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欠陥住宅を正す会の窓

昭和53年以来30年に亘って欠陥住宅被害者救済活動を続けている

         欠陥住宅を正す会では、

このホームページで欠陥住宅問題のホットなニュース、新判例など被害救済に役立つ記事をお届けします。

 

―正す会の窓・・・その47―

 今回から2回にわたって“専門家に頼むには”と題してのご質問にお答えいたします。

欠陥住宅 Q、& A、     (その16)

専門家に頼むには    〈その1〉
   欠陥住宅紛争と建築士の選び方

    ―― 紛争処理のための調査鑑定になれた建築士を ――

(Q) せっかく買ったマイホームの床が、傾いたり戸当たりが悪くなったりして不安な毎日を送っています。業者に交渉し、何度か補修に来てもらっているのですが、いつも建具の調整をする程度で、三ヶ月も経てばまた同じような不具合が起こります。消費者センターに相談したところ、「建築士に欠陥の原因を調べてもらいなさい」というアドバイスをもらいましたが、いざとなるとどのような建築士を選べばいいか当惑しています。

 

*               *               *

(A) 「家が傾いている」とか「壁にひび割れができている」「雨が漏る」「排水が逆流する」といった欠陥現象(不具合事象)を訴えるだけでは、業者はなかなか完全な補修をしてくれないのが通例です。仕上げや美匠、設備、建具の簡単な調整程度であれば、それほど補修費用も掛からず、その補修も容易なのですが、家の傾きなど建物の骨組みや建物が建っている地盤、基礎などに欠陥原因がある場合は、その補修をするため、取り壊し建て替えるしかない場合が多く、費用の点で業者が負担にたえられないため、さまざまな口実を言っては延ばし延ばしにし、時効待ちにすることがよくあります。

そこで、専門家である建築士にあなたの分かっている欠陥現象を説明し、その原因を調べてもらう必要がありますが、どのような建築士に頼めばいいのかというのは、確かに問題です。

建築士法には、建築士の職域として建築物の調査鑑定が入っているものの、大多数の建築士は、建物新築のための設計や工事監理などをしており、訴訟に結びつき、裁判所や第三者に対して、その欠陥原因や相当な補修方法、それにかかる費用を分かりやすい言葉で解説し、説明することになれている人は少ないのです。ですから、ご依頼される場合には、欠陥建築物の調査や鑑定をした経験があるか、それを専業としているのかを確かめられることです。

また、特に注意しておきたいのが、建築士法では、資格のない者でも、建築士事務所として登録すれば建築士を雇用して調査鑑定などもできることになっている点です(同法23条)。

そのため、日本の建築士の大多数は、建設業者の雇用の下で設計工事監理や現場での施工管理に当たっているか、独立して建築士事務所を構えていても、特定の建設業者の下請的な設計監理をしている人が多いのです。これらの人たちも第三者的な調査鑑定ができないわけではありませんが、業者に雇用されている場合には、直接的、間接的に同業者に対してマイナス結果となるような判断をしたり文書を作成したりしにくくなるのは想像にかたくありません。現に建築士の態度が業者サイドだったという被害者からの苦情も多いのです。

現実に依頼されるに当たっては、その方と面談してあなたの実情をお話しされることです。その方の応答が適確性を欠く場合には、欠陥事案の調査鑑定になれていない方と見た方がよいでしょう。単に知人や先輩や建築士団体などに紹介されたというだけで、すぐに頼まれるのではなく、面談の上、仕事の範囲と報酬金額を明示した報酬契約書を交わす人に頼まれることです(建築士法24条の5)。

国土交通大臣告示による報酬の算定基準では、一時間いくらという基準で、かかった時間に一時間当たりの技能程度による単価を掛けて報酬を算定するといった基準があり、これを調査鑑定のときでも算定基準にする人も見受けられますが、調査や鑑定になれている人であれば、あなたのお話の内容から調査鑑定手続きに必要な時間や手間もほぼ分かるはずです。

「やってみなければわからない」といわれるならば、その方の経験の程度がうかがわれると思ってください。欠陥住宅紛争のように手抜きが一定のタイプにパターン化されている事案では、おおむね調査鑑定に要する手間や必要な費用も分かっているはずですから、具体的報酬や費用の明示をし、それについての事前の書面による契約をしない人は避けることが肝要です。また、当初から高額の報酬を出して証拠を収集し欠陥や補修費用の根拠資料を付けた訴訟用の鑑定書を頼むのも考えもので、少額の報酬ですむ欠陥の有無やその原因および補修費用の概略を見るだけの予備調査から頼まれ、本格的な鑑定費用や弁護士費用をまかなえるだけの請求可能損害額があると推定される時に、弁護や鑑定の依頼をされるのがベターです。

澤田 和也
(平成17年8月1日)