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欠陥住宅を正す会の窓
   
  昭和53年以来24年に亘って欠陥住宅被害者救済活動を続けている
欠陥住宅を正す会  
では、このホームページで欠陥住宅問題のホットなニュース、新判例など被害救済に役立つ記事をお届けします。
   ―正す会の窓・・・その25−
 
 

欠陥住宅 Q、& A、    (その7)

 
 

   盛り土と切り土にまたがる造成地
          ―― 地盤補強や基礎に注意 ――

(Q) 郊外の日当たりのよい丘陵地を開発したところに、建売住宅を購入しました。  がけ地の端にある見晴らしのよい物件を購入したのです。入居後半年余りして、裏庭の一部が陥没しました。これは業者にすぐに埋めてもらいました。今度は、半年ほどして玄関ドアなど建具の開閉が不良となり、これも業者が補修してくれましたが、その後、半年もすると同じ不具合が起き、また補修してもらいました。だんだん戸当たりは悪くなるようです。三年経った今、風呂場のタイルや内外壁や家の周辺の犬走り、基礎立ち上がりの部分にも、ひび割れができ、今ははっきりと家の傾きが分かります。業者に責任が問えるでしょうか。

◇    ◇    ◇

(A) ご質問の趣旨からして、敷地は丘陵地の端で、切り土・盛り土にまたがっているものと思われます。一般的に切り土部分は在来地盤で締め固まっていますが、盛り土部分は十分に転圧されたり、地盤補強剤が使われたりしていない限り、徐々に締め固まっていくものです。
 そこで、宅地が別図のように切り土と盛り土にまたがっているのであれば、盛り土部分(これは恐らく裏庭の眺望のよい部分でしょうが)の基礎は、盛り土の締め固まりとともに沈下していき、建物が中くびれして不等沈下していくことになるのです。
 当初、裏庭の土が陥没したのは、恐らく盛り土の土質が粗く水が流通しやすくて締め固まりの悪い不良土であった上、盛り土の締め固めも充分されないままで家が建てられたからではないかと思います。そして雨水等により盛り土の一部流失があって、陥没ができたものでしょう。
 また、土留めの擁壁も高さによっては建基法や宅造法の規制があり、同法に基づく許可申請が必要なときもあります。通常、宅造法施行令10条の規定を引用し、壁面の面積   3uごとに少なくとも一個の内径7.5p以上の水抜き穴を設ける必要があるとされています。擁壁の盛り土側には、土砂の流失を防ぐためのグリ石(拳大の石)を積み重ねた、いわゆる裏込め透水層も必要です。これらが手抜きされていると、流失する土砂が水抜きパイプをふさぎ、盛り土部分の土圧を高め、時として擁壁の損壊をもたらします。建具などの戸当たりの悪さは、不等沈下した部分の骨組みが建具取り付けの枠組みを押し付けているからでしょう。風呂場のタイルや家の内外壁のひび割れも、建物が盛り土部分でくびれてきているからだと思えます。
 現状では、法律が予定するような大規模な地震や台風がくれば建物が損壊する恐れがあります。至急、擁壁を点検補強し、盛り土部分の基礎を地山まで達する深基礎にし替えるか、または盛り土の深さによっては基礎杭を打設してその上に基礎を設けるなどの安全対策が必要です。業者に対しては、買い受け後3年経っていたとしても、欠陥の原因である不等沈下を知ったのはごく最近のことであろうと思えますので、民法570条の定めで、たとえ契約で2年間と担保期間を短縮していても、知ってから1年以内であれば、契約の解除なり相当な基礎や地盤の補修をする費用を損害賠償として請求できます。
 また、平成12年4月以降の契約でかつ引き渡されたものであれば、住宅の品質確保法第88条により引き渡し後10年以内は、たとえ契約で瑕疵担保期間を短くする定めをしていても、請求することができます。ただし、この補修は極めて大掛かりなものとなり、場合によっては家を一旦取り壊し、更地としたうえで、擁壁や地盤補強からやり直すこととなりますので、交渉だけでは業者は安全性を回復するためのこの抜本補修にはなかなか応じないものと思います。

 業者の反応次第ですが、躊躇(ちゅうちょ)することなく訴訟手続をすることをお勧めします。このように消費者には知識がなく、買い受けの際には判らない基礎や地盤補強の手抜きをすることが、昨今あちこちで見られるのです。  特に眺望のよい崖端の物件では、このことに注意される必要があります。事柄が専門的な知識と経験を要しますので、交渉に際しては、第三者の建築士に調査を求め対策をご相談されるのが良いでしょう。

澤  田  和  也
(平成17228日)