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欠陥住宅を正す会の窓

昭和53年以来30年に亘って欠陥住宅被害者救済活動を続けている

         欠陥住宅を正す会では、

このホームページで欠陥住宅問題のホットなニュース、新判例など被害救済に役立つ記事をお届けします。

―正す会の窓・・・その37―

今回も、代表幹事澤田の欠陥住宅を正す運動にかかわった初期の頃の思い出の続きです。

引き続きご覧ください。

*  *  *  *  *

欠陥住宅を正す活動の思い出・・・・・その2

       ―― 欠陥住宅を正す運動は商品の適正化運動である ――

『欠陥住宅を正す運動の思い出・・・その1』で述べたように昭和40年代の終わりごろから50年代の初めにかけて欠陥住宅問題は社会問題化し、私も昭和54年の初め請われるままに「欠陥住宅を正す会」の前身『住宅のクレームに悩む消費者の会』のメンバーとなった。

その年の8月に『欠陥住宅』と題する以下の文章を書いた。

 

『 欠 陥 住 宅 』

 雨漏りや、壁のヒビ割れ、排水不良等々、マイホームについて苦情は余りにも多い。

 その多くは、外見では判りにくい基礎や家の骨組みや工法などの根本的欠陥から生じるもので、その場限りの「ゴマ化し補修」では再発をくりかえし新居は益々汚損する。時として建てかえるほかに抜本的解決がないと判っても、騒げば新居の換価がしにくくなると懸念して、結局は泣き寝入りし業者サイドの結果に終わる。だから悪徳建築士、業者があとをたたない。

 しかも欠陥住宅がもたらす被害は、家の構造・機能の不完全という財産的損害にとどまらず、むしろ、その家に住む人々にストレスと精神荒廃を与え、その欠陥の存続する限り、家庭の平和を破壊しつづけることである。

 「人の住まいをつくるのだ。」との建築の原点にたち戻ってほしいが建築関係者の自主規制にこれを期待するのは到底無理な現状で、麗々しく「マイホームづくりにお手伝い」と書かれていても、にがにがしい思いが先にたつ。

 そこで消費者サイドで欠陥問題を解決しようと、消費者グループが最近マスコミを通じ活発な啓蒙運動を展開している。この運動の特徴は他の分野の消費者運動とはちがって、流通過程の合理化による「より安く消費者に」の段階にはなく、「代金に見合う相当な家をつくれ」との「商品適正化」の段階にあることだ。けだし「家」という商品に関する限り、いまだマックス・ウエバーのいう「資本主義の精神」が確立せられていない段階即ち「手抜き」という詐欺的商法が横行している現状下にあるからである。

 しかもその「手抜き」が「家庭の平和」をも破壊するところから、「欠陥との闘い」はその回復即ちその家に住む人々の「人間性の回復」を求める人権運動の側面を持ち、基本的にはヒューマニズムの精神に立脚しているものと考えられる。

  従って、この運動が単にマスコミをにぎあわす一時的・散発的な、時として「ためにする運動」に終ることなく、この運動の本質と基盤を参加者自身が明確に自覚し、まじめな建築関係者・法律家をもまじえ、地道に個々の被害者の救援互助活動を行いかつ、欠陥についての地道な研究活動をも行うことにより、「欠陥に対する必要な立法措置」をとらせるまでに発展することを望んでやまない。

(昭和54年8月)

 その第一段には今も変わらぬ欠陥住宅被害の状況、業者の対応の悪さ、被害者の泣き寝入りの状況が語られているとともに、欠陥住宅被害が単なる建物という財物被害だけではなく家庭の平和をも破壊する精神被害に本質があることもとらえられている。

そしてその第四段では欠陥住宅被害が手抜き被害であることと、欠陥がないと装いながらも実は隠れていて見えない構造などを手抜きする詐欺的商法であること、資本主義はこの中世的な詐欺的商法を打破したものであったはずなのに、欠陥住宅はこの詐欺的商法への逆戻りであって、欠陥住宅を正す運動は何よりもまず代金に見合う相当な商品をつくれという商品の適正化運動であると指摘している。ともすれば当時消費者運動者は、欠陥住宅問題を社会体制変革の政治・大衆運動と同じレベルでとらえ、集団交渉等団体行動で個別被害を解決させようとする、いわゆる「ためにする運動」に偏していたので、これを懸念した私なりの警告、提言をしているのである。そして最後に、欠陥住宅を正す運動が欠陥住宅に住む人々の人間性の回復即ちヒューマニズムの精神に立脚する運動であるべきだ、ということは今も変わらぬ私の想いである。

30年を経た現在までの当会の軌跡を尋ねてみても又その結果からみても、発会当初のこの問題自覚は正しかったと思う。そしてこの提言は「欠陥住宅を正す会」の設立の趣旨に生かされている。

(19.1.9 澤田 和也)