blueball.gif (1613 バイト)  斉の歴史  blueball.gif (1613 バイト)


鄒忌、琴をもって威王を説く


suu.gif (133 バイト)(すうき)は、彼より少し後の人物で陰陽家を創始したsuu.gif (133 バイト)、やはり陰陽家の学説を学んだsuu.gif (133 バイト)seki.gif (121 バイト)(すうせき)とともにsuu.gif (133 バイト)と呼ばれた。彼は琴の名手として知られ、琴の技術をもって威王に仕えることとなったのである。

ある日威王が琴を弾いていると、suu.gif (133 バイト)が部屋に入って来て「見事なお手並みですな。」と褒めた。しかし威王はムッとして「先生は実際に私が弾いている様子も見ないで、どうして見事な手並みだなどとわかるのか?」と言った。これに対してsuu.gif (133 バイト)が答えるには「琴の音色でわかります。王の琴は大小の弦の音色がお互いに助け合い、調和しております。また曲に合わせて強く弦をはじくことがあれば、逆にやさしく弾くこともあるというように、曲調に緩急がついています。その音色を聞いて、お手並みも見事なものだと自然にわかったのです。実を申せば、国家を治めて人民を安堵させることも、琴を弾くのと同じようなものなのですぞ。」

威王はまた不快な表情になって言った。「何をバカなことを!琴を弾くのと、国家を治めるのとに一体何の関係があると言うのだ!」suu.gif (133 バイト)はまたもや落ち着きはらって答えた。「琴の曲調に緩急がついているのは、政令に緩急があることを示しています。大小の弦の音色が調和しているのは、君臣が一体となって国家に調和と繁栄がもたらされる事を表しています。昔から『琴の音が整えば天下が治まる』と申しまして、国家を治めて人民を安堵させるには五音宮・商・角・徴・羽の五音階)に及ぶものは無いのです。」威王suu.gif (133 バイト)の説明に満足し、彼に宰相の印綬を授けた。suu.gif (133 バイト)威王に仕えだしてからまだ三ヶ月の頃であった。

遊説家の淳于kon.gif (116 バイト)(じゅんうこん)が早速彼のもとに祝いに駆けつけた。淳于kon.gif (116 バイト)suu.gif (133 バイト)に忠告すると称して、矢継ぎ早に五つの言葉を語った。「臣礼が完全であればあなたは栄えることが出来ましょうが、不完全であれば滅んでしまうでしょう。」「うむ、常に君主の前で無礼の無いようにいたそう。」「豚の油を車軸に塗るのは軸を滑らかに回転させるためです。しかし車輪の穴が四角であっては回転させることが出来ません。」「君主の側近に対して融通を効かして付き合っていくことにいたそう。」「弓を作る時に膠(にかわ)を木材に塗るのは、材料を密着させるためです。しかし木材に隙間があってはしっかりとくっつけることが出来ません。」「よし、自ら民衆に親しみ、君民を密着させていくことに努めよう。」

「狐の皮衣が破損しても、犬の皮で修繕することは出来ません。」「わかった、人材を登用するのに君子を選び抜き、小人を重用することは無いようにいたそう。」「荷車もよく計算して組み立てなければ多くの荷物を載せることが出来ませんし、琴の音色もよく計算して調整しなければうまく五音が鳴り響きません。」「うむ、よくよく法律を修めて官吏の悪事を正し、政治が正しく行われるように努めようぞ。」

淳于kon.gif (116 バイト)は語り終えるとすぐさまsuu.gif (133 バイト)のもとから退出し、そして従者に語った。「私は矢継ぎ早に五つの忠言を物に例えて説いたのに、まるで琴の音色に歌声が応じるが如く、あのお方はすぐに忠言の意味を理解して返答なさった。間もなくどこかの土地の領主に封ぜられるだろう。」彼の予想通り、それから一年後にsuu.gif (133 バイト)hi.gif (121 バイト)(かひ)に封ぜられ、成侯と号するようになった。


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