封神演義 封神演義
6 「英傑才女、西岐に集う」
壮絶な戦死を遂げた聞仲に変わり、
九公に西岐討伐の命令が下った。道士の土公孫は、闡教に属する身でありながら、申公豹に唆されてその九公の陣営に身を投じる。九公の娘・嬋玉(せんぎょく)は五光石を百発百中で敵将に当てることが出来る。西岐軍は彼女と、土公孫の宝物・梱仙縄に苦しめられる。土公孫は九公の、娘をお前にやるという口約束を信じ、地行術を使って西岐城に忍び込み、姜子牙と武王を暗殺しようとしたが、これは宮女に変身した楊
に阻まれた。
楊は土行孫の師である懼留孫(くりゅうそん)に相談に行ったのであるが、その途中、鳳凰山では西王母の娘・竜吉公主(りゅうきつこうしゅ)と出会い、またしばらく行くと今度は三尖刀(さんせんとう)と二人の金毛童子を得た。
さて、土行孫は師父の懼留孫にあっさりと捕らえられた。姜子牙は土行孫と嬋玉が運命の糸で結ばれていることを知り、土行孫と九公との口約束を利用して計略を練り、嬋玉を捕らえて土行孫と夫婦の契りをかわさせたのであった。九公も娘の説得により、西岐に降伏した。
次に西岐討伐の大将になったのは蘇護であった。彼は娘の妲己のふるまいに心を痛めており、これ機に武王に降ろうと考えた。ところがこれに部下の鄭倫(ていりん)が猛反対する。そうこうしているうちに、截教の道士・呂岳(りょがく)が弟子たちを引き連れて援軍にと押しかけて来た。西岐軍を手強しと見た呂岳は、西岐領内の川や井戸に疫病の丹薬をまかせ、敵将を疫病にかからせた。これを逃れたのは
と楊だけであった。楊は師の玉鼎真人の助言を受け、火雲洞の三聖を訪ねて丹薬と薬草を得た。その直後、呂岳と弟子たちが攻めて来たが、たちの活躍により敗走。呂岳は更に姜子牙を訪ねる途中であった韋護(いご)にも襲われ、いずこへかと逃げ去った。
ところで赤精子は、いよいよ弟子であり、紂王の次男である殷洪に宝物を授けて下山させることにした。しかし殷洪は申公豹に言いくるめられ、師の命令に逆らって蘇護の陣営に向かう。これを知った赤精子は殷洪の説得に向かうが聞き入れられず、師弟対決とあいなった。結局殷洪は、太上老君の宝物・太極図により身体を灰にされてしまい、母の幻影を追いつつその魂は封神台へと向かったのであった。これによりようやく蘇護は西岐に降ることになり、強情な鄭倫も主君の説得により降伏に翻意したのである。
蘇護の裏切りを聞いて紂王は驚き、今度は張山に西岐討伐を命じた。その張山の陣に巨大な鷲の化身である羽翼仙が助っ人に現れたが、これは燃燈道人の罠にはまり、その弟子にされてしまった。
はてさて、広成子は弟子であり、殷の元の太子である殷郊を異形の姿に変え、宝物を授けて姜子牙の陣に向かわせた。しかし申公豹から弟・殷洪の死を聞いて激怒し、殷軍の陣営へと向かった。広成子は殷洪を説得するが、やはり聞き入れられない。その後殷の陣に羅宣・劉環の二仙が到来し、万里起雲煙を使って西岐領内を火の海にするが、下山してきた竜吉公主は霧露乾坤網(むろけんこんもう)を広げてこれを消し止めてしまった。羅宣はやはり下山してきたの父・李靖にによって討ち取られた。殷郊はといえば、彼はかつて師に誓ったように、身体を土で埋めて頭を鋤(すき)で引き潰すという犂鋤(りじょ)の厄によって処刑されてしまったのである。