Miura's 劇音楽製作所

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Favorite Movie



選考にあたって

 本当は10本選ぶなんてツラいんだよね。しかも1位から10位まで順番をつけるなんて悪趣味よ。だいたい「これが一番」というだけでも抵抗あるはずです。そんなこと平気で言う人って、あんまり映画なんて見てないんだと思う。
 それでも今回は1位を紹介するもんね。おいおい言ってることとやってることが矛盾してるぞ。(非難の声)


ネタばれ注意報

 映画は映像と演出が命だ。ストーリーなんかばれたって全然問題ないぞ。でも、一応警告しておきます。


これがミウラのベスト10
  • 第1位:素晴らしきヒコーキ野郎
    Those Magnificent Men in Thier Flying Machines

  • 第2位:華麗なるヒコーキ野郎
    The Great Waldo Pepper

  • 第2位:大脱走
    The Great Escape

  • 第2位:ベン・ハー
    Ben-Hur

  • 第2位:ジョーズ
    JAWS

  • 第2位:時計じかけのオレンジ
    The Clockwork Orange

  • 第2位:ストーカー
    СТАЛКЕР

  • 第2位:ミクロの決死圏
    Fantastic Voyage

  • 第2位:ダイナマイトどんどん
    Dinamite Don Don

  • 第2位:天国と地獄
    Tengoku to Zigoku

  • 第2位:うる星やつら2 ビューティフルドリーマー
    Urusei Yatura 2 Beautiful Dreamer

 タイプミスではありません。第1位より後は、全部同点で2位です。順番をつけるわけにはとてもいきませんでした。
 最初に監督のみなさんに整理券を配って、一人一作品に限らせていただきました。それにしたって、全部で10作品以上あるじゃん。このページのタイトルはベスト10だろうが。あまりにも無責任じゃい。だいたい「ヒコーキ野郎」なんてタイトルがふたつもでてくるのはどういうわけだ。それにSF系が多いし、大作ばっかしで、偏ってるよ。


ケン・アナキン監督

第1位:素晴らしきヒコーキ野郎
Those Magnificent Men in Thier Fling Machine

 古き良き時代の、ドーバー海峡横断飛行機レースを描いた作品。石原裕次郎も日本代表で参加する。
 これだけは特別扱いの第1位としました。ケン・アナキン監督には他にも豪華大作があるけど、この「ヒコーキ野郎」が最高。

 古い民放吹き替え版は、英国人の悪役がナゴヤ弁でしゃべる。
 '90年ごろ国営で放送した吹き替え版は、今一つ。
 字幕スーパー版は、まあまあ楽しめる。
 字幕スーパーワイドスクリーン版。これは素晴らしい。画面のはじっこに豆粒のような人が映ってるんだよね。知らなかった。一度は大画面で見てみたい作品です。



ジョージ・ロイ・ヒル監督

第2位:華麗なるヒコーキ野郎
The Great Waldo Pepper

 これまた古き良き時代の、飛行機野郎を描いた作品。原題を見ればわかるけど、第1位のヒコーキ野郎とは無関係。邦題がたまたま似てるだけで、全然傾向が違う作品。
 ロイ・ヒル作品では「明日に向かって撃て!」「スティング」が好きだったんだけど、「華麗なる−」にはまいった。私の場合は気に入った映画を観ると、すぐにもう一度観てしまいます。この映画もそうだった。


次点:スローターハウス5
Slaughter House-Five

 説明不可能なとんでもない作品。やはりロイ・ヒル監督の「ガープの世界」と同様な手法をとっているけど・・。とにかくスゲェ映画なので、一度観てほしい。


 その他の作品では、「スラップ・ショット」「モダン・ミリー」「リトル・ロマンス」が良いです。



ジョン・スタージェス監督

第2位:大脱走
The Great Escape

 ナチの捕虜収容所からの集団脱走を描いた作品。脱走ものというジャンルを確立した感がある。スティーブ・マックイーンのかっこよさが光る。エルマー・バーンスタインの音楽がまた良い。


次点:荒野の7人
The Magnificent Seven

 ユル・ブリナーが黒沢監督の七人の侍に感動して、西部劇に仕立てた。やはりマックイーンがかっこよい。エルマー・バーンスタインの音楽がこれまた良い。


 スタージェスのその他の作品では「宇宙からの脱出」が良いです。こちらの方が「アポロ13」より好き。
 マックイーン出演作では「タワーリング・インフェルノ」「栄光のル・マン」「シンシナティ・キッド」など。



