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《 住宅紛争解決の手順 》   

欠陥住宅を正す会では例会で欠陥住宅問題の個別相談会を開いておりますが、相談会で相談に応じていただく弁護士、建築士、ケースワーカーや体験者などの方に相談を受けている人に対する解決方法をアドバイスしていただく場合の参考として作成したのがこの手順書(チェックリスト)です。 ご活用の程お願い致します。


平 成 1 8 年 4 月 6 日

欠陥住宅を正す会     
代表幹事  澤  田  和  也

機会を見つけて私よりこの 手順書 の解説を致したいと存じております。


§ 1 基本的な準備

  ( 1 )  

初回調査・鑑定  欠陥の有無、内容、論点をつかむ。
欠陥除去の具体的処方箋  

  ( 2 )  

交渉に適する案件
交渉に不向きな案件

 
  ( 3 )

裁判に親しむ案件
裁判に不向きな案件

 

§ 2具体的なプロセス

出発点    
  (1)

欠陥現象 不具合事象をみつけたらまずは業者に欠陥現象をおさえる補修をたのむ 。
@ 美匠 仕上げの不具合の場合
A 設備や作り付け家具の不具合
B 雨漏りなど対候性能の不具合の場合
C 家の傾き、ドアの開閉不良など構造の異常ある場合
など、とりあえず補修を求め、その反応と結果をみる。

  (2)

早期に業者の対応がなく、また欠陥現象がなくならない場合

     

→ 建築士に調査鑑定を依頼
あわせ相当補修方法の指示も求める。

  (3) 業者の対応が悪い場合 → 対候性能や構造性能の欠陥の場合、法的手続きをとる。
   
(賠償額が高額なので、裁判費用をまかなえる。)
  (4) 美匠仕上げ性能の欠陥の場合 → 出来るだけ交渉をかさね、業者自身にせいぜい補修をさせる。

§ 3 欠陥の種類によってとる手段を分けることの理由

  ( 1 ) 調査鑑定弁護依頼にはある程度の費用がかかる。
  (2)

  一般的に対候性能や構造性能の欠陥は大幅な補修乃至取り壊し建て替えるほかない場合が多く、賠償請求見込み額か大きくなって調査鑑定弁護にかかる費用が賠償獲得見込み額に吸収されやすい。
美匠仕上げは客観的な品質判断基準に乏しく、客観的な欠陥判断に親しみにくい。

  (3) 法的手続きをとる場合でも調停手続きで出来るだけ業者に現実の補修をさせるのが得策
  (4) 対候性能や構造性能の欠陥の場合には、時として取り壊し建て替えなければならないなど、大幅な修繕行為がいり、相当補修工費が大きくなって、裁判手続をしても建築弁護の費用を吸収しやすい。


§
4 交渉や訴訟における主張や立証

  ( 1 )

欠陥を特定する。
欠陥の種類と性能別に
欠陥原因事実を具体的に

  (2)

相当補修方法を確かめる。
うわべだけの補修はだめ。
(技術的可能性、施工の確実性、第三者に対する迷惑損害を与えないこと)
欠陥原因事実を完全に取り除き、美匠・仕上げにも新築性を取り戻す補修方法を特定する。

  (3) 交渉で納得のいかない補修の提示があれば、建築士に確かめる。
  (4) 交渉は示談つまり、譲り合いなので、どの程度まで譲るかを予め考える。 交渉に際して事情特に相手の背徳性や誤魔化しを批難することの当否。
  (5) 誹謗や中傷にわたる場合、かえってその点をつかれる。
  (6) 交渉でも欠陥原因と相当補修方法を専門家に特定してもらって臨むこと。
  (7) 但し、瑕疵担保責任の補修は 責任としての補修 なので、単に機能だけを回復するとか、見栄えだけを回復するとかの手抜き補修はダメ。
  (8) 現実の補修が難しいか又は相手方の能力などが信用できないときには、金銭賠償に代える。
それについても、専門家の意見を聞き、場合によって立会いを求める。
  (9) 示談書、  補修仕様書、  補修図面、  補修工程表
複雑な補修の場合には、建築士にチェックを頼み、上記書類の作成を頼む。
先方には補修責任者を特定させ、責任者と交渉し、補修を進めさせる。
補修期間中における感情的非難の当否。
     

§ 5  法的手続をとる。

3ケ月も補修交渉がまとまらず、補修の着手がない場合には、交渉に見切りをつける。
法的手続をとる(時効に気をつける)。

@ 調 停。
美匠・仕上げの問題や約定の仕様違いの時に適する。
但し、調停委員の言動には気をつけ業者サイドの補修方法を勧める場合には、打ち切りを求める。
調停でも欠陥原因事実と相当補修方法の主張は大切。
全面的にまかせるのではなく、第三者の専門家に意見を求め正しい補修方法や、欠陥原因を把握しておくことが必要。
場合によっては、弁護士に訴訟代理を頼み、建築士に説明の補助を頼む。
調停では、事情の主張はある程度まで言う。
調停は現実に法律にはとらわれず、社会常識を優先させる手続。
  A

訴訟手続。
欠陥や欠陥原因に争いがある時や、不誠実な対応が続く相手には、訴訟手続をとる。
建築士による欠陥調査、鑑定を経て、弁護士により欠陥の内容や欠陥原因や相当補修方法や相当工費の主張をする。
訴訟は相当補修工費の賠償請求。
訴訟では、欠陥原因の理論的な特定や物証による立証を優先させ、事情の主張は控えめにする。あまり滔々と業者の悪徳批難を続けると、訴訟関係者からはマイナスに受け止められることがある。
訴訟関係者は自分の事件に無限の時間をかけてくれるのではなく、限られた時間の審理であることを忘れず、許された時間内で、最低限必要な主張とそれを裏付ける立証をするように心がける。
被害者がかえって加害者であると誤解される不必要な言動は極力避ける。

§6  要  約

 交渉やいろいろな手続による方法にしろ、欠陥住宅紛争では、欠陥とそれを除去する相当な補修方法と工費の特定が重要であり、できるだけ現に存在している欠陥原因事実を指摘し、物証を人証(証言など)に優先させる。

etc

(18・3・17)