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欠陥住宅を正す会の窓

昭和53年以来30年に亘って欠陥住宅被害者救済活動を続けている

         欠陥住宅を正す会では、

このホームページで欠陥住宅問題のホットなニュース、新判例など被害救済に役立つ記事をお届けします。

 

―正す会の窓・・・その45―

欠陥住宅 Q、& A、     (その14)

      型枠なしの基礎底盤工事


―― 典型的な手抜き・・・何事も基礎が大切 ――

 (Q) 木造二階建住宅の注文をして、着工したところです。現在は地盤を掘削してそこにコンクリートを流し込み、その上に基礎立ち上がり部分のコンクリート打設用の型枠を組んでいるところです。図面を見ると掘削した地盤にまず捨てコンクリート(※1)を打設して、その上に底盤を施工するように書かれているので、業者に「捨てコンクリートの上に直接そのような立ち上がり部分を造ってもよいのか」「図面通りに捨てコンクリートの上にさらに底盤用のコンクリートを打設してからにしてほしい」と抗議を申しいれたのですが、業者は「この図面は間違っている。最近では捨てコンクリートを打って再度底盤用型枠を組み別途底盤用コンクリートを打設するような不経済なことはしない。通常の捨てコンクリートよりも分厚く打ってあるので、基礎底盤としては十分で心配はいらない」と取り合わないのです。しかし納得いかないので、その当否と対応策について教えてください。

*               *               *

 (A) ご質問の事例は当今みられる手抜きの典型的な事例です。  通常は基礎を作るのに際して、まず基礎を打設する部分の地盤を掘削します。そして掘削によってかき乱された底土の部分に割り栗石(拳大の石)か、または砕石を敷き詰め、ランマー(※2)(転圧機)で十分に地盤をつき固めます。この部分は建物に加わった荷重や外力が基礎を通じて地盤に伝達される最初の部分ですので慎重に地盤補強をするのです。割り栗地業といわれています。

 次に捨てコンクリートを打設します。捨てコンクリートは、本来基礎底盤用の型枠の位置を定める地墨を出すためのものです。とともに、基礎底盤に入れられる鉄筋に対する必要なコンクリートの被り厚さを保持するためにも必要です。鉄筋コンクリートでコンクリートの鉄筋に対する被り厚さが少ないと、鉄筋が腐食しやすいので建築基準法施行令79条は基礎では「捨てコンクリートの部分を除いて6p以上としなければならない」としています。

 つまり、捨てコンクリートの上に6p以上の被り厚を保持させるための器具であるスぺーサー(※3)を置き、その上に鉄筋を配筋しなければならないからです。ご参考までに、この条文でも「捨てコンクリート部分を除いて」と書かれており、法令も捨てコンクリートが打設されることを当然の前提としています。

 また、コンクリートはセメントと砂利などの骨材を水と混和させて作るものですが、コンクリートは水分を徐々に取り入れていくことによって相当な強度が出てくるのです。そのため法令もコンクリートの打設に関しては、打設後相当な配慮(養生)をしなければならないこととし、特に型枠や支柱に関してはコンクリートが相当な強さを出すまでは取り外さないようにするなど、慎重な配慮を求めています(同令75条・76条)。

 また、捨てコンクリートは、いわば基礎底盤のコンクリート打設に際しての下の型枠の役割をしているともいえるものです。つまり、掘削した地盤に直接打設された生コンクリートは、水分を早期に土中に吸収され、ゆっくりと水分を取りいれることができず、相当強度の不足を招くからです。それとともに、底盤なしの打設では設計図にあるような一定の寸法の底盤の出幅や厚みをきっちりと取ることができず、凸凹ができて出幅も厚みも一定せず、不規則な形となり、そのため地盤からの反力分布も不均等となって地震などでは分断されやすくなります。

 お話によると契約上(図面上)も捨てコンクリートの打設は明示されているのです。何事も基礎が大事と言われるように、建物の基礎も捨てコンクリートの打設から始まります。施工の入り口から大切な基礎の手抜きをする者は、その後の施工の過程においても、手抜きをするとみられても仕方がないでしょう。厳重に業者に注意をされ、施工のし直しをし ない場合には契約を解除されて、他の業者に頼まれるのがよいと思います。

 【建設用語】
(※1) 捨てコンクリート・・・建築される構造物の墨出し作業などのために打設される
         コンクリート。基礎コンクリートと割栗石が混ざり、基礎コンクリートの
         品質低下を防ぐ役割もある。
(※2) ランマー・・・地盤を打ち固める機械。道路工事などでよく見かける
(※3) スペーサー・・・コンクリートを打設する場合、設計図通りの間隔に保つため、
         捨てコンクリートと基礎コンクリートの間に入れる部品

澤田 和也
(平成17年6月6日)