blueball.gif (1613 バイト)  隋唐演義  blueball.gif (1613 バイト)


5 李淵の挙兵


李密・王伯当らが瓦崗寨の反乱軍に加わったことは天下に知れ渡り、彼らと旧知の秦叔宝も反乱軍の一味ではないかと疑われた。以前から秦叔宝に恨みを抱いていた宇文述は、この機会に羅士信秦叔宝の老母・妻子を捕らえてしまった。一家四人、護送車に閉じこめられたが、羅士信は車内で大暴れして檻を破り、護送の役人をめった打ちにした。そこへ折良く、一足先に瓦崗の反乱軍に加わっていた賈潤甫程咬金の出迎えを受け、羅士信寧氏、張氏、秦懐玉瓦崗寨に入ったのであった。

となると後は秦叔宝瓦崗に迎えるばかり。秦叔宝は、母・寧氏からの今までのいきさつを知らせる手紙を受け取り、愕然とする。いかな張須陀でも家族が賊軍に降ったとあれば、自分をこれ以上かばいきれまいと考えた秦叔宝は、やむを得ず瓦崗寨へと降ることにした。張須陀秦叔宝が去ったことを知り、「宇文述のせいで稀代の猛将が朝廷の敵となった!」と悔しがったが、その彼のもとにteki.gif (122 バイト)率いる瓦崗の賊軍を討伐するよう命令が下った。

張須陀は奮戦空しく李密らに討ち取られた。秦叔宝張須陀の遺体を引き取って棺に納め、大海寺に安置し、彼から被った恩を思い出して涙にくれる。そこへやって来たのは張須陀の部下で、秦叔宝とも旧知の唐万仞(とうばんじん)。彼は主君の棺を見て涙を流し、忠義を全うするために自ら首をはねたのであった。唐万仞張須陀とともに、秦叔宝によって葬られた。

さて、李密に率いられた反乱軍は勢力を拡大し、河南方面の官軍を蹴散らして領土を広げた。李密teki.gif (122 バイト)から寨主の地位を譲られ、自ら魏公と称した。そして徐懋功・単雄信・秦叔宝・程咬金といった幹部にそれぞれ官職を与えた。煬帝王世充洛陽を守らせることにしたが、王世充洛陽に入るやいなや主君を裏切り、自立しての国主となった。同じ頃、道士の魏徴李密のもとに降った。

その李密、あろうことか元の主人であるteki.gif (122 バイト)を邪魔だと感じ始め、彼を殺してしまった。単雄信たちは李密の行動に失望し始める。

太原に割拠する唐公李淵も、十八歳になった息子の李世民らに説得され、挙兵してに背くことを決意した。彼は一族郎党に計画を明かして兵をまとめ、長安に入城して皇帝として即位した。これが高祖である。そして長男の李建成を太子、次男の李世民秦王、末子の李元吉斉王とした。この時、名将李靖に降った。

煬帝は世が乱れても相変わらず夫人達と遊びに耽る。そんな中、重臣の宇文述が病死し、息子の宇文化及が後を継いだ。彼は父にも増して腹黒い人物である。の天下が危うい事に気付くと、謀反の企てを立て、兵をまとめて宮中に押し込み、煬帝を自殺に追い込んでしまった。朱貴児袁宝児煬帝を守ろうとして殺され、蕭皇后宇文化及に捕らわれた。しかし幼い趙王煬帝の子)と母の沙夫人薛冶児らは、煬帝の忠臣・王義夫妻に導かれて宮廷を脱出し、煬帝の妹の夫である突厥啓民可汗のもとに身を寄せることにした。

夏王となった群雄の竇建徳は、義憤に駆られて奸賊の宇文化及を討つことにした。竇建徳は北方は幽州羅芸秦叔宝の伯父)と対立関係にあったので、宇文化及を討つ前に女傑と名高い娘の竇線娘を出陣させ、幽州勢を牽制させた。羅芸も息子の羅成軍を迎え撃たせたが、この竇線娘羅成が恋仲になってしまう。二人は再会を約して兵を引き上げた。その間に竇建徳の遺臣・楊義臣李淵李密と協力して宇文化及を討ち取った。捕らわれていた蕭皇后も助け出され、竇建徳の手で沙夫人趙王王義たちの待つ突厥の地に送られた。

さて、高祖王世充を討つことを決意し、次男の世民に兵を率いさせた。彼は軍を散々に打ち破ったものの、戦勝を祝って狩りをしているうちに李密の領地であるyou.gif (126 バイト)付近に足を踏み入れてしまい、見張りに来ていた秦叔宝程咬金に捕らえられてしまった。李密李世民の越境に怒って彼を殺してしまおうとしたが、魏徴の取りなしにより、彼を人質として監禁することにした。

秦叔宝・徐懋功・魏徴李世民が非凡な人物であるのを見て取り、李密の留守を見計らって彼を逃がしてしまった。留守より戻った李密はそれを知って激怒し、処罰を与えた後、彼らを冷遇するようになった。一方、長安に戻った李世民は、親子二代に渡る命の恩人である秦叔宝を何とか麾下に迎えようとし、まずは瓦崗に居残っている秦叔宝の家族と程咬金の老母を長安に招き寄せた。

一方の李密王世充と対立を深め、翠屏川にて両軍が激突したが、軍は散々に破られてしまう。前々から李密に不満を持っていた単雄信はこの機会に、王世充に投降してしまった。李密の領土を守っている秦叔宝徐懋功羅士信を見捨て、王伯当らわずかな側近とともに、李淵に帰順することにした。高祖は喜んで李密一党を迎え、官爵を与えた上に皇族の娘まで嫁がせた。

こうして高祖のもとに人士が集まり、着々と版図を広げるが、奸雄・猛将が相次いでそれを阻もうとする。それについてはまた次回。


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