トップページ  
 
本会設立の趣旨  
 
本会の活動方針  
 
入会のご案内  
 
主な行事  
 
例会のご案内  
 
活動実績  
 
会の組織  
 
お知らせ  
 
正す会のバックナンバー  
 
道しるべバックナンバー  
 
お知らせ・その他バックナンバー  
 
●新着情報
欠陥住宅を正す会の窓

昭和53年以来30年に亘って欠陥住宅被害者救済活動を続けている

         欠陥住宅を正す会では、

このホームページで欠陥住宅問題のホットなニュース、新判例など被害救済に役立つ学習記事をお届けします。

 

―正す会の窓・・・その49―

欠陥住宅 Q、& A、     (その18)

欠陥があればどのような請求ができるか
調査鑑定費用や慰謝料も

                ―― マイホームの欠陥は家庭の平和の破壊 ――

(Q) 新築注文した木造住宅に入居後、三ヶ月もしないうちから雨漏りがあり、再三業者に補修してもらいましたが、いつもひび割れにコーキングをする程度の簡単な補修をするだけで、なかなか雨漏りが止まらず、知人のアドバイスで建築士に欠陥調査をしてもらったところ、外壁下地の防水紙とサッシ下の水切り金物の施工順序が逆で、窓のサッシをはずし、防水紙と水切り金物を正しい順序で施工し直す大補修が必要だとわかり、そのように補修するようその業者に頼みましたが、その根本補修に応じません。そこでやむなく第三者の建築士の指示を受けて他の業者に正しい補修をしてもらいました。元の業者にどのような賠償請求ができるでしょうか。特に、なかなか止まらなかった雨漏りのため、補修交渉に明け暮れて疲れきったうえ、家庭まで暗くなって惨澹たる状況です。慰謝料の請求もできるでしょうか。

*               *               *

(A) 注文請負であれ、建売買い受け(売買)であれ、引き渡しを受けた住宅に欠陥があった場合には、業者は瑕疵担保責任(民法570条、634条、住宅品確法87条,88条)として、正しい補修に応じなければならない責任があり、これを果たさないときには、損害賠償をすべき責任があります。また、消費者は当初から業者に対し補修を求めずに損害賠償請求をすることもできます。

賠償請求としては、まず正しい(相当な)補修費用の請求ができることです。つまり、正しい補修を他の業者に頼んだ工事代金です。それに関連損害として―

 @ 欠陥調査のために建築士に支払った費用や、損害賠償に業者が応じないので訴訟をした場合には弁護士費用の請求もできます。
 A 補修中その住居に居住できないときには、仮住まいのレンタル料や引越しのための運送料など、欠陥があることによって必要となった諸々の出費も損害として請求できます。

これらは、あなたに生じた財産上の損害のことですが、問題となるのは欠陥があることによってあなたに生じた精神的な被害についてはどうかということです。

あなたも言われているように、新居であるのに、思いもかけない欠陥、例えば雨漏りがあるだけでも気が重くなるのに、いくら補修を頼んでも片手間にしか来てくれず、さて直ったと思っていたら、また雨漏りと言うような事が続くと、こつこつと頭金を貯めてローンで注文した楽しくあるべきマイホームに暗雲がのしかかり、本来は業者に向くべき苦情が夫婦の葛藤を引き起こし、子どもも家庭の団欒から遠ざかり、不和が生まれるという事態も起こります。

まさに住まいは家庭の器であり、新居の手抜きは家庭の破壊を引き起こすのです。

あなたの場合も、不誠実な業者の対応がマイホームの平和を破壊したものと言えるでしょう。建築士の調査で初めて原因が分かったと言うのもおかしいことで、数度の手直し状況から、専門家である業者にもその原因が分かっていたはずで、費用の点から根本補修を避けていたものと思われます。

このように欠陥住宅は、もとより建物の欠陥として財産被害ではあるものの、家庭そのものの被害をも引き起こすところから、むしろ被害者にとっては精神被害の方が本質的なものと考えられます。

しかし、従来の判例学説は「財産的損害が補填されれば、精神的損害も治癒される」として、家の欠陥の場合でも瑕疵担保責任の規定では、精神的損害の賠償つまり慰謝料は認められないとしていました。

これには従来の信頼関係で結ばれていた大工棟梁による住まいづくりでは、材料と手間を故意に抜く(手抜き)ことが考えられなかったと言う背景もあったからでしょう。

ですが、経済の高度成長期は人口の都市集中を招き各地のコミュニティーを崩壊させ、信頼すべき大工棟梁を失った都市の住民は、住宅会社に頼らざるを得なくなりました。

そして住宅会社は、本来的には直接に施工せず、実際の施工は数次の下請けに回すため、直接施工する下請けは相当利益を確保しにくくなり、また注文者とは信頼関係を持たず倫理的抑制も働きにくく、いわゆる手抜き施工が横行するに至ったのです。

このような社会的背景を裁判所も徐々に理解するに至り、建築の請負契約でも、特に消費者が注文するマイホーム建築契約で、その手抜きの対象が内外装で覆われ直接目視できず、できたとしても素人には欠陥とは分からない基礎や、骨組みの手抜きなど、安全性を失わせて他人にも迷惑を与える手抜きの場合には、当然家人に精神的打撃を与えることを認めて、さらに業者側の対応なども考慮した上で、被害者に慰謝料を認めるようになってきています。

澤田 和也
(平成17年9月5日)