
PROLOGUE
車の免許が欲しいとは前々から思っていた。ただ自分のからだの状態を考えると本当にそんなこと
が出来るのかな心配でもあった。でもやっぱり車を運転してみたい。周りの友達が免許を取ったという
話しを聞くたびにそんな気持ちが強くなっていった。
きっかけは97年の4月だった。大学でなんとなくインターネットをやっていたら、身障者用に自動
車の改造をしてくれる会社のホームページを見つけた。そこではアンケートを受け付けていたので、早
速自分は免許を取りたいと考えているが具体的にどう進めていったらいいかわからないということを書
いて送ってみた。
すると翌日にその会社の方からメールが来て、具体的な手続きのとり方を教えてくれた。まずは運転
免許試験場に行って、適性検査を受け、免許取得が可能であるかを見てもらうということだった。そし
て、受け入れ可能な自動車学校を探すということだった。また、私と同じ骨形成不全症の方のお客を以
前に担当したことがあるので、免許取得は十分可能だということも教えてくれた。数日後には自動車改
造のカタログも家に郵送してくれた。とりあえずは運転免許試験場に行ってみないと話しにならない。
この時点になって、初めてそれまでのことを親に話した。親はビックリしていたが、就職の為にも免
許は絶対必要だということで賛成してくれた。そして5月の中旬、大学へ行く前に運転免許試験場へ向
かった。
試験場でNGと言われたらあきらめるしかないようなので、どうなることかと考えていたら、ものす
ごく緊張してきた。高校受験でも大学受験でも多少は緊張したが、この時はその時とは比べものになら
ないくらい緊張した。そして運転適正診断室へ。
ゲームセンターにあるカーレースのゲームのような装置に座り、ハンドルを回すことが出来るかを調
べた。とにかく力を振り絞って回したら、なんとかOKだった。そして免許取得の為の条件を書いた紙
をくれ、この証明書を持って自動車学校に行くように言われた。地元の自動車学校でも入校できたのだ
が、瀬戸市にある愛知リハ自動車教習所を紹介してくれた。そこは障害者だけを専門に受け入れていて
寮生活をしながら教習を受けることができるところだった。
7月、愛知リハ自動車教習所へ初めて連絡し、98年1月に入所することが決まった。どんなところか
も心配だったので、何度か見学に出掛けた。教習所の教官はとても親切で(入所後イメージは変わった
が)、車にも乗せてもらった。実際にハンドルを回してみたが、思ったより重たくてうまくいかなかっ
た。何とかできそうかなというイメージを与えなければと思い必死に右手を動かした。入所までにもう
少し腕の力をつけてきなさいと言われたので、それから入所まで、ダンベルを持ち上げたりして、少し
でも力を付けようと訓練をした。
そうこうするうちに年が明け、入所の前日を迎えた。
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