昭和53年以来30年に亘って欠陥住宅被害者救済活動を続けている
欠陥住宅を正す会では、
このホームページで欠陥住宅問題のホットなニュース、新判例など被害救済に役立つ記事をお届けします。
―正す会の窓・・・その34―
春の苑 くれなゐにほふ 桃の花
した照る道に 出で立つをとめ
大伴家持
このホームページをご愛読いただいている皆様方の中にも
多くの万葉ファンがおられることでしょう。
大和三山を望む山の辺の道に
まるでここで詠まれたか≠ニ思う所があります。
その桃畑の あたたかな春の光の中にたたずんでいると
にほゐ立つ乙女に出会った〜〜 ような〜〜
そんな白昼夢を見てしまう 美しいところです。
欠陥住宅Q&A 今回も『ツーバイフォー工法』のご質問に
お答えしています。前回に引き続きお読みください。
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欠陥住宅 Q、& A、 (その13)
ツーバイフォー工法か在来工法か・・・その2 ―― ツーバイフォー工法を選ぶときの注意点 ――
(Q)前回、「ツーバイフォー工法か」「在来軸組み工法か」について質問した者です。
「工法の種別にこだわらず、よい施工者を選ぶことだ」とのお答えは参考になったのですが、前問でもふれられていたように、どのような工法でも、長所(メリット)と短所(デメリット)の両面があると思うのです。ツーバイフォー工法のデメリット面としては、どのようなものがあるのかを考慮に入れておき、それを避ける相当な計画を立てたいとおもいますので、ご教示ください。
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(A)ご質問のように、どの工法をとる場合にも、デメリットとなりやすい面もあるものです。住まい造りに際しては、自分の住まいに対する要求点を第一としつつも、専門家の意見も聞かれ、工法によってはデメリットとなる恐れのある事柄については、あらかじめそれを避けるか、軽減する計画を立てることが賢明です。
ツーバイフォー工法のデメリットとしては、まず平面計画、特に、間取りや開口部のとり方の自由度の幅が、在来工法に比べて狭いということです。
というのも、〈下図〉のような枠組壁を壁や床版に使用するため、部屋の広さや窓の大きさなどには基準上の制約があり、法定基準に従う限りは、あまり大きな部屋や一面テラス窓といった部屋はとりにくく、平面計画が制約されやすいということです。敷地の地形が変形している場合には、なおさらこの制約が増します。
次に住まいの使用目的は、年代によって変わってきます。子どもの成長とともに、あるいは子どもが結婚し、あなたが隠居部屋を必要とするときなどには、増改築の要求がつきものです。
また、建物の老朽化とともに大幅な修繕が必要となる場合も生じます。このような場合に床材と耐力壁が枠組壁で法定基準通り組み合わされなければならないツーバイフォー工法の建物は、柱や梁に手を入れるだけで間取り変更や増改築がしやすい在来工法に比べて、修繕や増改築の自由度が制約されやすいということです。
このため、あらかじめ増改築の予想をたて、増改築予定部分には出入りが可能なように耐力壁をとらない部分をつくっておくなど、将来の増改築を予想して、現在の間取りを考慮しておかれることです。ときとして法定基準を守る限りにおいては、ご要望通りの増改築が不可能になる場合もあります。
以上は計画面でのお話ですが、実際に施工にはいった場合のご注意をしておきます。
ツーバイフォーの建物は枠組壁で、まず階下床面を造り、四方に枠組壁を用いて壁体を組んでいくので、屋根を葺くのは、建物の躯体工事の最終段階となります。
日本は多雨の国ですので、どのような時期を選ばれようと、雨に遭わないことはありません。在来工法の建物では柱や梁で骨組を現場で組み合わせ、骨組が建ちあげられたとき、いわゆる棟上げのときに屋根を葺きますので、比較的屋内が雨にさらされることが少なく、また、在来工法は比較的全体的に空気の流通度が高いので、出来上がるまでにたとえ雨水が壁の間にまわっていても自然に乾燥されやすいのです。
しかしツーバイフォー工法では、骨組みの単体である枠組壁の中に一旦雨水が入れば枠組壁は両面を建材で密閉されますので、その中に水分が閉じ込められ、なかなか乾燥しにくいのです〈下図参照〉。
特に、このごろでは省エネ性を高めるため枠組壁の内部に断熱材を入れています。もし、施工中に断熱材に雨水がまわれば、内外装が完成するまでにその雨水を乾燥させていない限り、湿気は長期にわたって枠組壁材にとどまり、木材の腐朽を早めるおそれがあります。
また〈下図〉のように、枠組み壁内部の風通しを考えておかなければ、断熱材を入れられた枠組壁内部は結露しやすくなります。現に20数年前に建てられたツーバイフォー住宅の2階テラスの一部が陥没したので点検したところ、雨水のためか結露のためか枠組壁内部が腐朽していて、この陥没の原因となっていたことが判った事例もあります。
このような教訓から、ツーバイフォー工法の建物は施工中は、最終段階の屋根がふきあがるまでは雨水対策として全体にビニールテントをかぶせるなどの防水対策に心がける必要があります。
また、枠組壁内部の空気の流通をよくする工夫をしておくとともに、建物完成後の雨仕舞い対策も慎重にしておくことです。
雨水がまわれば、施工中と同様、枠組材内部で閉じ込められ、在来工法のときより乾燥しにくく、建物の朽廃を高めやすいからです。
以上の諸点を注意され、デメリットを避ける工夫されるならば、お好みの快適な住まい造りができることとなるでしょう。
(平成17年6月20日 澤田 和也)