ALFA ROMEO 2000 GTVeloce
アルファ・ロメオ 2000 GTヴェローチェ/1973年式:KI氏
AR 2000 GTV 私がアルファに乗るきっかけを下さった、KIさん。数年前に仕事の関係でお会いして、この2000GTVに乗ってらっしゃることを知りました。ジュリア・クーペにはずっと昔から興味があったのですが、実車を間近で見て、そして乗せてもらうのは初めてでした。
それから年月が経ち、程度の良さそうな1750GTVを見つけて真っ先に相談したのもKIさんでした。
「愛と勇気を持って偉大なる第一歩をしるしましょう。」
KIさんのこの一言で、私は底の見えないドロ沼に踏み出してしまったのでした。

2000GTVについてはKIさんに直接コメントをいただきました。

2000GTVについてお答えします。
1973年式。TIPO115というやつで、いわゆる北米仕様です。
エンジンに関しては、2年ほど前にフルバランス取りのオーバーホールを行っています。 カムは、アメリカ向けのややマイルドなものから、ヨーロッパ仕様の標準タイプに変更。 シリンダーの内径を1ミリ削り、85ミリ(標準は84ミリ)のハイコンプ鍛造アルミピストンを入れているため、排気量が若干拡大(2001CCぐらい)しています。 圧縮比もノーマルの9対1から11対1ぐらいに向上。もともとトルクの太い2000のエンジンは、さらにトルクの塊と化しています。
燃料噴射は、45DCOE152。いわゆる対策品でスペイン製となってます。 旧型の真正イタリア物45DCOE9と比べ、ジェットセッティングが出にくいとショップ泣かせの不評のキャブです。 本当のところ45DCOE9に替えたいところですが、市場での入手は非常に困難と言えます。
プラグは、NGKの6番。プラグコードは、ノロジーホットワイヤーを装着。 トルクの向上など目立った効果は特に感じられませんでしたが、燃焼効率が上がったのか、音が揃って良くなりました。また、赤い極太のケーブルは、エンジンルームの視覚効果大です。
デフは、高速走行中に破損(怖すぎ!)したため、交換。 今のものは、加速を重視したもので、ダッシュ力がアップ(3速で2速のような加速感覚)。 フリクションロスも非常に少ないため、燃費が向上し、高速走行で12km/lぐらいまで伸びるようになりました。
2000GTV 2000GTV engin
排気系は、1600GTAスペックのタコ足とマフラーで構成。 ノーマルに比べ、やや太めです。 出口は、なかなか良いものがなかったので、ジレット製のマフラーを加工してつけてもらいました。 タイコは標準と同じく、3つついているので、音量自体は、それほど大きくありません。
足まわりは、シャンクルのスプリングとコニスポーツの組み合せ。 3センチぐらいローダウンしています。車高を落とした低空飛行のスタイルはとてもカッコイイと思いますが、ガソリンスタンドやコンビニの段差越えには結構気を使います。 また、機械式のまん中が盛り上がっているタイプのパーキングには、オイルパンが当たって物理的に入りません。
タイヤは、ピレリP4000ですが、この車の太いトルクには、ややグリップ不足。 雨の日などは、ズルッといきそうで怖いので、現在履き替えを考え中です。
ボデーも8年間乗っていますが、車庫保管のおかげで、錆の進行も殆どなく、良好な状態をキープできています。
いたずらにスペックを追うことなく、あくまでも「楽しい」を基本に、公道での扱い易さを重視したクルマに仕上げたのが、今の2000GTVです。 とは言え、フルバランス取りされたエンジンは、軽く7500までぐらいは、吹け上がります。まあ、6000も回せば十分ですが。あと良い軽量フライホイールがあれば、さらにレスポンスの鋭い気持ちのいい エンジンになるのではないでしょうか。
エンジンや足まわりなど、走りのキモになる部分には、かなり手を入れてきたので、日常でお金がかかるのは、オイル交換の費用ぐらいです。 オイルに関しては、ショップ(ヴェローチェ)がイタリアから入れているERGというブランドの10W40(1500円/L)を使用。オーバーホール後は、殆どオイルは減りません。3ヶ月に1回、もしくは3000キロに1回ほどの割合で交換しています。
将来的にやりたいのは、完璧に防錆加工を行ったオールペイント。色は、“夕陽に映える赤”がやっぱりいいな、と思っています。あと趣味的には1750が理想なので、“2000GTV1750ルック”化したいところです。
こんな車のどこがいいんだ?とよく言われます。 確かに、アルファロメオという車、飛び抜けて高性能だということもないし、豪華な内装があるわけでもないし、傑出したところは特にありません。 スペックや言葉で表現できないところにこそ、アルファロメオの魅力は、隠れています。 その良さがわかるのは、唯一オーナーであるドライバーのみ。 生っ粋のドライバーズカーであるアルファロメオは、走ってなんぼ、運転して初めてその良さがわかるのです。
その証拠にアルファを運転しているドライバーは、みな幸せそうな顔をしているではありませんか。 低速ではブルブルワナワナしていたボディーは、エンジン回転数を上げ、スピードを上げるに従って、塊のような剛性感が出てきますし、低回転域でややくすぶっていた音も、回転数が上がって、すべての稼動部分が シンクロをし始めると、それはノイズからミュージックに変わります。 こうした感覚は、不思議なことに30年も前のジュリアにも、そして現在のニューエイジアルファにも共通です。 BORN TO RUN 走ること、走り続けることは、まさにアルファロメオの宿命です。
こんな官能的で楽しい車が作れるのは、やはりイタリア人しかいません。 どうせワインでも飲みながら、つくった車なんだから、少々こわれようが、いいじゃありませんか。 でもアルファロメオが楽しいのは、きっとイタリアの飯が世界一うまいからだ、と私は思います(日本の飯はおいしいのに車はあんまり楽しくないなあ)。

KIさん談でした。

home next fellows alfa