ウィリアム・ワイラー監督

第2位:ベン・ハー
Ben-Hur

 キリストの物語をからめた骨太の超大作。戦車競争のシーンのフィルムはNY近代美術博物館入りした。ベン・ハーは3度映画化されたが、ワイラー版が最も有名。大作で娯楽作であって、しかも名作である。音楽のミクロス・ローザは該当地方・時代の音楽を何年も取材したという。

 ワイラー監督は他にも名作「ローマの休日」がある。



スティーブン・スピルバーグ監督

第2位:ジョーズ
JAWS

 人くい鮫を退治する映画。
 「人くい鮫を退治する映画」たったひとこと!これが映画ぞ。ストーリーもダイアログも無意味だ。映像万歳。演出ばんざーい。(脚本家志望の人スミマセン)
 この作品でオスカーをもらったジョン・ウィリアムスは「ずんずんずんずん」のメインタイトルが有名ですが、サントラ盤には名曲がつまってる。「一番銛」のシーンは必聴だ。


次点:未知との遭遇
Close Encounters of the Third Kind

 宇宙人と遭遇する作品。これまたJWの音楽はエンディングが特に良いので、しまいまで聴くように。
 そろそろネタがわれてきました。ようするにベスト10+次点10の合計20くらい作品をあげると、SFものが多いのです。そんでもってベスト10がSFだらけだとなんとなく気恥ずかしいので、次点にもってきてる・・わけではないですけどね。
 '96年4月に 社会人になったある人物の履歴書には「SF研究会会長」と書いてあった。帝国大学理学部出身。実話です。見習いたいものです。


 スピルバーグ作品の音楽は、ほとんどJWです。「続・激突カージャック(スゲエ邦題)」「E.T.」「ジュラシック・パーク」が好き。理屈じゃないのよ映画は。

 クィンシー・ジョーンズが音楽を担当した「カラーパープル」はウーピー・ゴールドバーグ主演。この作品の封切り当時アメリカ出張してた人が、「一足お先にむこうでカラーピープルを観てきたぞ」と。これはかなりハズい実話。



スタンリー・クーブリック監督

第2位:時計じかけのオレンジ
The Clockwork Orange

 ちょっと内容を説明しずらい謎の作品。全編にみなぎる暴力の快感に魅せられて、リバイバル劇場公開時に4回観た。「どろぼうかささぎ」「威風堂々」などポピュラーなクラシックが続々登場。


次点:2001年宇宙の旅
2001:A Space Odessey

 これまた説明不可能な謎の作品。悩んでる人は、アーサー・C・クラークの小説版でひとまず落ち着けるよ。2001年をベスト10に入れる人は多いけど、私ははずしちゃうもんね。
 やはりクラシック曲がでてくる。リヒャルト・シュトラウスとヨハンシュトラウスUの曲が有名だけど、リゲティとハチャトリアンもチェック。


 完全主義で知られるクーブリック。有名SF2作の他は、「博士の異常な愛情」「突撃」「バリー・リンドン」が好き。でも、あまり一般にはおすすめできない。一般に有名な作品は「スパルタカス」「フルメタル・ジャケット」「シャイニング」「ロリータ」など。どこが一般なのかよくわかりません。



アンドレイ・タルコフスキー監督

第2位:ストーカー
СТАЛКЕР

 でましたソ連代表。すべての希望がかなうという謎の領域「ゾーン」の案内人の話。一応SFなんだけど、特撮シーンがほとんどない渋い作品。ストーカーは案内人の意。女性をつけまわす映画ではない。

次点:惑星ソラリス
СОЛЯРИС

 西の2001年、東のソラリスとたたえられる名作。
 ストーカーともどもSF好きには一度観ておいてほしい作品。でも渋すぎるので常人にはあまりすすめられないかもしれない。
 フィーチャーされてるバッハの曲は、冨田勲のアルバム「宇宙幻想」と「バッハ・ファンタジー」でも聴ける。タルコフスキー作品の映像には大いに魅力を感じます。でも「僕の村は戦場だった」以外はどれも難解です。SF仕てだと、難解でも平気なのはなぜでせう。



リチャード・フライシャー監督

第2位:ミクロの決死圏
Fantastic Voyage

 人間を潜水艇ごと縮小して、ケガ人の体内に潜入して手術する映画。ベン・ハーでは敵役のスティーブン・ボイドが、こちらではヒーロー。
 人体内部のみごとな美術・ストーリー・演出は何度観てもあきない。巨匠アシモフのノベライズ(原作じゃないよ)は愛読書。「ミクロ・キッズ」や「インナー・スペース」とくらべたら失礼。


次点:ソイレント・グリーン
Soylent Green

 温室効果と人口過剰でたちゆかなくなった社会を描いた作品。チャールトン・ヘストンとエドワード・G・ロビンソンが出演。
 ネタが割れるので詳しく書けないけど、「ホーム」の場面で映し出される映像+田園やペールギュントは涙もの。上質のサスペンスでもある。


