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欠陥住宅を正す会の窓

昭和53年以来30年に亘って欠陥住宅被害者救済活動を続けている

         欠陥住宅を正す会では、

このホームページで欠陥住宅問題のホットなニュース、新判例など被害救済に役立つ記事をお届けします。

―正す会の窓・・・その39―

当会会員K氏夫妻は、去る6月22日契約代金4,169万円を大幅に上回る合計金5,130万円也の損害と、これに対する平成10年11月2日から年5分の割合による遅延損害金(本年6月末までほぼ8年6ヶ月で約2,180万円)をあわせ約7,310万円にのぼる賠償判決を獲得されました。

≪判決のあらまし≫

@ 事件番号   岐阜地方裁判所 平成12年(ワ)弟740号 損害賠償請求事件
A 判決言い渡し日   平成19年6月22日
B 当事者
    原告  当会会員K氏夫妻
    同訴訟代理人     澤田和也 中井洋恵
    原告側鑑定書作成者  一級建築士石川育子 高塚哲治
    被告  (有)A社
    同   A社代表取締役B
    同   A社一括下請(株)C社
    同   C社代表取締役相続人D
    同   (株)E協会       等

C 欠陥の概要
 原告等が新居としてA社に発注した、E協会“住宅システムA”による木造住宅に木材の防腐防蟻等の耐久性の欠陥や、本件敷地地盤の支持力に適合しない基礎構造や耐力壁にあたる水平耐力を負担する内部構造ブリットの下に布基礎の設置がなく、しかも水平耐力上必要な軸組み長さに不足した軸組みと、また床組みに関しても火打ち土台が無いなどの構造欠陥がある。そして機能上の欠陥としても屋根面の雨仕舞いの施工不良として、棟換気金物の取り付け部の施工不良や、集熱パネルと太陽電池モジュールの取り合い部に水切りが無いなど欠陥がある上、軒先空気取り入れ口の取り付け位置の不良や外気通気層の施工不良があるなどの欠陥もあり、さらには外部サッシの取り付け不良や、サッシ下部のアルミアングルのみの施工やサッシ上部の水切りサッシ周りの防水テープの欠落等、建物自体に構造上重大な欠陥があった。そしてまた外部周りの問題点としても、建物西側の用水路との境界の石積み塀が危険であることや、敷地南側に新設された擁壁に水切り穴の施工がない等、安全面に掛ける欠陥もあった。

  この結果、結局は本件建物を取り壊して相当地盤補修や、相当基礎設置の上建て替えるほか部分的な補修だけでは本件欠陥が除去されないとして、原告等はまず本件建物の取り壊し建て替え相当代金を損害として求めていたものである。

D 損害請求の内訳と金額並びに判決認容金額は以下のとおりである。

請求内訳 請求金額 判決認容金額
補修費用相当損害 4,200万円 4,200万円(全額認容)
代替建物レンタル料 200万円 200万円(全額認容)
引越し費用 30万円 30万円(全額認容)
調査鑑定費用 2,955,920円 200万円(一部認容)
慰藉料 100万円 100万円(全額認容)
被告らが負担すべき
弁護士費用
641万2500円 400万円(一部認容)
上記請求合計金 54,668,420円

5,130万円

(請求額の93%を認容。通常では請求額の6割程度の事例が多い中で抜群の認容率である。これは主張立証が的確であったことを裏付けている。)

≪ 論 点 ≫

 本件では新築請負人A、その一括下請けC並びにA社社長のBおよびC社社長相続人Dに対しては欠陥責任を認めた。なお原告K氏夫妻は、本件建物がE協会の認定型式フォルクスハウスで、本件欠陥を発生したのはE協会のAに対する設計施工について教育指導上の責任によるものであるとして、同協会にも同額の損害賠償請求を求めたが、原判決では『加盟工務店がマニュアル法規を遵守せず、それを同協会が知りえた場合には是正・勧告等の措置をとるべきであるが、個別の現場の施工内容までは監督する法的な義務はない。』として同協会に対する請求を棄却した。

  また本件建物の相当補修としては、結局は取り壊し建て替えるほかないとして4,200万円をK氏夫妻が請求したのに対し、裁判所選任の鑑定人は部分的な補修で足りるとして1,414万9695円と鑑定したが、裁判所はK氏夫妻が提出した当会石川育子・高塚哲治一級建築士の鑑定を採用し4,200万円を認めた点でも画期的な判決で、当会専門家の訴訟追行レベルの高さを示している。

(平成19・7・5)