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欠陥住宅を正す会の窓

昭和53年以来30年に亘って欠陥住宅被害者救済活動を続けている

         欠陥住宅を正す会では、

このホームページで欠陥住宅問題のホットなニュース、新判例など被害救済に役立つ学習記事をお届けします。

 

―正す会の窓・・・その67―

 3月17日更新の“正す会の窓・・・その65”より、新しいシリーズとして連載をスタートした『住まいの相談Q&A』を、今回はその2〜その5までまとめてお届けします。
      続けてご覧ください。

(平21・4・6)

≪住いの相談 Q&A その2≫

【朝日新聞『みんなの暮らし』欄〔大阪本社版〕に
昭和55年7月より40回にわたり連載】

新築住宅の雨漏り
 昨年10月、木造モルタル塗りスレート瓦2階建ての建売住宅を購入しました。当初からひどい雨漏りがあり、これまで外壁やベランダ周辺などに防水塗料を吹き付けたり、コーキングを詰め込んだりして補修してもらい、一時は止まったかに見えました。が、最近、また漏っています。再三業者に補修を頼んでいますが、応じてくれません。一年の保証期間が終わったら補修請求ができなくならないでしょうか。
すぐ建築士の調査を
 雨漏りは欠陥住宅の典型です。いくら設備や内装に優れたマイホームでも、雨が漏れば内装や家財を汚し、家族の気持ちを暗くし、建物の寿命を縮めます。
 ご質問にある補修箇所や方法は、一応漏水原因と考えられる箇所にテスト的に補修した程度のもので、下地の水切り金物などが完全であることを前提とした方法にすぎません。それで雨漏りが止まらないのなら、屋根や側壁の下地の防水紙や、さらにその下地材の施工方法に欠陥があるとか、スレート瓦の重ねが甘いとか、水切り金物や屋根金物の手抜きとか、施工段取りの不十分によって防水紙と水切り金物の施工の順序が逆になっているとか、の場合が考えられます。また、場合によっては建物の基礎や骨組みなどの根本に手抜きがあり、建物が不当沈下してきているため、これら坊排水のための施工が根本的に役立たなくなっている時もあります。いずれにせよ、なかなか止まらない雨漏りは、根本の手抜きを告げる赤信号です。
 このような雨漏りの補修には、時として壁の取り外しなど、建物の一部解体と内外装のやり直しなどを必要とし、莫大な費用がかかります。だから業者によっては一時しのぎの補修にとどめ保証期間ぎれをねらう者もあります。
 建物の保証期間(瑕疵担保期間)は単なる時効期間ではなく、その間に法律上の権利を行使しなければならない「権利の存続期間」といわれています。つまり、保証期間が過ぎてしまえば、その前から補修を要求していても、業者に補修の義務はなくなってしまうということです。今になっても完全な補修をしないのですから、業者には完全な補修をする意思がないものとみてよいでしょう。
 至急、その業者とは無関係な建築士に依頼され、正確な雨漏り原因を調査してもらい、相当な補修方法とそれに必要な費用を鑑定してもらって、その金額を補修に代わる損害金として、保証期間内に裁判所に申し立て、損害賠償の請求をすべきでしょう。補修は別の業者に、鑑定に合わせてしてもらうのが安心です。

(昭和55年8月28日 澤田和也)

