼留孫の弟子で、地中に潜る地行術を得意とする短身の男。最初申公豹に唆されて殷に味方するが、後に周に降る。

tou.gif (132 バイト)嬋玉・・・殷将・tou.gif (132 バイト)九公の娘。五光石を百発百中で敵に命中させる美女。父とともに周に降り、土行孫と結ばれる。

竜吉公主・・・天帝と西王母の娘だが、罪を得て下界に降ろされている。姜子牙に協力。武将・洪錦の妻となる。


紂王・・・殷王朝最後の王。当初は名君であったが、妲己に唆されて残虐の限りを尽くすようになる。

妲己・・・かつて紂王に叛いた諸侯・蘇護の娘であるが、その正体は千年の狐の精である。女神・女ka.gif (130 バイト)の命令で紂王をたぶらかす。

聞仲・・・殷王朝に三代仕える老臣。臣下としては最高の位にある。かつて截教を学んだことがあり、学友の仙人たちとともに周へと攻め寄せる。黒麒麟に乗り、金鞭を使う。

申公豹・・・元来は元始天尊の弟子であったが、姜子牙といさかいを起こし、敵対するようになる。

通天教主・・・仙界を二分する截教の主。弟子たちに押し切られて闡教に戦いを挑む。

魔家四将・・・魔礼青・魔礼紅・魔礼海・魔礼寿の四兄弟。それぞれが強力な武器を持つ。

十天君・・・秦天君・趙天君・董天君・袁天君・金光聖母・孫天君・柏天君・姚天君・王天君・張天君の十人の仙人。十絶陣を敷き、周軍を待ち受ける。

趙公明・・・峨嵋山に住む道士で、聞仲の学友。黒い虎に乗り、定海珠や金蛟剪など強力な宝物を使って周軍を苦しめる。

三仙姑・・・雲霄娘娘・碧霄娘娘・瓊霄娘娘の美人三姉妹で、趙公明の妹。兄の仇を討つために九曲黄河陣を敷いて十二大仙を捕らえる。

殷郊・殷洪・・・二人とも紂王の王子で、無実の罪で殺されるところを闡教の仙人に救われた。殷を討つために下山するが、それぞれ申公豹に唆されて周と敵対する。

呂岳・・・疫病のもとを司る道士。丹薬を河川や井戸に投げ入れて、周軍の兵士を病にした。


その他

陸圧道人・・・風のように現れ、風のように去って行くさすらいの道士。その正体は炎の精である。ひょうたんに入った飛刀を使い、周軍に加勢する。

準提道人・接引道人・・・それぞれ西教(仏教)の代表者で、闡教に味方する。西方に縁がある妖怪や仙人を連れ去って行く。


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