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●新着情報
欠陥住宅を正す会の窓

昭和53年以来30年に亘って欠陥住宅被害者救済活動を続けている

         欠陥住宅を正す会では、

このホームページで欠陥住宅問題のホットなニュース、新判例など被害救済に役立つ学習記事をお届けします。

 

―正す会の窓・・・その52―

早苗のそよぐ水面に鯉のぼりが映えて、
山の端から郭公の鳴き声も聞こえてきます。
翠の風の中の
いつの代も変わらぬ、
健やかな子供の成長を祈る、やさしい日本の風景です。
    皆様は連休を、いかがお過ごしでございましたでしょうか。
      “鯉のぼり 若葉青葉を そよがせて”            20・5・7

欠陥住宅 Q、& A、     (その21)

示談の場合はどのような点に注意をするべきか
                ―― 欠陥調査の必要と補修図書を忘れずに ――

(Q) 注文した新居に入居して半年あまりのころから、玄関ドアが開閉しにくくなったり、建具の戸当たりが悪くなったり、台所の板間に歩いても分かる傾きができたりしたので、たびたび業者に修繕を頼んでいたのです。

 当初は建具回りや床下地の調整をしたりしていたのですが、それでも段々調整がきかなくなり、入居後2年ほどたった今は全くひどい状態となって、誰が見ても家が不等沈下していることが分かるようになりました。業者はなかなか不等沈下の責任を認めず、地盤が悪いからだと根本補修を拒んでいたのですが、最近になって上屋をそのままにして周辺から地盤強化液(ミルク)を注入して不等沈下をとめる補修をするとの話し合いが整いつつあります。

 そこで、この示談を煮詰めたいのですが、注意すべき点があれば教えてください。

*               *               *

(A)それでは示談に当たって注意すべき点を列挙してみましょう。

@ 専門家の調査と補修案の検討の必要
 お話によると、業者は不等沈下は認め、それを地盤補強で解決しようと提案しているようです。しかし、不等沈下といっても、またそれが軟弱な地盤によるとしても、地盤状況はさまざまであり、単なる地盤補強だけでよいのか、基礎も今のままではダメで支持地盤まで打ち込む杭基礎にしなければならないかなど、不等沈下の原因とその対策はさまざまです。
 そもそも建物周辺からのミルク注入は、地盤状況を目視してその効果を正しく見極めることがしにくく、補修の確実性に欠け、時としてミルクが隣家敷地まで及んで迷惑をかけることもあるのです。そこで取り壊し、建てかえをして地盤補強をせざるをえない場合があります。
 ところで、あなたの場合のように交渉に手間取り、原因もはっきりせずに大幅な補修が必要と予想されるようなときには、第3者の専門家に調査を依頼し、その欠陥の真の原因を確かめ、相当な補修方法を教えてもらい、それに基づき正式示談をするのがよいのです。業者は往々にして費用がかかる補修を嫌がり、手抜き補修で誤魔化そうとするからです。

A 時効期間を考える
そこで、仮に業者が「補修する、補修する」といっていても、肝心の補修内容や時期を具体的に約束しない場合は、調停や裁判などの法的手続を考慮することが必要です。「する。する。」というだけでは期間が経つだけだからです。
一般論としては、3ヶ月交渉してもラチがあかなかったり、ズルズルと口約束だけで実行が伴わない場合は、とりあえずは書留内容証明郵便で補修請求をして6ヶ月間の時効中断をしておき、法的手続に入られることです。
ただし、あなたの場合は、「構造耐力上主要な部分」の欠陥として、住宅品確法87条により、引き渡しから10年間が業者の責任期間です。しかし、事が安全性にかかわることと、長引かせると相手のやる気を失わせますので、示談は早くすることです。

B 補修管理者を常駐させる
あなたの場合のような大掛かりな補修は、下請け任せでできるものではなく、施工管理者を常駐させることが必要です。補修のほうが新築より手間取るもので、統一した施工管理がなければ手順通の補修が進まず、よい部分まで損じてしまい、結局は欠陥を広げたことに終わりがちです。また、第三者の建築士にチェックしてもらうのも有効な方法です。

C 工程表を作らせる
業者は他の新築現場の合間に空いている職人に空いているときだけ補修をさせがちです。補修期間と手順を定めて、工期を決め、工程表を作らせましょう。
もし、工程表を守らないときは、遅れた期間1日につき幾らという遅延損害金の約束をさせましょう、補修の履行と促進に役立ちます。

D 示談書に補修図面と補修工程表を付ける
口約束だけではダメで、示談の内容をきっちりと文書にして交わすことが必要ですが、そのとき建築士に作ってもらった補修図面や工程表をつけるとよいでしょう。約束の内容が具体的に特定されて、後日の紛糾を防ぎます。

E 業者の免責条項には気をつける
示談書によく「この補修によって業者の補修責任は免責される」というような文言が入れられがちです。しかし、他に欠陥があることが分からないときも多く、「本件に関しては」という限定文言を入れさせましょう。

F 起訴前の和解手続
終わりに、示談書は当事者間だけの私文書でも有効ですが、その示談書の内容で裁判所に起訴前の和解手続(民事訴訟法275条)をして調書を作成してもらうのも業者の履行を確実にする方法です。

澤田 和也
(平成17年10月31日)