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欠陥住宅を正す会の窓

昭和53年以来30年に亘って欠陥住宅被害者救済活動を続けている

         欠陥住宅を正す会では、

このホームページで欠陥住宅問題のホットなニュース、新判例など被害救済に役立つ学習記事をお届けします。

 

―正す会の窓・・・その75―

先週末は全国的に秋晴れの好天に恵まれ、
各地の住宅展示場は住宅購入を夢見ている家族連れでずいぶん賑わったそうです。
政権が交代したり、経済の先行きが見えない不安があっても、マイホームを手に入れることは庶民にとって究極の夢です。
住宅建築にかかわる方たちには、この“家族の幸せ”を傷つけることのないようにしてほしいと思います。

(21・10・19)

≪住まいの相談 Q&A その12≫

【朝日新聞『みんなの暮らし』欄〔大阪本社版〕に
昭和55年7月より40回にわたり連載】

地盤補強の手抜き
Q、 昭和53年6月、木造2階建て土地つき分譲住宅を購入しました。同年7月ごろ、裏庭が部分的に陥没しましたが業者は土を入れてくれました。同年11月頃から玄関ドアなどの建具の開閉が不良となり、業者は補修してくれましたが半年もするとまた同じ繰り返しでした。3年たった今、風呂場のタイル、内・外壁、家の周囲の犬走りや基礎にひび割れが出来、床も柱も傾いてきています。今でも業者にこの欠陥の責任を問えますか。
3年後も責任問える
A、

 ご質問に付けられている建物配置図から判断しますと、この建物の敷地約半分は河原の斜面に盛り土された造成地で、建物はこの造成地と旧来からの土地にまたがっています。
 入居されて間もなくこの造成地にある裏庭が陥没したところからみると、土留止め擁壁はあるようですが、盛り土の土質が粗く、水が流通しやすくて、締まりの悪い不良土である上、盛り土の締め固めが十分されないまま、建物が建てられたのではないでしょうか。裏庭の一部陥没は雨水等による盛り土の一部流出の結果だと思われます。
 このような場合、造成地部分の建物基礎は、底盤を旧来地盤まで届くように深くするか、または旧来地盤まで基礎杭(くい)を打ち込み、その上に底盤を置くかの必要があります。しかし、業者は工費を惜しみ、これを手抜きし、造成地部分の基礎底盤を盛り土の中間層に設置したことから、建物の重みで盛り土が徐々にしめ固められ、建物が造成地部分の方へ不等沈下してきているのでしょう。建具の開閉不良、基礎や壁面のひび割れ、床や柱の傾きなどは、この不等沈下によるものと思われます。
 さて、建売住宅の契約関係は売買とみられ、民法570条によって「買主が欠陥を知ったときから1年間は、売り主に担保責任」を求めることができます。この欠陥は「隠れた」もので、「買主が契約当時それを知らなかった」ものでなければなりませんが、本件がこれにあたるのは確かでしょう。あなたが盛り土(基礎)の手抜きを知ったのは、恐らくこの回答によってでしょうから、今でも業者に責任を問えるのです。仮に契約でこの責任期間を制限していても、本件のような「故意の手抜き」の時には、この特約は無効です(民法572条)。
 この場合「契約の目的が達せられていない」として、契約の解除をすることも出来ますが、その結果土地もまた業者に買い戻しさせることになりますので、地価高騰の折から損害の賠償だけ請求するのが得策でしょう。
 その損害というのは、欠陥を補修する相当な代金などのことです。状況によっては、建物にジャッキをかませて持ち上げて、地盤補強や基礎の取り替えをすることも不可能ではありませんが、それと同時に、内・外装や骨組みなど建物全体にわたっての補修も必要となり、工費的に見ても、また新築分譲という契約の趣旨からしても、結局は建物を取り壊して地盤補強からやり直して建て替えるほかないものと考えられます。
 つまり、この取り壊し建て替えに要する相当な代金額や、その期間中の代替建物のレンタル料などを損害金として、業者に対し倍賞請求できるというわけです。

(昭和56年11月12日)

