「紅き久遠−−使徒再来、そして・・・」

 


パート2
**************************************************************************



「それで、進行具合はどうなっている?」
「手駒を使って、旧姓赤木リツコ博士を捕獲、自白剤を投与の上、現在、監
禁中だ」
「ふむ。DNAの方は?」
「ファースト・チルドレンは既に消滅、採取不可。サード・チルドレンは現
在ネルフの保護下にあり、こちら側の現戦力では接触困難」
「・・・あとはセカンド・チルドレンか?」
「うむ、既に死亡していたが、友人が保有する毛髪の奪取に成功した」
「しかし、今から間に合うのか? 我らの命が消え去る前までに?」


薄暗がりの中、低い幾つかの声が、床を這うようにして響いている。


「クローン技術に関しては、ネルフに引けは取らん。サンプルが短命で良け
れば、一週間もあれば、肉体年齢で10歳くらいまでの培養は難しくはな
い」
「記憶は?」
「擬似的な記憶をインプットする。ファースト・チルドレンが記憶を継承し
た方法を既に得ている。赤木博士より聞き出したネルフの研究成果を利用
すれば、た易い事。いずれにせよ、我らがセカンドは、ネルフ殲滅のみを
行動原理として擦り込む・・・」

「S2機関は・・・未調整だが・・・4・5時間程度の稼動は可能だろう」
「エントリー・プラグも完動品は無かった筈だが・・・」
「そうだ。だが問題ない。培養・再生したセカンドをエヴァに直接、接続す
れば良い・・・」
「直に? そんなことが可能なのか?」
「下半身とエヴァとの簡単な細胞融合だ。要は、アダム因子と、セカンドの
不安定な自我が在りさえすれば良い・・・直接の神経接続であれば、シン
クロ率も高い位置で安定させられる」


闇が密度を濃くしたかのようだった。


「・・・・鬼畜のような仕業よの。が、それこそが我らに相応しい・・・」
「これならば・・・。ネルフとて戦自に協力を仰ぐ位が関の山だ」
「よかろう・・・。時間的にギリギリではあるが、奴等の苦悩に満ちた顔を
眺めながら、刺し違えて、朽ち果てるも、また一興・・・」
「見モノであるな・・・。さて冬月教授、我等がエヴァを、アナタはどうす
るつもりかね? 」
「サード・チルドレン、お前たちに打つ手があるか? かつての仲間、お前
が愛したセカンドを手にかけることが果たして、オマエに出来るか?」
「光あるところに必ず影は生まれる。が、誠の闇の中では、光は存在しえな
いのだ・・・」


闇が哄笑していた。リズムが単一で下賎な、気色の悪い呵い声であった。



* * * * * * * * * * * * * *



「アスカ・・・アスカっ! どうしたの? 何で泣いてるの?」


ヒカリは、泣いているアスカを見た。自分が知るアスカより若干、幼い気が
するものの、紛れも無くアスカである。が、ヒカリに背を向けている。声を
必死にかけても振り返らない。ただ、しくしく泣いているだけ。抱きしめて
上げたいのに、手が届かない。追いかけても追いかけても、アスカとの距離
が縮まらない。


「アスカ! ね、こっちに来て! お願いだからっ! アスカ!」


アスカに向かって声の限り叫んだ。・・・そこで、ヒカリは意識を取り戻し
た。視界がぼやけている。が、すぐ近くに父とコダマ、ノゾミがいるのが判
った。自分に酸素吸入機が付けられており、点滴やら包帯やらで身体が不自
由になっているのが、だんだん意識に入ってくる。そして、自分の顔のすぐ
近くに、トウジの顔を見た。

ドクンっ。急速に意識がはっきりしてきた。顔が赤くなる。しかし声は出な
い。また身体も動かせない。目を動かす位しか、今のヒカリには出来なかっ
た。

ノゾミは父親にしがみついて泣いていた。コダマも肩を借りて泣いている。
そこでヒカリは不思議に思う。お父さんはあっちにいる。トウジはここにい
る。お姉ちゃんは、誰に寄り添ってるの? 男泣きに泣いてるトウジが、ヒ
カリの怪訝そうな視線に気付き、笑ったようだった。

視界の半分以上を占めていたトウジの顔が、少し後ろへ下がる。あ、あれは
・・・青葉さん、だっけ? ネルフのロン毛のお兄さん。何回か会ったこと
ある。この前の碇くんの生還祝いの時も、会ったわね。でも、なんで? な
んで、お姉ちゃんと一緒なの?


