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●新着情報
欠陥住宅を正す会の窓

昭和53年以来30年に亘って欠陥住宅被害者救済活動を続けている

         欠陥住宅を正す会では、

このホームページで欠陥住宅問題のホットなニュース、新判例など被害救済に役立つ学習記事をお届けいたします。

 

―正す会の窓・・・その106―

ホームページの更新をしばらくお休みしている間に
季節がすっかり変わってしまいました。
その間、お問い合わせ等ご心配をいただきましたご愛読者の皆様に
この場を借りましてお詫びとお礼を申しあげます。
季節はずれの情報もありますがご覧ください。

(平 24・11・5)

★前回に続き毎日新聞に連載された論文をご紹介します。

欠 陥 住 宅・・・その3

【毎日新聞(東京版)土曜日朝刊生活家庭欄
「住まいを考える」に7回にわたり連載】

お目付け役′囃z士が施工会社従業員

――監理者制度が骨抜きに――

 

 建築基準法令は、憲法第29条2項の定めを受けて、我が国の建物の敷地・構造・設備及び用途についての最低限の技術基準(性能基準)を定めている(建築基準法第1条)。
 建物は社会公共を離れては存在しないから、無秩序な建て方や地震や台風ですぐ壊れるようなものを建てさせるわけにはいかないからである。
 これを建物の安全という見地からみれば、国民に安全に住まう権利を保障しているものともみることができる。住まいの面における最低限の人権保障といってよい。
 そこでこの法律の趣旨を貫徹するため、建築基準法第6条でまずその設計計画が法律の基準を満たしているかを建築主事に確認させ、この確認通知を受けなければ工事着工は出来ないこととしている。そして「工事監理」の制度を定め(建築基準法第2条の11号)、有資格の建築士に、施工の実際が確認された設計図書のとおりかどうかを確認させ、チェックさせている(建築基準法第5条2号)。

 従って本来この工事監理が適正にされておれば、少なくとも法定基準に違反する建物は生まれないはずである。にもかかわらず、違法建築が絶えず、今回の阪神大震災のような惨事を引き起こしたのはどうしてであろうか。それはひっきょう、建築士がこの工事監理を適正に果たしていないからに他ならない。
 世上では欠陥住宅がうまれるのは、行政の中間検査が行われないからだといわれているが、施工者が確認図書と違う施工をしている場合、建築士が建築士法第18条の定めに従って是正の注意を与え、もしこれに従わなければ、建築主たる注文者にこれを報告することを厳格に守っていれば、現行法下でも、少なくとも建築主の容認なしには違法建築は生まれない仕組みになっているのである。
 ではどうして建築士がその職責を尽くさないケースが多いのか。それは建築士法がその第23条で建設業者でも建築士事務所を併営できることを認め、この工事監理者までも自己の従業員である建築士にさせることを認めているからである。会社の従業員であったり、いつも業者の下請けをしている建築士が、その会社の手抜きを客である建築主に告げられるはずはない。また、名義だけを業者に貸す建築士もいる。
 かくて建築基準法上は手抜き防止の歯止めとなっているはずの工事監理者の制度が、これに当るべき建築士を施工業者が雇用または下請させることができるという抜け穴によってゆがめられ、骨抜きにされた。その結果が欠陥住宅の多発と今回の震災での惨事を生んだのである。

(平成10・5・23)