≪住まいの相談 Q&A その13≫

【朝日新聞『みんなの暮らし』欄〔大阪本社版〕に
昭和55年7月より40回にわたり連載】

欠陥担保の期間
Q、 “Q&Aその12”に、地盤補強の手抜きによる分譲住宅の不等沈下の相談回答がありましたが、私の家はもと山林の斜面の造成地にあり、斜面の切り土と盛り土にまたがっています。分譲ではなく、造成地を購入してすぐ建物は注文請負いにしたのです。建具の開閉不良などから建てて物物の不等沈下が判明し、築後3年目に請負業者に頼んで2回にわたりジャッキで建物を持ち上げるなどして地盤補強(基礎の補修)をしてもらいました。しかし、その後も不等沈下は止まらず、水道管まで破裂する始末です。築後8年たった今も業者に再補修してもらえますか。
10年間は業者が負担
A、 近頃は適地不足から、沼沢や田畑を埋めたて、山の斜面を開いて盛んに宅地造成がされています。そこで、造成地での建築に当たっては、擁壁の構造など宅地造成上の手抜きがないかなどを点検すると共に、盛り土部分の締め固まりによる沈下で建物が不等沈下しないよう、地盤の状況に合わせた地盤(基礎)補強をする必要があります。

 しかし、儲け第一の業者は往々にしてこれを手抜きするので、欠陥住宅の悲劇が絶えません。不安定な地盤で不等沈下している欠陥住宅は、大地震が来れば倒壊し、惨事を引き起こすおそれがあります。安全性は住宅の最低の性能要件です。
 さて、分譲住宅は契約関係が出来上がった家の売買であるのに対し、注文住宅の場合は注文に合わせて建てるという請負ですので、法律上の欠陥担保責任の内容はやや違います。分譲住宅の場合の欠陥は「契約当初にはわからなかったもの」に限られるのに対し、注文住宅の場合はこの制限がなく、担保期間も木造で、引渡しの日から5年、それ以外で10年と法定されています。地盤の欠陥についても同様です。業者有利にこの期間を短縮する特約があっても、この期間の制限はもともと業者保護からのものですので、手抜きし、故意に隠していた欠陥については、この特約も法定の期間も排除され、通常の10年の債務の消滅時効期間による――つまり、この期間中は欠陥担保の責任を負わねばならない、というのが有力学説です。
 しかし、あなたの場合は築後3年目に業者が地盤沈下を認め、不完全ではあっても補修したのですから、期間短縮の特約の有無にかかわらず、もはやこの担保期間のことは問題になりません。この補修のときに業者はこの地盤沈下という欠陥を担保する承認をしたことになり、この欠陥について完全な補修をするべき通常の債務が発生したことともなって、その時効はそのときから10年間となるのです(昭和53年10月26日大阪高裁判決)。したがってこの補修後も不等沈下が進行しているのなら、築後8年たっていてもこの完全な補修を業者の費用負担で求めることが出来るのです。また補修に代わる損害賠償を求めることも出来ます。
 地盤(基礎)補強の方法は敷地の土質・地層・地下水など地盤の状況によって違います。前回の補修後も地盤沈下していることから考えると、以前の方法は単に費用を安上がりにするだけの、状況にそぐわない不相当な方法だったのでしょう。状況によっては建物を取り壊して地盤補強のうえ再築するほかない場合もあります。第三者の建築士に相当な補修法方と工費の鑑定を求められ、その工費や関連費用を損害金として業者に賠償請求し、他の業者に鑑定に添う抜本的補修をさせたらいかがでしょうか。これが従来のいきさつからみて安心な解決方法だと思います。

(昭和57年1月14日)

平成21年10月1日より、住宅瑕疵担保履行法(業者の資力確保を担保する措置)がスタートしました。
 欠陥住宅の被害が100%回復されるというわけではありませんが、万が一業者が倒産した場合でも補修費用の支払いが受けられることになりました。又契約当事者間でトラブルが発生した場合には、住宅紛争審査会で紛争処理が受けられることになっています。
多くの被害者が泣き寝入りをしていた時代のことを思うと隔世の感があります。
これも長年月に亘り、被害者・弁護士・建築士等々、多くの心ある専門家が協力し、欠陥住宅を正す活動を息長く続けたことが実を結び、ついには行政を動かして得られた成果といえましょう。
詳しくは「国土交通省」のホームページに紹介されていますのでそちらをご参照ください。