そうして、やっとヒカリは、何故、自分が此処にいるのかに思い至った。登
校中に、突然、車が横付けにされて・・・、3人の男に囲まれた・・・、そ
して・・・。

そこでヒカリは、満足に機能していない声帯を通して、恐怖のうめき声を上
げた。パニックになりかかる。自分に向かって一閃するナイフの映像が、ま
ざまざと蘇ってくる。まるで、自分の身体に差し込まれる刃物の感触まで、
知覚できるかのようだった。


「ううっ・・・!」


頭が混乱する。思わずバタつこうとした。が、それは優しく、しかし力強く
留められた。トウジだった。


「こらっ、イインチョ、しっかりせいや。ワイがついとる。ワイが此処に居
たる。これからは、ずっとワイがイインチョを守ったる。だから・・・だ
から、安心しい・・」


それは、ヒカリが初めて聴く、照れていないトウジの真摯な・・・優しい声
だった。ヒカリだけを想った、心からの声だった。目頭が熱くなるのと同時
に、恐怖感は霧散した。動かせない右手をトウジが握ってくれてるのが分か
る。嬉しかった。喩えようもない程に、嬉しさが込み上げてくる。父親がこ
ちらを眺め、肯いたのが見えて・・・どうしようもなく照れていく自分を自
覚した。

照れながらも、トウジに抱かれ、落ち着いていく中で、ふと目覚める前の一
瞬を思い返す。あのアスカのイメージは何だったんだろう? 私に助けを求
めてた?

その感覚は、アスカの想いを継いだヒカリならではの直観、なのかも知れな
かった。



* * * * * * * * * * * * * *



「アスカァァァッ!!」


ケンスケが山岸ユミを伴ってネルフの指令所に入った時、彼はシンジの喉を
潰しかねないような絶叫を聞いた。

何事か、と周りを見回す。ケンスケがよく知るミサトやマコト、マヤも、モ
ニターに映っているエヴァを睨み付けるようにして、微動だにしない。自分
の左腕に手を回していたユミが強ばるのが解る。アスカ? あいつは今、ア
スカって言ったのか?

スピーカーから、アスカらしき声が漏れ伝わってくる。まだ中学生ではあっ
ても、ケンスケにも、この残酷ともいえる再会が与える、シンジへの辛い影
響を慮るのは難しくなかった。


「シンジっ!」


ケンスケは慟哭するシンジを見つけると、辺りに構わず、シンジに突進した。
今は自分よりずっと身体の大きくなったシンジの肩を掴むと、頬を引っ叩く。
この場ではミサトさえ出来なかった事を、ケンスケがやってのけたのだ。頬
を張った小気味の良い音が、その場に居た皆の時間を再び動かした。ミサト
は、ケンスケの方をチラっと見やってから、すぐに命令を下す。


「日向くん、第三防衛ラインを、芦ノ湖の南東2キロの地点に展開、松代の
戦自にも協力を要請して! 出来るだけ急がせてっ!」
「了解!」
「マヤ、こちらの声を、あのエヴァに伝えられる?」
「・・・ダメです。信号を全く受け付けません!」
「くっ・・・。もう少し努力してみて!」


シンジの肩を揺り動かしていたケンスケは、シンジの瞳に意識の光が戻るの
を確認すると、ユミにマヤを手伝うよう指示を出す。そして彼自身はシンジ
に語りかける。


「シンジ・・・! しっかりしろよ。例え、あれが惣流であっても、お前が、
誰よりも・・・、お前が対峙しなくちゃ、いけないんだぞ!」
「・・・ケンスケ・・・」
「辛いのはよく分かるよ。でも、今はそんな感傷に浸ってちゃダメだ。それ
が、綾波でなく、マナでもなく、惣流を選んだお前の義務だ! そして惣
流の死を超えて、ミサトさんと一緒になるお前の・・・、お前だけが打開
できる仕事の筈だ!」