≪住いの相談 Q&A その3≫

壁のクロスにしみ
 新築マンション購入(3月)後まもなく、2部屋の壁のビニール・クロスに「しみ」ができ、それが増加してきました。業者はクロス下地に「かび」が発生したためであり、クロスを張替え「かび防止剤」を塗るとのことです。この方法で「かび」の増加発生をとめることができるでしょうか。また、このため家具の整理もできず、補修ではピアノなどの家財の移動もしなくてはならず、わずらわしい限りです。業者に迷惑料とか慰謝料の請求が出来ないものでしょうか。
専門家に調査依頼を
 ご質問のマンションは多分鉄筋コンクリート造りで下地木組みをせず、コンクリート塗りに直接ビニールクロスを張って内装としている場合と思われます。最近のマンションでは施工経費削減のため、このような仕上げをすることが多いからです。ですから一般的には外部に面した部屋の内壁の「かび」や「しみ」は内壁の結露が原因と考えられます。コンクリート壁だけでは断熱性に乏しいので、戸外と室内の温度差により、室内の湿気が壁面に結露するのです。
 このような場合ならば、業者の言う方法だけでは不十分で、室内の外壁面に木組みをし、断熱のための空気層をつくり、更にその内部に断熱材を入れて、壁面の結露を防いだ上に、クロスを張るのが抜本的解決策です。このほか、室内の換気をよくするのも大切です。外壁面に換気口を取り付けることが、キッチン、風呂場などファンで強制換気するとともに必要なことです。換気ダクトにほこり詰まりがないかなどにも注意してください。
 もし「しみ」の出ている部屋が外部に面していないのなら、屋上か上階から内壁に雨水がしみ込んでクロス下地が湿っけているのが原因ではないかとも考えられます。外壁に面している部屋でも、結露のほかにこの雨漏りが原因となっている時もあります。この場合には雨漏り原因の発見と雨漏りを止めることが先決です。
 ただ、入居の時期からみて、通常は室内暖房をしない時期ですので、結露による場合よりも雨漏りか、または施工を急いでコンクリートやその上塗りモルタルが十分に乾燥していない間にクロスを張ったことが原因である確立が高いでしょう。後者の「工期の手抜き」の場合でしたら、業者の言う方法だけでよいということになります。そして、その場合なら、他の部屋も同一の施工条件と考えられますので、そちらの補修も必要でしょう。
 この補修について業者に責任があるのが当然ですが、迷惑料や慰謝料については、特別の事情のない限り認められないのが判例です。いずれにせよ原因は様々ですので、第三者の専門家の調査立会いを求められるのが安心です。

(昭和55年10月9日 澤田和也)

≪住いの相談 Q&A その4≫

欠陥住宅の慰謝料
 自由設計方式の建売住宅を今年7月に買いました。入居後1ヶ月で、床下収納庫に風呂の排水が漏れて水浸しになっていることに気づきました。また階段も上り下りにきしみ音が出ます。業者に言うと「直す」とは言うのですが、排水の方は段取りが悪く未だに直らず、階段はやや良くなったものの、直すときに傷がついてしまいました。価格の値引きや慰謝料の請求ができるのでしょうか。
補修決め損害金約束を
 自由設計の建売住宅の場合、法律上、売買か請負かは議論のあるところですが、業者に欠陥補修の責任(瑕疵担保責任)があることには変わりありません。そして、ご質問の床下排水不良や階段の過度のキシミ音が欠陥であることはもちろんです。
確かに、期待に胸を膨らませ新居に入居したのに、補修を受けなければならないことそれ自体が苦痛であり、ましてや業者の不誠実さをうかがわせる段取りの悪さにより補修が長引くと、よりその苦痛が増すことはよく理解できます。これは欠陥住宅被害者の共通の体験です。しかし、残念ながら業者が任意に応じるときは別として、法律は「瑕疵担保責任」として代金値引きを認めておらず、一次的には補修とそれに伴う損害賠償を認めているだけです。
 理論上は、その損害にご質問の苦痛のような「精神的損害」も含まれ、「慰謝料」請求が出来るかに思えます。が、判例は慰謝料認定には厳格な態度をとっています。とくに業者が害意を持って補修を引き伸ばしたというような特別な事情のない限り、単なる「段取りの悪さ」だけでは、「補修を受ける際、通常我慢しなければならない苦痛」として、この請求を認めないでしょう。「仕上げの悪さ」については、補修未了として、完全な仕上げを求めるべきです。
 むしろ一般的には、場当たりの補修をさせず、工期、方法などをよく検討させ、慎重な態度でのぞむべきです。再度の補修は新居をより汚損し、苦痛をより増大させるばかりです。当会が調査した多くの事例でも「床下排水不良」のように「見えない所の手抜き」をする業者は、他にも素人が気づかない多くの「手抜き」をしているのが通例です。この際第三者の専門家に家全体にわたって欠陥調査をしてもらい、欠陥箇所と補修方法の指示をうけ、その全部について順序よい工程、工期を決め、念書を交わすのがいいでしょう。それとともに、補修がその期日に遅れたときは「一日いくら」という損害金の約束も入れておくと業者も本腰を入れて補修するでしょうし、もし遅れた時は、それが事実上の「慰謝料」となります。
 また法律は「瑕疵担保責任として、『補修に代わる損害賠償』を求められる」ともしています。専門家に「その補修に要する相当な工事費用」を評価してもらい、その念書中に、「約束の補修着手日時を過ぎても補修に着手しない時は、補修に代えて右費用相当金を損害金として請求できる」という項も入れておくと業者の補修履行をより確実にし、もしもの時にも「補修に変わる損害金」の立証をしなくてもよくなります。

