blueball.gif (1613 バイト)  隋唐演義  blueball.gif (1613 バイト) 


6 花木蘭従軍


李密と前後して程咬金も、母が李世民の世話になっていることを知ると、長安に駆け付けてに降った。さて、李密に降ったものの、李世民に蛇蝎の如く嫌われて侮辱され、憤懣やる方無い。そこで王伯当と図って長安を脱出し、山東で再起の兵を挙げることにした。しかし謀反は事前に察知され、途中の熊耳山の麓にて一代の奸雄・李密は討ち取られた。王伯当も彼と最後をともにした。

李密に見捨てられた形の徐懋功・秦叔宝・羅士信の三人は、魏徴から李密の消息を聞くと、三人揃ってに降った。三人はそれぞれ将軍に任命され、早速秦王李世民程咬金とともに、太原を包囲した劉武周の軍と戦うことになった。

劉武周の軍には尉遅敬徳(うっちけいとく)という胡族出身の猛将がおり、彼のために軍は連戦連敗を強いられていたのである。秦叔宝は彼のことを聞くと「俺が奴の相手をする!」と息巻き、柏壁関にて秦叔宝尉遅敬徳が打ち合った。両雄は長らく一騎打ちを続けたものの、決着が着かない。すると今度は力比べまで始めたが、やはり決着が着かない。李世民は両雄に酒を贈って戦いを休ませた。

主人の劉武周は彼が敵と馴れ合い、寝返ったのではないかと疑い、自陣に引き返してきた尉遅敬徳を閑職に回してしまった。尉遅敬徳が前線に出てこない事を知った徐懋功は、柏壁関に猛攻をかけて陥落させてしまった。尉遅敬徳も主君が討ち取られたことを知ると、に降伏したのであった。

さて、突厥には蕭后趙王らを保護している啓民可汗と、曷娑那可汗との二人の可汗がいた。曷娑那可汗は中国の北方を支配し、漢民族から兵を駆り集めていたが、花孤という男も徴兵されることになった。彼の娘・花木蘭は、「年老いた父が出征すれば、生きて帰っては来れまい」と思い悩み、そこで男装して父の代わりに徴兵に応じることにした。両親は涙を飲んで彼女を見送った。突厥の軍はの軍と戦端を開いたが、花木蘭は武運拙く竇線娘の娘子軍に捕らえられた。竇線娘花木蘭が女性であることを知ると、彼女と義姉妹の契りを交わした。

また同じ頃、王世充と戦っており、に肩入れしていた。李世民は戦争中であるにも関わらず、北魏宣武帝陵に鳳凰が現れたと聞くと、早速狩りに出掛けた。そこへ王世充に仕えていた単雄信が急襲する。彼は李淵一家を兄の仇と憎んでいたのである。そこへ玄奘と名乗る若い僧が現れ、法力で李世民を匿った。更に尉遅敬徳が主君の危機と聞いて駆け付け、鉄鞭を振るって単雄信を追い払ったのである。

そうこうしているうちに竇建徳軍が軍の援軍として参上し、軍とshi.gif (120 バイト)のほとりで激突したが、牛口谷にて竇建徳柴紹夫婦の娘子軍に生け捕られ、娘の竇線娘花木蘭も戦場から逃げ去った。この戦いの後に徐懋功は、の遺臣・楊義臣の姪で、煬帝の女官であった袁紫煙と出会い、結婚することになった。

軍は軍を壊滅させたことで勢いに乗り、李靖・柴紹夫婦らは洛陽に押し寄せて軍を打ち破り、王世充単雄信らを生け捕った。高祖李淵はまず、王世充に流罪とした。次に竇建徳を処断しようとした時に、竇線娘花木蘭が父の命乞いに現れた。李淵は娘たちに免じ、竇建徳を出家させて僧としたうえで釈放した。そして兼ねて好き合っていた竇線娘幽州羅成との婚約を取りまとめ、花木蘭には父母の養老費と結婚の支度金を与えて故郷に帰らせた。

秦叔宝・程咬金・徐懋功の三人は李世民単雄信の助命を嘆願したが、彼に殺されかけた李世民は承知しない。単雄信も兄の仇に仕える気は無かった。やむを得ず、秦叔宝は息子の秦懐玉と、単雄信の娘・単愛蓮との婚約を取りまとめたうえで、彼の死に様を見届けたのである。

花木蘭はと言えば、竇線娘から別れ際に、羅成への手紙を託された。そして故郷に帰り着くと、曷娑那可汗が彼女の武勇と美貌に目を付け、自分の後宮に入るようにという通達が届いていることを知った。彼女は可汗の勝手な申し出を拒絶するために、妹の花又蘭羅成への手紙を託して自害してしまった。花又蘭は姉の死を悲しみながらも、やはり男装して幽州へと向かった。

幽州羅芸の勢力は既にに降っており、花又蘭は首尾良く羅成に出会えた。しかしあろうことか、羅成はこの花又蘭にも一目惚れしてしまったのである。羅成は思い悩んだが、結局高祖李淵の命で竇線娘・花又蘭の二人ともを娶ることにした。同時に秦懐玉単愛蓮徐懋功袁紫煙の婚礼も執り行われ、徐懋功には特に国姓を授けて李勣と名乗らせることにした。(徐懋功の諱は世勣(せいせき)だが、李世民の「世」の字をはばかったのである。)

その後、天下統一を目前にして華やかな雰囲気に包まれた長安の宮廷に、凶報が舞い込むことになるが、それについてはまた次回。


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