この時のケンスケは、自分でも何を言っているか理解しているのではなかっ
た。どうして、この状況をシンジだけが打開できるなんて口走ったのか、判
らない。ただケンスケには、それが自明の理であると思えたのだ。具体的な
事を思ってしゃべったものではない。だが、それは、シンジの心を正常に戻
し、なお且つ、絶対に屈しない気持ちをシンジに呼び込む役割を立派に果た
した。


「ケンスケ、ありがとう。・・・そうだね、これは僕の・・・僕の仕事だ。
他の誰でもない、僕自身が決着を付けなくちゃいけないことなんだ・・・
それが、この世界の再生を願った僕の・・・、アスカを愛した僕の・・・、
エヴァのパイロットだった僕の・・・、そして・・・」


シンジは、順に周りのみんなを見てから、ミサトに視線を当てる。ミサトも
シンジを見つめる。しばし真摯な視線を絡め合う。そして、どちらとも無く、
頬を緩めて、肯き合った。


「そして・・・、みんなを、ミサトさんを呼び戻した僕の責務・・・僕の生
きてきた理由なんだから。今、此処に居る僕と、アスカが、・・・生きて
いた証なんだから・・」


そう・・・何よりもアスカの想いを護る為に。ミサトさんと共に生きていく
為に。みんなの未来を掴む為に。そして、綾波が護ってくれた地球を、愛し
続けていく為に。


「ゼーレ・エヴァ、このままだと3時間後、本部に到達の予定」
「3時間か・・・、余り打つ手はないわね・・・」
「ミサトさん・・・ポジトロン・ライフルは?」
「ケンスケくん・・・、あれは無理。あの時ほどの電力を今の日本は未だ供
給出来ないのよ。それに射手であるエヴァがこっちには無い・・・わ」
「JAは?」
「JA・・・? ジェットアローンだっけ。まだ、あのロボット・・・あれ
在るの?」


ケンスケは呆れた表情をする。何で知らないの、という表情だ。


「JAプロジェクトは続いてますよ。この半年は、確かリツコさんも協力し
てた筈なんじゃ・・・?」
「え?」
「さすがに一企業での推進は難しくなって、戦自に管轄が移ってますけど」
「・・・・」
「第三新東京市の電力と、JAの核融合エネルギーを変換すれば、足止めく
らいは出来ますよね・・・」
「・・・・」
「すぐに大型輸送機が使えれば、1時間で配備出来ますよ、多分・・・」
「・・・其の案、のったぁ! さすがね、ケンスケくん。あなた、すぐ輸送
機に搭乗して。JAの配備を支援してちょうだい。いい? 配置は・・・
ココ、この地点。戦自には連絡を入れとくから。ざっと、1時間で完了さ
せなさい。・・・・出来る?」
「・・・は、はいっ! や、やります! いえ、是非やらせてください!」


ケンスケがユミに合図をして指令所を飛び出していく。それに職員2名も後
に続いた。



* * * * * * * * * * * * * *



リツコは、この一週間、現実と夢の狭間を何度も行き来していた。薬と身体
に受けた傷による発熱が、意識を朦朧とさせている。しかし、意識下に刻ま
れた数名の顔、その想いが、彼女を狂気に陥いらせはしなかった。ゲンドウ
に身も心もやつれ果てていた時とは明らかに違う。あの頃は、報われぬ愛に、
E計画の責務に、秘密裏での補完計画推進に、綾波レイへの嫌悪に、全てに
プレッシャーを感じ続けていた。

今は違う。大学時代から気心知れたミサト、ゲンドウの血を引きながらも愛
に応えてくれるセイジ・・・、そして私をこの世界に呼びもどしてくれたシ
ンジくん。エヴァで辛い事ばかりを押し付けてた私を避けずに・・・。必要
な一員として、またこの世に呼んでくれた。今の私が在るのは、シンジくん
のお陰。

