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欠陥住宅を正す会の窓

昭和53年以来30年に亘って欠陥住宅被害者救済活動を続けている

         欠陥住宅を正す会では、

このホームページで欠陥住宅問題のホットなニュース、新判例など被害救済に役立つ記事をお届けします。

―正す会の窓・・・その29―

 夕焼けの美しい季節です。 大和路の秋を彩る『正倉院展』も開かれています。

紅葉の始まった奈良公園には 毎年お出かけになられる方も多いことでしよう。 好評をいただいいております消費者のための 『欠陥住宅 Q、&A、』 シリーズ、 今回より11回目に入ります。ひきつづきご覧ください

 

欠陥住宅 Q、& A、    (その11)

   補修について示談したいのですが

   ―― 場合によっては専門家の立ち会いを求めて ――

(Q) 入居後、床の傾きや部屋の壁のすき間・外壁にひび割れを発見しました。そこで、家の基礎や骨組みに問題があるのではないかと心配して業者に補修を求めたところ、業者は「基礎や骨組みについてはきっちりと施工しているので心配はいらない、床の傾きは床の調整をする、ひび割れはコーキングを充填して雨水が入らないようにする」との回答でした。当方は素人なので、基礎や骨組みに欠点があると決め付けるわけにもいかず、業者との補修交渉もこのまま示談で終りたいと思っているのですが、いかがなものでしょうか。

 

*    *    *

 

(A) 欠陥住宅の補修交渉(示談)はなかなか難しいものです。


気づいている欠陥現象(不具合事象)だけでは、施工や仕上げの不出来にすぎないのか、または基礎や骨組みなど構造に原因があって、その結果、床面が傾き、ひび割れが生じてきているのかどうかは判断できかねるものです。


そこで、そのような基礎や骨組みに欠陥があることをうかがわせる欠陥現象を見つけたならば、やはり第三者の専門家(建築士)に頼んで、その原因調査をしてもらうことが大切です。その結果、基礎や骨組みその他の部分に異常がなければ業者と示談するのがよいでしょう。


示談をするに当たって大切なのは、示談の内容を記した文書(示談書)を交わし、きちんとした補修工程表補修図面をもらうことです。ともすれば業者は、経費削減のために、自分の時間が空いているときだけコマ切れに来る補修をしがちで、だらだらと補修が続く場合が見受けられます。


しかし、そのような補修は、居住者に不快感を与えるとともに、せっかく手直しした個所を再度汚損するなどの結果を招きがちです。ですから、補修個所、材料、方法などを特定した補修図面や仕様書を作成させることが大切になるのです。


また、いつからいつまでの間に補修するのかという工程表も作らせて、日程を守らせる必要もあります。場合によっては、遅延に対する損害金をつけさせるのもよいでしょう。さらに、必ず補修責任者を現場に置いてもらい、その責任者の管理のもとに段取りよく効率的に補修させることも大切です。なお、示談に際して、先に述べたように示談書を交わす必要がありますが、その文章中に「これで一切合切おしまい」などの文言は記載しないで下さい。例え、専門家の調査を受けていても、調査には日数、予算などの限界がありますので、目に見えない部分または素人には分かりにくい部分、特に、基礎や構造に欠陥がないとは断定できないからです。


一般的に欠陥住宅の補修は、ご質問のような美匠や仕上げの問題であれば、業者側の補修経費の負担も少ないので比較的成立しやすく、また、その約束もスムーズに履行されますが、基礎や骨組みなどに原因があったり、内外装を取り払わなければ補修できない場合には、その補修経費は多額になってしまい、なかなか話し合いでは示談しにくくなります。


そのような場合、欠陥原因を完全に除去する補修を求めることは大変困難ですので、少なくとも裁判所に調停の申し立てをして、調停委員、特に建築専門家の調停委員による相当な原因の検討を受けられるか、または第三者の専門家に鑑定を依頼して、基礎や骨組みのどの部分がどのような技術基準に照らして不十分なのか、それを補修するのにはどうすればよいか、またその補修工費はいくらなのかなどの鑑定書をつくってもらって提出されるのもよいでしょう。


取り壊し建て替え、またはそれに近い補修が必要な場合には、補修費用が多額になることから、調停でも話し合いが不調に終わることが多いものです。そのようなときには、躊躇(ちゅうちょ)なく訴訟手続きをして、場合によっては裁判所の専門委員の立ち会いによる審理や裁判上の鑑定を受けるかなどをして、相当な補修方法やそれに代わる補修代金などを損害金として認定してもらうのがよいでしょう。

訴訟手続きまでしなければならないようなときには、もはや業者との信頼関係は失われているので、あえて業者による補修を求めることなく、他の者に補修をさせればどれくらい工費が掛かるか、その他、欠陥に関連して建築士費用や弁護士費用などの費用や慰謝料などもあわせて、損害賠償請求、つまり金銭によって相手に賠償してもらう方法をとられるのがよいでしょう。

 

澤  田  和  也

(平成17年5月2日)