 リチャード・フライシャーはジャンルを選ばない映画の職人。「ドリトル先生」「海底2万マイル」「絞殺魔」「トラトラトラ」などが有名。



岡本喜八監督

第2位:ダイナマイトどんどん
Dinamite Don Don

 やくざが縄張り争いして決着を野球試合でつける映画。喜八名作数々あれど、一つ選ぶならやっぱりこれよ。菅原文太主演。フランキー堺や岸田森も出るぞ。勝ったら女抱かしちゃる。そのかわり負けたら全員指つめぞ。ダイナマイーッどぉんどぉん。


次点:ブルー・クリスマス
Blood Type Blue

 UFOを見た人は、性格がよくなって血が青くなる。とてつもなく恐ろしい作品。何が恐ろしいかというと、UFOではなくて・・いやいや恐ろしくてとても書けません。涅槃で待ってる沖雅也や竹下景子も出演。倉本聰脚本。チャーの歌も聴ける。SFタッチだけどなぜか特撮シーンがない。


次点:沖縄決戦
Okinawa Kessen

 沖縄戦を描いた、やはり恐ろしい作品。背筋が凍る。これ観たら沖縄観光に行く際、心がけが変わるはず。
 「敵が七分に海が三部」とは、敵艦が多すぎて海が見えないことを表現したセリフだ。


次点:日本のいちばん長い日
Nippon no Ichiban Nagai Hi

 終戦の日を描いた作品。「沖縄決戦」ほどではないけど、やはり恐い内容。娯楽(かなり広い意味で解釈してください)作品としてのまとまり具合でいえば、むしろこちらが好き。


次点:独立愚連隊
Dokuritu Guren-Tai

 戦争+コメディー+サスペンス+ウェスタンにブラックな味もある。名作である。
 '96年の終戦の日に国営衛星で放送されるはずだった。三船敏郎が××××を演じたりして「あまりにもアブない内容である」という国営的判断がはたらいたのか、放送は中止になった。


 その他にも名作はいっぱいあるけど、松竹正月映画配収最低記録更新?筒井原作の「ジャズ大名」、おっさんたちが独立国家を建設する「近ごろ何故かチャールストン」、やはり戦争を描いた「肉弾」が好き。



黒澤明監督

第2位:天国と地獄
Tengoku to Zigoku

 誘拐事件を描いた映画。前半の誘拐編と後半の捜査編で、主演が変わるといった趣の2部構成。誘拐の手口が見事なので、当時この映画をまねた事件がおきたそうな。


次点:七人の侍
Shitinin no samurai

 村を守って野武士と戦う侍の物語。映画史上最強最高と宣伝されることがあるけど、JAROは注意してないようだ。
 この作品だけは、ビデオでもWOWOWでもなぜかノートリミング版を観ることができない。なぜだろう?。やっぱり劇場で見せたいのかな。


 黒澤監督にもやはり名作多々あるなかで、スターウォーズの元ネタ「隠し砦の三悪人」、原発の恐怖もでてくるので、日本で作れんかった「夢」、ネタばれ危険でコメントを控える「悪い奴ほどよく眠る」などが印象深い。



押井守監督

第2位:うる星やつら 2 ビューティフルドリーマー
Urusei Yatura 2 Beautiful Dreamer

 原作の高橋留美子をして「押井監督の映画。私は観客として観た。」と言わしめた、押井監督のオリジナルと言ってもよい作品。高橋さん、怒ったのかもね。脚本も押井守。劇場公開時は、展開についていけずに呆然とする観客が多かったという。でも「2001年」みたいな超難解作ではない。見れば見るほど緻密なディテールに魅せられる。頼んでもないのにK氏がビデオを貸してくれた。で、ビデオを見て直後すぐにもう一度見た。次の日も見た。結局1週間で10回ほど見たろうか。その後LD買って、結局30回以上見た。興収はどうやらシリーズ中最低と見た。


次点:機動警察パトレイバー
Movile Police Patlabor The Movie

 TV・ビデオ・コミックでおなじみの近未来ポリスアクション。やはり緻密な演出が冴えるが、こちらは難解ではない。ちゃんと観客動員してLD売ってました。たまにはもうけをださなくちゃね。川井憲次の音楽は特にエンディングが快い。


 押井・川井のコンビは大好きで、実写ものでは「赤い眼鏡」が好きなんだけど、ここでは控える。ベスト10と銘打ってここまで読んでもらったのに、立ち食いソバの話なんか書いては申し訳ない。
 OVA「迷宮物件FILE538」もスゲェんだけど、ここでその話は控える。押井病患者を増やさぬ配慮である。