だから私は、ネルフに入ってから初めて、自分のやりたい仕事をやれてるの
よ。人々のために自分の能力を存分に使う。これは私が、ようやく手に入れ
た愛とは、また別の充実感。生甲斐といっても良い心の張りをもたらしてく
れている。

そして。あの当時も疑いの目を向けながらも、慕い続けてくれたマヤ。今は
ホントに心から私に笑いかけてくれるマヤ・・・。あの娘は知っているのか
しら、私がどんなにか、あの娘の笑顔に、はにかみの表情に、潔癖すぎるく
らいの純粋さに苦しめられたのか。でも・・・どんなに助けられたことか。
マヤのためにも、私は・・・帰らなければ。

更に一人。意外な人物が、朦朧とした彼女の意識下に頻繁に現れていた。

青い髪、紅い瞳。−−−綾波レイ。意識が暗黒に閉ざされそうになると、決
まってレイの幻を見た。


「レイ・・・。何故? 何故、会いにくるの? 私があなたを嫌っていたの
は知ってる筈でしょう・・・?」
「・・・・碇くんが、悲しむもの・・・。それに・・・」
「それに・・・?」
「赤木博士・・・。あなたが2番目の私を・・・3番目の私を・・・生み出
してくれたの・・・。私が、碇くんに会えたのは、あなたのお陰・・・」


レイが微笑んだ。リツコは初めて見た。綾波レイが自分に向かって微笑むの
を。レイも・・・レイも純然たるヒト、純真な心を持った女の子なんだ。過
去の亡霊のようにリツコに巣食っていたレイへの憎しみが、洗われていくよ
うな感じがする。


「何故、私は。何故あなたを憎んだのかしら? 今、こうして思うと、不思
議よね・・・」
「ゼーレがあなたに暗示にかけていた・・。碇司令が裏切った時のために。
司令の計画を止めるトリガーに、貴方がなるように・・・。だから、私を
憎んだ・・・」
「私も躍らされてたって訳ね・・・。でもレイ、あなたは私が嫌いじゃない
の?」
「どうして・・・?」
「どうしてって・・・普通は・・・憎まれたら・・・相手を嫌うでしょ?」
「自分を・・・この世に送り出して・・・くれた人を、・・・・お母さんを
・・・嫌うわけ・・・ない・・・」


リツコは驚愕した。お母さん? レイが私を母と呼んだ? 確かに私はレイ
に身体と意識を与え、記憶を伝えはしたけど・・・それにしても、母さん?
何言ってるの、このコ・・・。そう想いながらもリツコは泣いていた。心な
らずも感動していたのだ。こんな私を、よりにもよってレイが「お母さん」
と呼んだ。その衝撃は、心地よい子守り歌のように、リツコの心に響き続け
た。寄せては返す波のように・・・。

安らかな寝息を立て始めたリツコに微笑みを残し、レイは月光の中に還って
いった。



* * * * * * * * * * * * * *



「ミサトさんっ! 先輩の監禁場所、特定できました! 一ノ関からすぐ近
くですっ」
「確度は?」
「MAGIの試算によれば、81.2% です」
「まず、間違いないわね・・・」


出来るなら、すぐにでもミサト自身が飛んで行きたいところだ。しかし、ゼ
ーレ・エヴァが侵攻中である今、此処を動く訳にはいかない。また、割ける
戦力にも限りがある。黒服を使うにしても10名程度。リツコ救出に、多分
ギリギリの線。賭けるか・・・、でも・・・。ミサトが逡巡した時、突然マ
ヤが立ち上がった。背中が小刻みに震えている。


「・・・・が・・・きます」
「え? 何?」


マヤは青ざめた表情で、もう一回静かに、しかし在らん限りの力を込めて唇
を開く。


「私が・・・行きますっ! 先輩を助けに!」
「な、何を言ってるの! そんなの無理・・・」
「いや・・・、ミサトさん。マヤさんに・・・行ってもらいましょう」
「シンちゃん・・・?」
「マヤさん、射撃の成績トップなんでしょう? 足手まといになんか、なり
ませんよ、きっと・・・。それに、今のマヤさんを押し留めるのは、誰に
も出来そうにないし・・・」
「シンジくん、ありがと。・・・ミサトさん、私に行かせて下さい。私、私
・・・今度は、私が・・・先輩を迎えに行かなきゃ・・・いけないんです
っっ!」


