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欠陥住宅を正す会の窓

昭和53年以来30年に亘って欠陥住宅被害者救済活動を続けている

         欠陥住宅を正す会では、

このホームページで欠陥住宅問題のホットなニュース、新判例など被害救済に役立つ記事をお届けします。

―正す会の窓・・・その27―

昨年末の「耐震偽装事件」以来、欠陥住宅に対する消費者の関心がさらに高まり、そのお問い合わせや事件処理に忙殺されておりました。また当会の総会・シンポと重なりしばらく「正す会の窓」の連載を休んでおりましたが、今回から再開いたします。たいへん参考になったというお声もいただいています。いずれも身近に発生しがちなケースをとりあげていますのでご参考にしてください。

 

欠陥住宅 Q、& A、    (その9)

   風でも揺れる三階建て住宅

―― 間口が狭くて奥行きの長いものには注意 ――

 

(Q) 仕事で自動車が必要なので、職場の近くに車庫つき三階建て木造住宅を購入しました。市街地のため、間口が狭く、奥行きが長い形状の建物です。階下は風呂場のほかは土間コンクリートの車庫で、二階は台所つきの居間と客間、三階が二部屋の寝室となっています。

 住んでまもなく、階段の上り下りや就寝中に家が揺れていることに気づくようになりました。強い風や地震の時は大変揺れるのです。分譲した業者は、「三階建て住宅は揺れるものだから心配は要らない」と言いますが、本当でしょうか。

 

*    *    *

 

(A) 最近は都心回帰と言われて、都市では大きな敷地を持つ邸宅跡などが数戸の敷地に分割され、三階建てタウンハウスが分譲されています。それら三階建て住宅のほとんどが階下に車庫をとっていますが、もと一つの敷地にいくつもの住宅を建てるものですから、どうしても間口部分が狭いウナギの寝床のような形となります。

 一般的に家が揺れやすい原因で一番多いのは、木造住宅では筋交いや耐力壁が不足している場合です。木造住宅は、建築基準法施行令46条によって、必要な数の筋交い壁(または耐力壁)を間口方向にも奥行き方向にもバランスよく入れる必要があり、そのバランスのよい配置の仕方も細かく定められています(本シリーズ3参照)

 さらに木造でも三階建てになると規模が大きくなるため、建築基準法施行例46条だけではなく構造計算ででも筋交いや耐力壁の数を確かめる必要があります。しかし、ウナギの寝床のような三階建て住宅では、間口部分にはほとんど壁をとることができません。階下の間口に壁を設けると自動車の出し入れが不可能になりますので、大抵は間口がオープンな造りとなっています。

 また近接して建物が建っているため、採光、通風や眺望の関係上、二階や三階部分の間口方向には大きな開口部や窓が設けられることが多く、壁はほとんどつくれないのです。

 従って、上記法令に従って相当な耐力壁をバランスよく配置することは不可能で、耐力壁の数も足りなければ、配置も間口と奥行き方向のバランスもとれていないものになりがちです。ちょっとした風でも揺れるのは、このような耐力壁の不足または偏在によることに加え、柱や梁などの主要構造部材同士が緊結されていないことによるものとも見られます。

 特に三階建てでは地震や台風などでうける外力が大きくなりますので、柱と基礎の緊結には普通のアンカーボルトではなく、特別な金物が必要です。

 建物の揺れには、前に述べた耐力壁不足による水平方向の揺れのほか、上下方向(垂直方向)の揺れ(振動)も有ります。その原因としては、地盤や基礎の欠陥が見受けられます。

 木造住宅は、鉄骨造りや鉄筋コンクリート造りなどの構造と比べて軽量なのと、従来建物が有った敷地に建てられると地盤が締め固まっていて大丈夫だと即断されるのとで、基礎と地盤の検討がおろそかにされ、建物の重さや地質状況に見合わない基礎がつくられがちです。三階建て住宅は二階建て住宅に比べて建物荷重が飛躍的に大きくなるのです。従って、おろそかにされがちな基礎や地盤の検討もしてください。

 いずれにせよ都会で見られる車庫つき三階建て住宅は、余裕のない敷地に無理に車庫もとり、多くの住居スペースもとろうとしてつくられているものですので、業者のコスト削減目的の手抜きとあいまってこのような構造上の欠陥を招きやすいものです。

 「三階建て住宅は揺れやすい」などとの業者の言い訳には耳をかさず、第三者の建築士に依頼して、以上のような点について調査してもらい、その原因を確かめられる必要があります。そのまま放置されていると、時として大きな台風や地震に見舞われたときに損壊の危険がありますのでご注意ください。

澤  田  和  也

(平成1744日)