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〒446-0036 愛知県安城市小堤町5番14号

       店主エッセー
・絵本を買う、買わないは、その絵本が「子どもの為になるかどうか」が分岐点になっているようだ。「為にならない」絵本は買わないということ。だが、世の中はだいたい「為にならない」ものの方が面白いのだ。子どもはその辺り、動物的嗅覚が発達していて、大人の姑息な意図を見抜いている。

・例えば店頭で「てつぞうはね」ブロンズ新社刊 は3歳の子に分かるでしょうか? という質問がお母さんからあったとします。その時どう答えるかというと「それは、お母さんがこの本を気に入ったかどうかの方が重要です」と答えると思う。つい、子ども優先に考えがちだが、時には、読み手優先に考えてみるのも良い。店頭では表紙見せしている。ねこが横向きに描かれている表紙だ。多くの絵本を見てきたが、縦型の絵本で絵が横向きに描かれているのはほとんどない。だが、この横向きこそが絵本のすべてを語っている。表紙を見て手に取りたくなる絵本。センスが良い。

・お客様が漢字の書き順に憤慨されていた。漢字の書き順がテストに出るなんてナンセンスだと。漢字みたいな象形文字は、書き上がった形で解読するもので、書き順を学ぶものではないと。だいたい「右」と「左」で書き順が違うなんて考えられない。「上」が縦棒から書くなんて馬鹿げてる。いちいち納得。
漢字の書き順について調べてみたら「漢字の書き順」は昭和33年に当時の文部省が勝手に「統一」ということで定めたらしい。漢字の書き順なんて「右利き」の人のために作られたもので、「左利き」の人には迷惑なものらしい。さらに中国の「漢字の書き順」とも違うらしい。書き順なんて要らない。
 「正しいはしの持ち方」なんて本当にあるのか?。大人ですごい「はしの持ち方」をしている人がいる。彼らは器用にはしを操っている。聞けば何十年もこれでやってるから特に不便はないそうだ。はしの持ち方も十人十色で良い「漢字の書き順」といい「はしの持ち方」といい、日本人はすぐ型に嵌めたがる。

・絵本の「価格」というのはお客様が買う、買わないの大きな分岐点。絵本を手に取ったお客様のほとんどは「価格」を確認する。価格に見合った内容の絵本でなければ購入までいかない。現在の絵本の価格帯はだいたい、800〜1300円が主流だ。それ以上は「高い」という認識がお客様にあるようだ。
 絵本が売れることを考えた時「書名」も重要な要素だ。お客様が絵本を見た時、何に最初に目が行くかと言えば「書名」だ。次に表紙全体の色合や雰囲気だ。その次に来るのが「価格」だ。作者や出版社はずっと後。つまり、絵本が手に取られる要素は3つ。書名と表紙と価格。この3つが重要だ。
 
・絵本が売れる条件は色々ある。テンポ・リズムが良い。分かりやすい。繰り返しの言葉。・・「だるまさんが」はすべて備えている。逆に売れない絵本は、絵に覇気がない、テンポが悪い。分かりにくい。ごちゃごちゃしている・・これでは売れる訳がない

・絵本を売る仕事をして30年。絵本を見れば、売れるか売れないかは、たいてい分かる。売れる絵本には売れる理由がある。売れない絵本には売れない理由がある。前出の本が売れる3要素の他に「オーラ」もある。売れる絵本は棚に置いた瞬間、売れるオーラが出ている。オーラの無い絵本は当然売れない。
 以前、大手書店チェーンの児童書担当者と話をした。その担当者も、売れそうな絵本は表紙を見てすぐ分かると言っていた。そういう絵本は表紙見せする。売れそうもない絵本は棚差しに回される。新刊絵本が棚差しされるということは、ほぼデッドストック状態になったと同じ。売れる、売れない絵本の他に、「売りたい絵本」もあるという。そういう絵本には、ポップを付けたり、目立つ場所に置いたりするそうだ。そんな「売りたい絵本」が売れていくことは担当者の面白さだとも言っていた。

・絵本が売れる要素はだいたい3つ。「繰り返し」と「リズム」と「分かりやすさ」「だるまさんが」はすべて兼ね備えている。各オチは破裂音でまとめて、インパクトを付け加えている。これなら売れるはずだ。