(昭和55年11月27日 澤田和也)

≪住いの相談 Q&A その5≫

契約と違う仕上がり
 新居を建てましたが、契約図面の断面図にあった一階和室テラスの上のらんま窓がついておらず、また座敷のなげしも図面にあるのに作られていません。業者は代金受け取りの際差し引いてあると言います。役所の建設指導課で相談しましたが、生活に支障がなければやむをえないということでした。本当にそうなのでしょうか。
合意なければ賠償も
 ご質問の「断面図」がどの程度仕上げの詳細を表しているのか不明ですが、一般的には正規の建築図面ではなくても、契約の際に交付を受けたものであれば、当然、契約の内容になっているものとみられます。従って代金を支払っている以上、その図面中に表示されているらんま窓やなげしなどが施工されていない時は、契約上の欠陥としてその設置を求めることができます。業者が応じないのなら、調停や裁判等の法的手続きをとらざるを得ないでしょう。その設置に代え、その費用相当の損害賠償を求めることもできます。しかし、工事途中でその未施工部分について設計変更が合意され、代金減額がされたものであるのなら、業者の言い分が正しいこととなります。
 またプレハブ住宅や自由設計の建売住宅の場合に、パンフレット中に標準仕様を示して「場合によって一部変更することがあります」と特記されていることがよくあります。これは同一の仕様条件の範囲内で、具体的な材料などの変更をすることを示すものと考えられます。らんま窓やなげしを仕様として示しつつ、これを全く付けないという場合はこれにあたらず、契約上の欠陥になると考えられます。
 家の新築に際して「坪あたりいくら」という単価と、簡単な絵図面程度の平面図や立面図のみで契約する例が見られます。いくら口約束で甘いことを言われても厳密な設計図書、すなわち構造図詳細図を含む設計図や仕様書、見積もり明細書で契約内容を具体的にはっきりさせておかなければ、後日のクレームの原因になります。
 消費者にとっては、住宅注文は一生に一度のことで、建築知識に乏しく、決して業者とは対等の契約当事者ではありません。設計料が高くつくという理由だけで、設計も施工も同一業者に頼むのも考えものです。消費者の無知をよいことにして、設計も施工もお手盛りにされる恐れがあります。設計は信頼のおける第三者の建築士に十分意向を告げて依頼し、設計図書をもとに、その立合いを求めて請負契約を結び、できれば施工が設計図書通りされているかについての監理もあわせてその建築士に依頼するのが、トラブルを防ぎ、注文通りの欠陥のない住宅を作る安心な方法です。
 なお、役所の建築指導課は建物が建築法規どおりに建てられているかを確認し、検査するのが本来の職責です。らんま窓の件などについては、他の窓だけで法規上の採光を満たすなら何らの違反もないわけです。従って、法的権限で業者に処罰を加えるといったことはできません。しかし、実際には、ほとんどの役所が建築に関する「相談コーナー」を設けており、クレームがあれば業者から事情を聞いたり指導をしたりするはずです。

(昭和56年1月15日 澤田和也)