封神演義 


5 「十絶陣」


魔家四将の敗報を聞いた聞仲は、ついに自ら軍を率いて西岐を討伐することを決意した。途中黄花山tou.gif (132 バイト)忠・辛環・張節・陶栄の四人を配下に収めるが、西岐軍にも雷震子が加わり、聞仲は苦戦を強いられる。

そこで聞仲は、截教の学友である十人の天君(秦天君・趙天君・董天君・袁天君・金光聖母・孫天君・柏天君・姚天君・王天君・張天君)に助けを求めた。彼らは十絶陣を構えて西岐軍に挑戦した。一方、姜子牙にも燃燈道人十二大仙(広成子・赤精子・黄竜真人・懼留孫・太乙真人・霊宝大法師・文殊広法天尊・普賢真人・慈航道人・玉鼎真人・道行天尊・清虚道徳真君)といった闡教の先輩が助太刀に駆けつけた。姚天君(ようてんくん)は落魂陣の力を利用して姜子牙を呪い殺そうとする。赤精子太上老君(老子)の宝物・太極図を使って姜子牙の魂を救い出すが、その太極図落魂陣に落としてしまった。

さて、十二大仙は豪傑の方弼・方相兄弟などの犠牲者を出しつつも、快調に十絶陣のうちの六つまでを打ち破っていった。この惨状に聞仲は驚き悲しみ、やはり学友である峨嵋山(がびざん)の趙公明に助けを求めた。趙公明は学友の仇とばかりに、縛竜索定海珠を使って西岐軍を苦戦させる。しかしこの二つの宝物は、散人の曹宝の宝物・落宝金銭によって奪い取られた。趙公明三仙島にくらす妹たちに泣き付いて、金蛟剪(きんこうせん)を借り、西岐軍に再戦を申し出た。

十二大仙金蛟剪の威力には為すすべも無い。そこへ閑人の陸圧が助太刀を申し出た。陸圧趙公明を呪殺することを提案し、姜子牙は早速呪いの儀式を開始した。その間に陸圧烈焔陣を破り、赤精子落魂陣を破って太極図を取り戻した。そしてついに呪殺の儀式は成就し、哀れ、趙公明聞仲に見取られつつ陣没したのであった。

残る二つの陣のうち、紅水陣も、曹宝が犠牲になりつつも破られた。そこへ趙公明の妹・雲霄・碧霄・瓊霄(うんしょう・へきしょう・けいしょう)の三人が兄の仇を討ちに現れた。まずは仇の一人である陸圧を捕らえるが、逃げ出されてしまう。彼はそのままいずこへかと去って行った。雲霄らは次に九曲黄河陣を築き、混元金斗を使ってsen.gif (125 バイト)(ようせん)や十二大仙を次々に陣の中に閉じ込めた。この陣に閉じ込められた仙人は、修行で得た力を失って凡人に戻ってしまうのである。この危機を見て、元始天尊とその兄弟子・太上老君が下山してきた。さしもの九曲黄河陣もこの二人には通用せず、破られてしまった。雲霄らは討ち死にし、十二大仙たちも無事救い出されたのであった。

残る紅砂陣もあっさりと破られた。聞仲十二大仙西岐軍に追い詰められ、黄花山の四将も残らず戦死した。そしてかつて師から戒められた「絶」の字を持つ絶竜嶺(ぜつりゅうれい)で、通天神火柱により、一大の英傑・聞仲もついに討ち取られたのであった。

聞仲の魂は封神台に入る前に紂王の夢に現れて諫言をしたが、紂王は態度を改めなかった。


戻る    トップページへ    次へ