ミサトは、マヤの決意の程を、その瞳の中に見た。あの脅え震えていた、可
愛いだけのオペレーターの目ではない。肩が震えてはいるものの、自信に裏
打ちされた強靭さを感じる。このコも強くなったのね・・・。みんな、確実
に大きくなってるんだ・・・それをミサトは実感した。


「でも・・・、ここのオペレーションは?」
「あ、あの・・・私が代わりに・・・」
「ユミちゃん・・・?」
「大体のこの半時間で、オペレーション操作は覚えました。コマンド入力は、
日向さんのサポートがあれば・・・私にも・・・出来ると思います」


ユミは物心ついてから、端末に触れて育ってきたらしく、もの静かな娘なが
ら、端末操作と基本プログラムの知識は、マヤをも驚愕させるセンスを持っ
ていたのだ。ケンスケに応援を頼んだ時、シンジはユミの特技を聞き、帯同
を許したのだった。


「・・・わかったわ。マヤ、・・・じゃあ、リツコのこと、頼んだわよ!」
「はいっ! 絶対に・・・連れて帰って来ます!」
「それでも・・・正直、まだ不安ね・・・」
「では・・・私も、行こうか・・・」


頭上からの物静かな声が、ミサトの耳朶を打つ。少し驚いて司令席を見上げ
る。ミサトばかりか、マヤもビックリしているようだ。


「冬月司令・・・?」
「うむ・・・。私が伊吹くんに同行しよう」
「そんな無茶ですっ!」
「・・・まるっきり、年寄り扱いだな、葛城くん・・・」
「い、いえ。そんなつもりは・・・。でも、誰が此処の指揮を!」
「君がいるじゃないか。それに、シンジくんが私の代わりを立派にやってく
れるよ・・・」
「・・・しかしっ・・・」
「なぁに、まだ若いもんには負けんよ。こう見えても、ネルフ副司令を10
年以上努めた男だ。一通りは、こなせるつもりだよ。・・・どうかね、伊
吹くん? 私じゃ不安かね?」


マヤは、冬月の優しい笑顔の中に、強い意志を感じた。それは心なしか、マ
ヤ自身に向けられているように思える。とても暖かい。マヤを見つめる視線
に、言うに言えぬ安堵感を覚えた。肩の震えが徐々に収まり、代わりに心強
さが湧いてくる。


「はいっ。よろしくお願いしますっ!」
「決まりだな。・・・葛城くん、すぐに発つ。ネルフの迎撃ヘリを2機回し
てくれ」
「・・・・了解!」
「じゃ、シンジくん。あとは頼んだぞ」
「はい・・・。冬月さん・・・・、ご無事で」
「解ってるよ。・・・シンジくん・・・見事、父親を超えてみせろ・・・!」


冬月の見つめる先で、碇シンジは、視線を反らすことなく、一回だけ肯いた。
それを見届けてから、冬月は踵を返えす。ゲンドウに、彼の息子への賛辞を
伝えながら。


「マヤっ、防弾チョッキ着てくのよ! 迷った時は、とにかく撃ちまくりな
さい」
「はい・・・」
「そして必ず・・・必ず、戻ってくんのよ!」
「・・・・はいっ!」


ミサトとシンジから送り出されながら、マヤはリツコを想う。先輩、今度は
私が、迎えに行きます。あの時、私の所に来てくれて・・・私を護ってくれ
た大好きな先輩を今度は・・・・今度は・・私が・・・! 待っていて下さ
い!



−−−アスカとの、哀しい対面を目前に控えて−−−ネルフの反攻が、ここ
に始まった。




******************<< 使徒再来、そして (了) >>********************

想音斗さんからのメッセージがあります。

 

 

想音斗さんへの感想は
nog@mb.infoweb.ne.jp まで!

想音斗「WORDS FOR NEON GENESIS」へ戻る