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●新着情報
欠陥住宅を正す会の窓

昭和53年以来30年に亘って欠陥住宅被害者救済活動を続けている

         欠陥住宅を正す会では、

このホームページで欠陥住宅問題のホットなニュース、新判例など被害救済に役立つ記事をお届けします。

―正す会の窓・・・その30―

 一月一日 (いちがついちにち)

    年の始めの 例(ためし)とて
    終なき世の めでたさを
    松竹立てて 門ごとに
    祝う今日こそ 楽しけれ

    初日のひかり さし出でて
    四方に輝く 今朝の空
    君がみかげに たぐえつつ
    仰ぎ見るこそ 尊とけれ

               作詞 千家尊福(小学唱歌より)

今年も「正す会の窓」をご愛読ください。

 

* * * * *

苦情が多い欠陥調査鑑定と訴訟受任

    ―― 問題がある調査鑑定と弁護受任 ――

 欠陥住宅被害解決にはまず、建築士に調査鑑定を求めることが手がかりになる、ということはかなり広く知られるようになった。


 問題の一歩前進として喜ばしいことではあるが、同時に「建築士に調査鑑定を頼み弁護士に頼んだのに結局は金ばかりかかってくたびれもうけに終わった。」という苦情も多く聞かれる。 残念なことである。

  その原因としてはこの問題に熟達した人を得なかったことがまずあげられると思うが、実は依頼を受ける専門家側に被害者にコストに見合う結果をという知識又は配慮がかけていることによる場合が多いと思う。

  簡単に言えば、まず弁護士が欠陥住宅相談を受けた場合でも建築士に調査鑑定を依頼させる際、当初から詳しい調査鑑定を依頼させるのではなく、被害者の苦情、多くは雨漏り、ひび割れ、傾きなどの欠陥現象の苦情であるが、それらに果たしてその苦情に対応する欠陥原因があるかどうかを、最初は目視もしくは簡単な器具による計測などによって概括的に欠陥の有無やその欠陥原因を建築関係法令の各技術基準に照らし見つけてもらい、あわせ概略の補修方法とその相当費用の推定金額を教えてもらうようにさせることである。詳しい学理的説明や写真などの証拠、費用積算などは不要である。

  私たちはこれを『初回調査』又は『予備調査』と呼んでいる。 その結果を弁護士が建築士に問い合わせて法律上相手に瑕疵担保責任を問うことが出来る欠陥があるかどうかを契約内容に則し検討し、あわせ相当補修の賠償額が調査鑑定書の作成費用や弁護士費用などの裁判費用の請求額を上回り法律上請求可能と判断した場合に、経費がかかり時として物理破壊や第三者機関による検査費用を必要とする調査報告書もしくは鑑定書の作成を依頼するよう依頼者に奨めるべきである。

 これは弁護士にまず欠陥住宅相談があった場合のことであるが、消費者が建築士にまず欠陥住宅相談をする場合が多い。 この場合に建築士側このような費用対効果の知識や親切心がなければ、消費者の求めるまま主として美匠仕上げか使用上の欠陥点を羅列し証拠写真をつけた大部な調査鑑定書の作成を受任する傾きがある。 この場合に裁判上補修に代わる損害賠償を請求したとしても裁判費用に見合うだけの賠償金請求は法律上不可能な場合も多く、その結果が冒頭に述べた『くたびれもうけに終わった』という失望感を消費者に与えることとなる。

 欠陥住宅調査鑑定はそのこと自体熟達した建築士に依頼すべきはもちろんであるが、消費者がまず同時に、瑕疵担保責任問題についても知識があり費用対効果を親切に説明して、仮に当初より調査鑑定書作成の依頼を受けたとしても、とりあえずは先に述べた初回調査にとどめ、その結果を弁護士に相談して『訴訟上相当賠償金が請求でき、費用対効果を満足できる欠陥であるかどうかを確かめてからのことにしましょう。』と親切なアドバイスをできる人こそ本当のエキスパートとみるべきである。

  よい結果を出すには時間も金もかかる。 かけた時間と金に見合う結果が得られるか否かが問題のポイントとなるのである。

  また、これは弁護士の場合にも当てはまる。

  欠陥住宅訴訟受任に際して『まずは建築士さんに欠陥調査を頼みましょう』と言わない弁護士はこの道には素人である。 また調査の結果、建築士費用や弁護士費用に見合うほどの賠償額が見込まれないのならば訴訟を思いとどまるようにアドバイスするのがプロである。

これは何よりも弁護士の職責であるとともに、費用対効果を念頭に置かないプロはそもそもプロではないとみるべきだからである。

 

 

澤  田  和  也

(平成18年11月11)