・絵本に対象年齢を書くのは大きなお世話だと言った人がいた。絵本は何歳でも楽しめるのだから、あえて対象年齢を書かなくてもいい、と言うのがその言い分だ。だがこれは間違いだ。世の中、絵本選びに迷っている人の方が圧倒的に多い。その人達の為にも絵本選びの目安は必要だ。現在数社が記入している。

・以前から気になっている事がある。絵本のひらがな書きだ。日本語はひらがなばかりの文章はとても読みにくい。幼児絵本を読んで聞かせるのは大人だ。幼児が自分で読む訳ではない。だとしたら、漢字にルビを振った文章でいいのではないだろうか。

・岩波書店の絵本、「はなのすきなうし」「きかんしゃやえもん」等は皆サイズが同じだ。以前から不思議に思っていたが、パンフレットにこんなことが書いてある。「第二次世界大戦の貧しさから抜け出していなかった時代、できるだけ安価な絵本を作るため・・・」とある。そういうことだったんだと納得。

・岩波書店「岩波の子どもの本・創刊60年記念復刊絵本セット」が届いた。創刊から60年、ぐりとぐら、おおきなかぶの創刊よりもっと前に出た絵本たちだ。色調も文章もちょっとレトロだが、むしろそれが新しさや落ち着きを感じさせる。今風のガチャガチャ絵本より良質な感じがする。なかなか良い。

・店内で、新刊絵本を数冊表紙見せしていて、お客様が手に取る絵本には偏りがある。ある本は全く手に取られないが、ある本は頻繁に手に取られる。その違いは何かというと、表紙の「絵と題名」にインパクトがあるかどうかのようだ。この二つは購買につながる重要な要素。手に取られない絵本は売れない。

・絵童話というジャンルがある。絵本と童話の中間みたいなポジションだ。つまり、絵本を卒業しようとした子が、スムースに童話へ移行させようという魂胆。だがこのジャンルが不作である。良い作品が少ない。何事も中途半端なのだ。どこの出版社もこの分野に苦労しているらしい。この分野要らないでしょ。
 絵本を長く扱ってきて感じているのは、長い文章の絵本は売れ行きが悪いということ。これまでのロングセラーを見ていると、文章は程よい長さだということが分かる。この程良さが大事だ。最近やたら長い文章の絵本を見かける。しかも文字が小さい。これでは、文字数を見た瞬間、買う気が失せる。
 絵本は基本的に親が子に読むものだ。文章が長い絵本は、後半になるにつれ、読み手はどうしてもダラける。そうなると聞く側も熱が冷めてくる。こうなると絵本読みが、読み手も聞き手も苦痛となってしまう。最悪のパターンだ。
 
 絵本における文章は、簡潔であることが一番。ツイッターの文字数は最大140文字だ。140限定の根拠は分からないが、読むのに程良い文字数ということだろう。絵本も1ページ140文字くらいが良いのかもしれない。ということは作者はツイッターで文字数感覚をトレーニングするのがいいのかも。

「遊び歌」とは本来、遊びがあってそれに自然発生的に歌やリズムが付くもの。最近の「遊び歌」はCDで音楽を流して、それに合わせてダンスするのが主流になりつつあるがそれらは「遊ばせ歌」になってしまっている。それならAKBの歌に合わせて踊った方がよほど楽しい。「遊ばせ歌」は残っていかない

幼児が「喜ぶ」ことと「笑う」ことは全く別物だ。子どもはトリッキーな動きやオーバーアクションに「笑う」ものだ。だが、それは「喜んでいる」ことにはならない。そのアクションが笑えるだけで、本質的に喜んでいない。「笑い」は消えていくが「喜び」は残っていく。この違いは大きい。

遊びは「リーダーがいなければ成り立たないのは、遊びではない。リーダーがいなくても成り立つのが遊びだ」とは繁下和雄先生の言葉。その意味で最近の「若手遊び歌作家」の遊びは「遊び歌」ではない。単なる「ダンス歌」だ。ダンス歌は一過性で、将来に残っていかない。CD音楽遊びは使い捨てになる。








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花のき村

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「遊び歌」とは本来、遊びがあってそれに自然発生的に歌やリズムが付くもの。最近の「遊び歌」はCDで音楽を流して、それに合わせてダンスするのが主流になりつつあるがそれらは「遊ばせ歌」になってしまっている。それならAKBの歌に合わせて踊った方がよほど楽しい。「遊ばせ歌」は残っていかない