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欠陥住宅を正す会の窓

昭和53年以来30年に亘って欠陥住宅被害者救済活動を続けている

         欠陥住宅を正す会では、

このホームページで欠陥住宅問題のホットなニュース、新判例など被害救済に役立つ記事をお届けします。

 

―正す会の窓・・・その48―

今回は“専門家(弁護士)に頼むには”のご相談です。
前回〈その1〉にひきつづきお読みください。

欠陥住宅 Q、& A、     (その17)

専門家に頼むには    〈その2〉
   欠陥住宅紛争と弁護士の選び方

    ―― 紹介してもらっただけではダメ ――

(Q) 家の雨漏りがとまらないので、専門家に調べてもらったところ、瓦の重ねが甘く、日本瓦に必要な屋根の勾配を満たしていないことが分かりました。しかし、抜本的な補修のためには、一度、屋根瓦を取り去り、小屋組と言われる屋根の骨組みからやり直さなければならないので、業者は補修に難色を示しています。

そこで、補修はあきらめて、修繕代を裁判で取りたいと思うのですが、いざとなるとどのような弁護士を選び、それをどのようにして探し、また、その人にどのような頼み方をしたらよいか、全く知らないことばかりで不安に暮れています。ヒントを与えてください。

*               *               *

(A) 日本瓦に必要な四寸(底辺1に対し0.4の高さの三角形がもつ勾配)以上の勾配にやりかえるためには、ご質問のように、屋根の骨組み(小屋組)からの組み替えをしなければなりません。業者との交渉が進まないのも、費用の点、手間の点からも想定できますので、裁判で補修代金を損害賠償として請求するというお考えはもっともなことです。

あなたの悩みの解決に適した欠陥住宅紛争に手なれた人を選ぶのは、現状の日本では非常に難しいことです。今までの日本の弁護士は、親子や夫婦関係の紛争、債権の取りたてや整理、土地家屋の明け渡しなど、日常的に起こる民事事件を主として手がけてきた人がほとんどで、建築や医療、特許など、特殊な分野についての対策を専門的に研修し、継続的にその種の事件を手がけている人が少ないからです。

しかし、阪神淡路大震災以来、欠陥住宅についての世論が高まり、各地で弁護士や建築士の被害対策ネットワークや、この種の紛争を専門的に取り扱い救済活動をする団体が増えてきました。

インターネットで「欠陥住宅」と言うキーワードで調べれば無数に出てきます。その中のお近くの団体に当たられるのも一法ですが、そこが必ずあなたの要求を満たす弁護士を紹介してくれるとはかぎりません。そのような団体に参加している弁護士でも、建築技術紛争について勉強し、また、それに取り組んだ経験のある弁護士は少ないのが現状だからです。

弁護士会や建築士会などの公共的な団体でご紹介を受けられるのもよいのですが、これらの団体でも、紹介された弁護士があなたの紛争処理に適することを保証するものではありません。紹介された弁護士と面談して、納得の上依頼されることが大切です。

その選択の一つの方法としては、あなたの紛争について法律相談をしてみることです。あなたはかなり住宅の欠陥について知識を得られているようですので、弁護士の受け答えで、その人が建築紛争にどの程度の知識や関心を持っているかがお分かりになるはずです。

次に、受任に際しての弁護士の応答のチェックも大切です。欠陥住宅紛争は、家そのものに欠陥の原因となる事実(手抜き)があるかないかがポイントとなる技術紛争ですから、あなたの話を聞いただけで、すぐに受任するのは専門家として不相当です。欠陥住宅紛争に手なれている人なら、まず建築士に概括的な調査を依頼して、その結果、欠陥の原因事実があることが推論され、欠陥個所の特定、欠陥であることの意味、補修に必要な工法、工程、そして第三者に補修を依頼したときにはどれだけの工費がかかるか、建築法規、標準的な技術基準の該当個所など、判断に必要な証拠を添えた訴訟用の鑑定書を作成してもらうためにはいくらかかるかを確かめてから正式に受任すると答えるのがオーソドックスな対応と言えます。

その理由は、訴訟をするには建築士や弁護士費用等かなりの費用が要る上、相当な工費、つまり賠償請求見込み金額がなければ費用倒れに終わるからです。逆に言えば、相当な獲得見込み額があって、費用が是認できる程度の額でおさまるものであれば、訴訟をするメリットがあるからです。

また、あなたに対して、適当な建築士に調査や補修見積もりをもらってこいなどと建築士の選択を委ねる方も考えものです。もし、建築事件を専門にしている人ならば、欠陥の調査鑑定を専門にしている建築士とつき合いがあるはずだからです。

最後にもう一点、最も大切なことは、受任に当たって報酬契約を書面で作成してくれるかどうかです。弁護士へのクレームで最も多いのは、この報酬の問題です。着手金の金額や賠償金を獲得した際の謝礼金(報酬または謝金)やその算定方法を明示しないで受任する場合もあるからです。
そして、明示的で具体的な報酬契約を結ばないと言うことは、弁護士として必要な受任に当たってのモラルやルールに欠けるということが言えるとともに、「建築士に調査を依頼して獲得見込み額が推定できてから受任契約をしましょう」と言わないところに、その人がこの種の訴訟の処理になれていないことがうかがわれるからです。

以上の点に注意され、あなたの要求にフィットした信頼のおける人を選んでください。

澤田 和也
(平成17年8月15日)